2015.10.25 | ニュース

痛み止めでぎっくり腰は早く治るのか?

ランダム化比較試験により検証
from Lancet (London, England)
痛み止めでぎっくり腰は早く治るのか?の写真
(C) Remains - Fotolia.com

「痛み止め」と聞くと、どのような薬を思い浮かべるでしょうか。痛みの種類によっても、効きやすい薬の種類が違います。今回の研究は、ぎっくり腰に対して痛み止めの効果を検証したところ、プラセボ薬と同等の効果であったことを報告しました。

◆痛み止めとして用いられる薬がぎっくり腰の痛みにも効果があるか検証

痛み止め(鎮痛薬)としてよく知られている薬に、ロキソプロフェンやアスピリンがあります。これらは、炎症を抑える作用、解熱鎮痛作用といった特徴があります。今回紹介するアセトアミノフェン(別名パラセタモール)は、抗炎症作用はほとんどなく、主に解熱鎮痛作用がある薬で、アスピリンなどと比べて副作用が少ないと言われ、市販薬としてもよく使われています。

今回の研究では、ぎっくり腰(急性腰痛症)の患者1,652人を以下の3群に分け、その効果を検証しました。

  • 1日3回パラセタモール錠剤の用量が3990mgとなるように服用する群
  • 痛みがひどいときにパラセタモール錠剤を服用する群(最大1日4000mg)
  • プラセボ群

 

◆回復までの時間に3群間の差はない

以下の結果が得られました。

回復までの時間の中央値は通常群で17日(95%信頼区間14-19)、必要なときに服用する群で17日(95%信頼区間15-20)、プラセボ群で16日(95%信頼区間14-20)であった(ハザード比:通常群vsプラセボ群0.99、95%信頼区間0.87-1.14、必要なときに服用する群vsプラセボ群1.05、95%信頼区間0.92-1.19、通常群vs必要なときに服用する群1.05、95%信頼区間0.92-1.20)。

ぎっくり腰から回復するまでの期間について、どちらの用法でパラセタモール錠剤を服用しても、プラセボ群と差がなかったという結果でした。

 

ぎっくり腰は、神経、筋肉など何が原因か不明な場合が多くあります。痛み止めは原因を治療する薬ではなく、治りを早くするわけではないのかもしれません。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Efficacy of paracetamol for acute low-back pain: a double-blind, randomised controlled trial.

Lancet. 2014 Nov 1

[PMID: 25064594]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。