2017.08.19 | ニュース

グルコサミンは膝・股関節の変形性関節症の痛みに効かない

文献の調査から

from Annals of the rheumatic diseases

グルコサミンは膝・股関節の変形性関節症の痛みに効かないの写真

膝が痛いときにグルコサミンを飲んだことがありますか?変形性関節症の治療の研究データの調査により、痛み・機能の改善効果が見られなかったことが報告されました。

オランダなどの研究班が、文献を調査する方法によりグルコサミンの効果を調べ、結果を専門誌『Annals of the Rheumatic Diseases』に報告しました。

この研究は、これまでに行われた研究のデータを集めて吟味したものです。症状または画像検査によって膝または股関節の変形性関節症と診断された人を対象とし、グルコサミンを飲むかほかの治療(偽薬など)かをランダムに分ける方法をとった研究を調査対象としました。研究班は改めて参加者ひとりずつのデータを入手し解析しました。

 

採用基準を満たす21件の研究が見つかりました。そのうちから得られたデータを解析し、次の結果が得られました。

グルコサミンは痛みまたは機能について短期的(3か月)および長期的(24か月)に偽薬に勝らなかった。あらかじめ決めたサブグループの間でもグルコサミンは偽薬に勝らなかった。

有効成分を含まない偽薬(プラセボ)とグルコサミンを比べて、痛みまたは機能について、グルコサミンは短期的にも長期的にも偽薬より良いとは言えませんでした。研究開始時点の痛みの強さ、BMI体格指数。「体重[kg]÷身長[m]÷身長[m]」で算出される。18.5から25が普通体重とされているが、筋肉量や脂肪率を反映しないため体格の唯一の基準とはできない(体重÷身長÷身長)、性別などで対象者を分けて集計しても、どのグループにもグルコサミンが偽薬に勝る効果は出ていませんでした。

 

変形性関節症にグルコサミンが効果を示さなかったとする報告を紹介しました。

変形性関節症は加齢などによって膝などの軟骨関節で骨同士が直接こすれないように、骨の表面についている組織。衝撃を吸収したり、関節が滑らかに動くのに必要がすり減った状態です。痛みや動かしにくさの症状を現します。とても多くの人が変形性関節症を持って生活しています。

グルコサミンは健康食品などとして市販されていて、膝が痛いときに飲んだことがある人も多いかもしれません。しかし、ここで紹介した報告だけでなく、グルコサミンに否定的な意見は多数示されています。

変形性膝関節症の治療としては一般的な痛み止めの薬(NSAIDs炎症を抑える薬剤の総称(ただしステロイドを除く)で、鎮痛薬や解熱薬として頻用される。nonsteroidal anti-inflammatory drugsの略)が有効であるほか、リハビリや手術もあります。グルコサミンによって胃腸症状などの害が現れる場合もあり、薬を使わずあえてグルコサミンを選ぶ理由は乏しいとも言えます。

長引く関節の痛みはつらい症状ですが、食品で解決しようとするよりも、まず整形外科などに相談することで、自分に合った治療方針を順序良く選ぶことができるでしょう。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Subgroup analyses of the effectiveness of oral glucosamine for knee and hip osteoarthritis: a systematic review and individual patient data meta-analysis from the OA trail bank.

Ann Rheum Dis. 2017 Jul 28. [Epub ahead of print]

[PMID: 28754801]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。