2015.05.17 | ニュース

腰痛、変形性関節症に痛み止めが効かない!?

オーストラリアの研究チームが、アセトアミノフェンについて12件の研究を調査

from BMJ (Clinical research ed.)

腰痛、変形性関節症に痛み止めが効かない!?の写真

腰痛症や変形性関節症は多く見られる病気です。これらの痛みの症状を抑える薬にアセトアミノフェンがあります。ところが、オーストラリアの研究チームが腰痛と変形性股関節症、変形性膝関節症に対してアセトアミノフェンの効果と安全性を研究した論文を調査したところ、アセトアミノフェンに腰痛を抑える効果がなかったなどとする結果が出ました。

◆アセトアミノフェンと偽薬のランダム化研究を調査

研究チームは、論文データベースから腰の痛み、変形性膝関節症変形性股関節症に対して、「アセトアミノフェン」の効果と安全性を偽薬と比較したランダム化研究」を集めて評価し、痛みと障害、生活の質(QOLquality of life の略であり、生活の質と訳される。命があることだけでなく、その質や中身を重要視した言葉)のデータを分析しました。

 

◆腰痛に効果なし、関節炎には臨床的な効果はなし?

結果は以下のとおりになりました。

12件の研究(13件のランダム化試験)が採用された。

質が高いエビデンスは、アセトアミノフェンが腰痛患者の痛みの程度の緩和(加重平均の差 -0.5, 95%信頼区間 -2.9から1.9)、障害の改善(0.4, -1.7から2.5)、QOLの向上 (0.4, -0.9 to 1.7)に短期間では効果がなかったと示した。

質が高いエビデンスによって、臨床的には重要ではないが、変形性股関節症変形性膝関節症に対してアセトアミノフェンが痛み(-3.7, -5.5から-1.9)や障害(-2.9, -4.9から-0.9)に短期的に有意データを分析して導かれた結果が、偶然ではなく「意味が有る」必然的な値であると推測できることな影響を与えたことが示された。

質の高いエビデンスによって、アセトアミノフェンの使用で、臨床的に重要な影響か定かではないものの、肝機能の検査で異常な結果が現れることが4倍近く多いことが示された(3.8, 1.9から7.4)。

アセトアミノフェンは腰痛に対して効果がなく、変形性股関節症変形性膝関節症のある患者に対しては短期間において効果があったものの「臨床的に重要でない」結果でした。

研究チームは、「これらの結果は、臨床診療ガイドライン治療や検査の場面において、医療従事者や患者が、適切な判断や決断を下せるように支援する目的で体系的に作られた文章のことが腰痛患者や変形性股関節症変形性膝関節症に対するアセトアミノフェンの使用を推奨することの見直しを支持する」と述べています。

 

腰痛や変形性関節症の痛みに対して、痛み止めであるはずのアセトアミノフェンが効かないか、効いても効果はわずかという結果となりました。

実際に診療されている医師の皆さんは、痛み止めの効果についてどのように感じているのでしょうか?

執筆者

佐々木 康治


参考文献

Efficacy and safety of paracetamol for spinal pain and osteoarthritis: systematic review and meta-analysis of randomised placebo controlled trials.

BMJ. 2015 Mar 31

[PMID: 25828856]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。 [執筆者一覧]