腰椎捻挫(ぎっくり腰)の治療:コルセット・鎮痛剤・リハビリテーションなど
ぎっくり腰の治療は痛みなどの苦痛を最小限にして、
目次
1. ぎっくり腰の治療は病院に行くべきか?
ぎっくり腰が起きた場合は痛みが強くて病院を受診せずに様子をみることも頭に浮かぶと思います。
できることならば医療機関を受診することをお勧めします。なぜなら腰痛の原因がぎっくり腰以外の可能性もあるからです。その中には緊急で治療が必要な病気もあります。医療機関を受診をすることで適切な鎮痛剤を処方してもらえるなどの他の利点もあります。
2. ぎっくり腰の処置や治療:安静は必要?・コルセット・リハビリテーションなど
ぎっくり腰は時間経過とともに
安静は必要か?
ぎっくり腰は安静にすることが何よりの治療だとかつて考えられていましたが、現在は活動する方が回復には有利に働くと考えられています。
ぎっくり腰が起きた直後は痛みで動くことができないことも珍しくありません。動いたほうがいいとは言っても、痛みがある程度引くまでは無理に動かなくてもよいと思います。痛みが和らいで身体を動かせるようになったらできる範囲で身の回りのことなどを行っていくといいでしょう。
活動できるのに安静を続ける必要はありません。必要のない安静、特にベッド上安静は回復を遅らせるという意見もあります。
ただし無理な運動をして強い負荷をかけると悪化のもとにもなりかねません。症状と相談しながら活動範囲を広げていくのが大事です。
腰は冷やした方がいいの?温めた方がいいの?
よく聞かれる質問の一つとしてぎっくり腰になったら冷やすべきか温めるべきかというものがあります。
患部を温めると筋肉の緊張をとる効果が期待できます。実際に痛みの改善などが少し早かったとする報告があります。
冷やすことは悪いことかというとそうとはいいきれません。冷やすことで回復が遅れるという強い証拠はありません。
患部を温めるべきか冷やすべきかは個人の主観もあるので強くどちらかを勧めることはしませんが、どちらを選んだとしても強い期待はかけない方がよいですし、選択が間違っていたとも考えないほうがよいと思います。
コルセット
コルセットは
コルセットの出番はある程度腰の痛みがとれて身の回りのことができるようになる発症から2−3日後からのことが多いと思います。ぎっくり腰は痛みが落ち着いたあとにはできる範囲で体を動かすことが回復を早めるという意見があります。安静を保ちつつ日常生活にもどる助けになるコルセットは役にたつと考えられています。
神経ブロック治療
神経ブロックには痛みがある場所に直接麻酔をするトリガーポイントブロックや
牽引療法(けんいんりょうほう)
牽引療法は骨折や脱臼に用いられる治療法です。痛めた箇所を人力または器具を用いて引っ張ります。牽引療法の目的は痛みや筋緊張をやわらげることです。
手などの骨折でよく用いられている牽引療法ですが、ぎっくり腰の治療に対する有効性は確立していません。特に腰痛の中には牽引療法が悪影響を及ぼす場合があります。ぎっくり腰になったからといって自己判断で腰を伸ばしたりする行為は危険なことがあるのでしないようにしてください。痛みが強い場合には速やかに医療機関を受診して適切な鎮痛剤の処方や処置を受けてください。
リハビリテーション
リハビリテーション(リハビリ)は病気によって低下した機能を改善することを目的とした治療です。骨折などのあとにリハビリテーションを経験したことがある人がいるかもしれません。
ぎっくり腰の後には長期間通院してリハビリテーションをすることは稀ですが生活にリハビリテーションを組み込むことが回復に有効です。
医療機関を受診した際には痛みがとれた後にはどのような運動が適しているかなど、具体的な方法などについて質問しておくとよいでしょう。
3. ぎっくり腰でおこる腰痛を緩和する薬:NSAIDs(ロキソニン®など)・アセトアミノフェンなど
ぎっくり腰の痛みはとても強く、立つことさえできないこともあります。痛みを我慢することにメリットはありません。痛いときにはそれに応じた対応が必要です。ぎっくり腰の痛みを緩和する薬はいくつかあります。それぞれの特徴について説明します。
NSAIDs(エヌセイズ)
