こしのいたみ
腰が痛い(数日以内)

腰が痛い(数日以内)の基礎知識

概要

腰の痛みは様々な原因で起こる症状です。よくある原因としては、腰椎捻挫ぎっくり腰)や脊椎圧迫骨折椎間板ヘルニアといった腰周りの骨・神経の病気が挙げられます。また、尿路結石腎盂腎炎胆石症といった内臓の病気や、急性大動脈解離という血管の病気も腰痛の原因になります。

腰痛の原因として危険な病気は、急性大動脈解離や、腎盂腎炎、馬尾症候群が挙げられます。瞬間的に腰の痛みが始まった、意識がもうろうとする、熱がある、足が動かしづらい、尿・便がもれる、といった症状はいずれも危険なサインです。

こうした症状がある人は、ただちに救急科や整形外科を受診してください。症状が強ければ救急車の要請も必要です。上記の危険な症状に当てはまらずに、もともと腰痛が持病にある人は慌てずに整形外科を受診してください。周囲に整形外科がない環境であれば、まずは一般内科でも構いません。

原因とメカニズム

腰痛は、背骨とその周りにある神経・筋肉が原因となる腰痛と、他の病気を原因とする腰痛に分けられます。前者は腰椎捻挫ぎっくり腰)や脊椎圧迫骨折坐骨神経痛脊椎圧迫骨折が代表的です。後者は尿路結石症帯状疱疹急性大動脈解離腎盂腎炎胆石症、など多くの病気があります。

このように原因が明らかな腰痛がある一方で、詳しく調べても原因が分からない腰痛も珍しくはありません。原因が分からない人では、定期的に症状の変化を見ていくことが必要です。

考えられる病気

腰痛の原因は多岐にわたるので、お医者さんでも見極めるため苦労することが少なくありません。腰以外の症状があれば原因を特定する鍵になりますので、気になる症状はもらさずに伝えるようにしてください。

腰椎捻挫(ぎっくり腰)

急に重いものを持ち上げたり体を強くひねった際に起こる腰痛です。骨や神経が損傷したわけではなく、関節の捻挫・痙攣が原因だと考えられています。

脊椎圧迫骨折

背骨の一つが圧迫されて押しつぶされてしまう骨折です。高齢女性に多い病気です。

坐骨神経痛

坐骨神経が圧迫されたために、腰の痛みや、足の痛み・痺れが現れる病気です。

椎間板ヘルニア

背骨と背骨の間にある椎間板が傷んで飛び出して、神経に影響を与える病気です。腰痛や足の痛み・痺れの症状が現れます。主な原因は加齢です。

尿路結石症

尿の通り道に結石ができる病気です。背中から腰にかけて突然の激しい痛みと血尿が現れることが多いです。

帯状疱疹

水痘帯状疱疹ウイルスの感染を原因とする病気です。帯状疱疹の主な症状は痛み・かゆみ・違和感・水疱(みずぶくれ)です。背中にできると腰痛の原因になります。

胆石症

みぞおちのやや右側にある胆のうに結石ができる病気です。食後の右脇腹痛が典型的な症状になりますが、腰痛を感じることもあります。

怖い病気

急な腰痛は危ない病気が原因になっていることがあります。

急性大動脈解離

身体の中心を通る最も太い動脈の壁に亀裂が入る病気です。瞬間的に現れる強い胸痛や、背部痛、腰痛が特徴的です。意識がもうろうとしたり気を失ったりすることもあります。このような症状がある人はすぐに救急科を受診してください。

腎盂腎炎

尿管と腎臓のつなぎ目にあたる腎盂炎症が起こった状態です。細菌感染が主な原因です。発熱や吐き気、背中・腰の痛みなどが症状になります。敗血症という重い状態になりやすいので、速やかに治療を始める必要があります。

馬尾症候群

馬尾と呼ばれる脊椎内の神経の束が圧迫されることが原因の病気です。強い腰の痛みに加えて尿失禁や便の漏れといった症状が現れます。馬尾のダメージを和らげるために手術が必要になることが多いので、なるべく早く治療を始める必要があります。

受診の目安

下記のような腰痛がある人では、危険な病気が隠れている可能性があります。すぐに医療機関の受診が必要な状態です。

【危険なサイン】
・ある瞬間に突然腰痛が始まった
・今まで経験したことがないくらい痛みが強い
・発熱や吐き気などの症状もある
・意識がもうろうとしている、意識がない
・足がしびれる
・尿失禁や便のもれがある

上記の症状は緊急で医療機関を受診する目安です。これらの症状に当てはまらなくても、腰痛の原因を詳しく調べて治療を受けたほうが症状と上手に付き合えるので、医療機関の受診をおすすめします。

診療科

整形外科

腰痛は神経・筋肉の異常が原因となっていることが多いので、整形外科が入り口の一つとして適しています。

内科

腰痛の幅広い原因の診療が受けられるので、周りに整形外科がなければ内科で相談してみてください。

救急科

上記の受診の目安として挙げたような危険なサインがある人は緊急で検査・治療を受ける必要性があるので、救急科を受診してください。対応できるかどうかを事前に電話で確認すると確実です。症状が激しい人は救急車を呼んでください。

検査

CT検査

画像検査の一つで放射線を使います。体の中を断面で観察できるので、腰痛の原因となる病気を特定するのに役立ちます。

MRI検査

CT検査と同様に画像検査の一つで、磁気を使った方法です。背骨の中にある神経の状態を観察するのに向いています。

治療

原因に応じた治療が行われます。
例えば、腰椎捻挫ぎっくり腰)や椎間板ヘルニアであれば、鎮痛剤を使って症状をコントロールしながら生活をします。

セルフケア

腰回りの筋肉や神経に負担がかかって腰痛が起こることもあります。次のような対処法を試してみると良いです。

・腰回りの筋力強化
・姿勢の改善
・ストレッチ

初診推奨診療科の候補