2016.03.28 | コラム

変形性股関節症に対する日常生活での注意点について

痛みなどの症状との関係のもとで
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この記事のポイント

1.変形性股関節症とは
2.変形性股関節症と診断されたら、日常生活で気を付けることは?
3.変形性股関節症の手術のあとで気を付けることは?

変形性股関節症と診断されたら、日常生活でどんなことに注意すればよいのでしょうか。手術後の注意とあわせて解説します。

◆変形性股関節症とは

変形性股関節症とは、股関節の軟骨がすり減ったり、骨が変形したりすることによって、股関節の痛みなどの症状が出る病気です。代表的な症状の例を挙げて説明します。

 

  • 股関節の痛み

    • 症状が現れてから初期のころは、歩き始めや立ち上がりの時に、股関節の位置に痛みを感じます。

    • 痛みは徐々に進行して、様々な動作を行うときや、歩いている最中にも股関節が痛むようになります。

    • さらに進行すると痛みは持続するようになります。安静にしているときや寝ているときにも痛みがあって、夜眠れないと訴える患者さんもいます。

  • 関節の拘縮(関節が硬くなり、曲げたり伸ばしたりできなくなること)

    • 股関節の変形が進むことや、痛みで関節を動かさなくなることで、関節が固くなってくることもあります。

  • 筋力の低下

    • 痛みにより動かなくなったり、関節の拘縮により足が動かせなくなったりすることで、使わなくなった筋肉は萎縮し、筋力は低下します。

  • 日常生活活動の制限

    • 股関節の痛みや変形から、日常生活活動では、様々な動作が制限されます。たとえば、歩く能力(速度、持久力、バランスなど)が低下したり、股関節が曲がらない・伸びないために階段や家の上がり框を上ることができない、後ろに倒れやすくなる、お風呂に入りにくい、などです。歩くスピードが遅くなる、休み休みでないと歩けなくなる、信号が青のうちに横断歩道を渡れなくなるなどの症状が現れて、友人たちと一緒に歩くのが辛いと話す方もいます。また、外へ出ることが辛くなり、外出や旅行を控えるなど、家の中に引きこもりがちになる方もいます。

 

このように、変形性股関節症では、日常生活で行われる様々な動作が制限されてしまいます。それでは、日常生活への影響に対して、私たちが気を付けることはあるのでしょうか?次に解説します。

 

◆変形性股関節症と診断されたら、日常生活で気を付けることは?

変形性股関節症の治療方法は、主に保存療法と手術にわけられます。

保存療法とは、手術はせずに、薬物療法やリハビリを行う方法です。保存療法では一度すり減ってしまった軟骨や変形した骨を元に戻すことはできません。保存療法には痛みを和らげ、日常生活を送りやすいようにする目的があります。

変形性股関節症は、徐々に関節の変形が進んでいく病気ですので、「足が痛いから、安静にしていよう」と、安静にしているだけでは、症状は改善しません。安静にしていれば、一時的には痛みが出なくなりますが、再び動き始めると股関節が痛み出します。安静にしている期間が長いと、足腰の筋力が弱ってきます。足腰の筋肉は立っているときや歩いているときに体重を支える役割を持っているため、そこが弱ると骨への負担が増し、さらに股関節が痛む原因となってしまいます。

そのため、保存療法では、股関節に大きな負担をかけないようにして、運動を続けます。股関節に負担をかけない方法としては、以下のものがあります。

 

  • 杖や押し車(シルバーカー)を使う

  • 足に合った運動靴を履く

  • 足底板(特殊な中敷き)を靴に入れる

 

歩くときには股関節に体重の3倍ほどの負担がかかるといわれています。そこで、歩くときには杖や押し車(シルバーカー)などを使うことで、関節への負担を和らげられます。また、足に合わない靴を履いて歩いたり、運動したりしても、股関節に負担がかかります。特に、つま先の細い靴や、ハイヒールなどです。なるべく踵がしっかりした運動靴を履く方が負担が少ないと考えられます。

靴の中に足底板という特殊な中敷きを入れると、さらに関節への負担を和らげることができるとも言われています。足底板は市販されているものや、病院等で足の型を取って作るオーダーメイドのものなどがあります。医師の処方のもと、保険を使って1~3割の負担で購入できることもあります。詳しくは、医師や専門家に相談してみましょう。

 

また、和式の生活には股関節に負担をかける場面が多くあります。たとえば床に座るときや布団に寝るときに、股関節を深く曲げてしゃがみ込まなければならず、股関節に負担がかかります。床から立つ動作は、体重の10倍もの負担が股関節にかかるといわれています。和式トイレも同様で、しゃがみ込む姿勢を保たなければならないため、大きな負担となります。慣れた日常生活を変えるのは難しいと感じる人もいるかもしれませんが、可能なら椅子やベッドを使う洋式の生活のほうが、股関節の負担という面ではメリットがあります。

 

◆変形性股関節症の手術のあとで気を付けることは?

変形性股関節症に対して手術は重要な治療です。手術にも様々な種類があり、人工の関節を入れる方法や、骨を切って関節の形を整形する方法などがあります。

人工の関節を入れた場合には特に気を付けなければならないことがあります。それは、人工関節の脱臼です。人工関節は、股関節を深く曲げたり、ひねったりすると、脱臼してしまう場合があります。脱臼した場合は、猛烈な痛みが出て歩けなくなることもあります。医師などの指導を守っていても脱臼することはあるのですが、動作に気を付けたほうが危険性は少ないと考えられます。

日常生活で、股関節を深く曲げたり、ひねったりする動作の例として、以下のようなものがあります。

 

  • 低い椅子に座る、しゃがむ

  • 座って靴下をはくときにかがむ、股関節をひねる

  • 床に落としたものを拾うときにかがむ、しゃがむ

  • 座っているときに足を組む

  • 床に座る際に、足を斜めに倒して座る

 

このように日常生活で何気なく行っている動作が脱臼につながる場合も多いです。

保存療法と同様に、和式の生活よりも椅子やベッドでの生活のほうが注意するべき動作は減ると考えられます。

靴下を履くときなどには、ソックスエイドという、かがまなくても靴下が履ける道具があります。ソックスエイドは介護用品店で購入したり、自分で作ることもできます。

床に座る時にも、しゃがみ込まず、一度四つ這いになってから座ることで、座る動作が可能となる場合もあります。

このように、手術後に股関節を深く曲げたり、ひねったりしない動作方法や、それを助ける道具があります。手術後のリハビリで姿勢や動作に関する指導を受け、適切な方法を取ることが脱臼を防ぐ役に立ちます。

 

以上のように、変形性股関節症と診断された場合や、手術を行ったあとには、日常生活で気を付ける点が多くあります。これらの注意点を守れば、ほかは普段通りの生活を送れることが多いため、必要以上に怖がらず、医師や理学療法士、作業療法士とよく相談し、治療をすすめていきましょう。

注:この記事は2016年3月28日に公開しましたが、2018年2月21日に編集部(大脇)が更新しました。

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※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


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