NSAIDsの注意すべき副作用としては胃腸障害や腎障害などがあります。近年では、胃腸などへの負担軽減が期待できるセレコキシブ(商品名:セレコックス®)などのCOX2選択的阻害薬という種類のNSAIDsも使われています。
NSAIDsは市販薬としても流通しており医療機関を受診するまでに痛みを抑えたい場合などに利用することができます。市販薬としてのNSAIDsの詳細な情報は「腰痛に痛み止めの市販薬は効く?病院の薬とロキソニン、バファリンなど」で解説しているので参考にしてください。
アセトアミノフェン
アセトアミノフェンはNSAIDsとは異なる仕組みで痛みや発熱を抑える薬です。NSAIDsと同様にプロスタグランジンの産生を抑制して鎮痛効果を発揮するとされていますが、炎症に対する効果などは弱いと考えられています。NSAIDsに比べると一般的に胃腸粘膜や腎臓などへの影響が軽減でき、小児から高齢者まで幅広く使えるのもメリットです。アセトアミノフェンで注意すべき副作用として肝障害などがあります。一般的にアセトアミノフェンによる副作用はまれとされていますが、高用量を長期的に使用する場合には特に注意が必要とされています。
アセトアミノフェンもNSAIDs同様に市販薬として購入することができます。詳しくは「腰痛に痛み止めの市販薬は効く?病院の薬とロキソニン、バファリンなど」で解説しているので参考にしてください。
外用薬(湿布、塗布薬)
痛み止めの
4. ぎっくり腰の代替療法
代替療法は通常の医療の代わりとして用いられる治療法をさします。ぎっくり腰の治療は鎮痛剤などで痛みを抑えることなどです。ぎっくり腰の代替療法にはいくつかあります。
代替療法に興味があり治療に取り入れたいと考える人は医師と相談して治療を受けるに適切な時期を見定めることがよいでしょう。
マッサージ
マッサージがどれほど回復や症状緩和に役立つかということは不明です。マッサージにはリラックス効果や筋緊張をとく効果などが期待できますがぎっくり腰が発症したばかりのときは強い炎症が起きておりマッサージが適している時期かの判断は難しいことがあります。
マッサージを試して見たい人は自己判断ではなくまず医師に相談することをお勧めします。
参考文献
・Furlan AD, et al. Massage for low-back pain. Cochrane Database Syst Rev. 2015:CD001929.
マインドフルネス療法
マインドフルネス療法は瞑想などを用いた治療です。マインドフルネスを行うことによる心身の状態が高まります。マインドフルネス療法は
鎮痛剤などの痛みに対する治療に加えてマインドフルネスを用いると痛みに対するストレスなどを軽減することも期待できます。
整体
ぎっくり腰に対する整体の効果ははっきりとはしていません。
整体は筋肉のハリやバランスを整えながら不調となっている部分を修正して症状を改善する治療です。整体は担当する整体師の個人技術に効果が依存する可能性などもあり効果にばらつきがあることも原因だと考えられます。
指圧
指圧はツボを指で刺激して自然
鍼灸(しんきゅう)
鍼灸は人間の体にあるつぼを鍼(はり)や灸(きゅう)で刺激を与えて気の流れを整えて自然治癒力を高める治療法です。
鍼灸にはリラックス効果があり精神的な落ち着きなどの効果が期待できるかもしれません。
5. ぎっくり腰の痛みが回復するにはどれくらいの期間が必要?
ぎっくり腰の治療にはどのくらいの期間がかかるのでしょうか。回復する様子をおう形で見ていきます。
発症直後から簡単な身の回りのことができるようになる
発症直後は人によっては体がまったく動かせないことも珍しくはありません。発症から身の回りのことをこなせるようになるには2-3日かかることもあります。
痛みがほとんどなくなる
発症から2-3日たつと痛みが落ち着いて身の回りのことができるようになります。しかし無理は禁物です。この時期は痛みが残っていることもあるのでできる範囲で体を動かしていくことが大事です。
完全にもとの状態にもどるには個人差があります。数日から数週間とかなり幅があります。この位たったから大丈夫というふうに日数を目安にするのではなく症状を確認しながら生活や運動の強度を上げていくことが大事です。