2016.02.10 | コラム

SSRIはうつ病だけの薬じゃない!?効果と副作用について解説

SSRIの臨床における有効性とは?
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抗うつ薬の一つであるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は当然ながら、うつ病・うつ状態に使用する薬として臨床現場で使われています。しかし、SSRIは「抗うつ薬」だけに留まらない臨床上の役割を果たしてきていています。

◆ SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor:選択的セロトニン再取り込み阻害薬)とは?

SSRIとは主に脳内の神経伝達物質であるセロトニンに作用して効果をあらわす薬です。セロトニンは気分の調節、衝動行動や依存性の抑制などに関わり、セロトニンが脳内で不足すると不安やイラつき、落ち着きのなさ、抑うつなどの症状があらわれます。詳しい薬理作用は割愛しますが、SSRIは脳内におけるセロトニンの量を改善し、うつ病において崩れている神経伝達物質のバランスを改善する作用をあらわします。

薬の種類や使用する量などにもよりますが、三環系抗うつ薬などの初期に開発された抗うつ薬はうつ病に対し有益な効果をあらわす反面、抗コリン作用(神経伝達物質のアセチルコリンの働きを阻害する作用で、口渇、便秘、尿閉、眼圧上昇などの症状があらわれる場合がある)や、過量投与による、せん妄、痙攣、不整脈、呼吸抑制などといった副作用が懸念されていました。SSRIはこのような副作用を軽減しつつ、有益な抗うつ効果などをあらわす抗うつ薬の一つといえます。

 

◆ SSRIの主な副作用は?

SSRIがそれ以前に開発された抗うつ薬に比べれば副作用が軽減されているとはいえ、当然ゼロというわけではありません。さすがに全ての副作用の紹介はできないので、代表的な例をいくつか挙げてみましょう。SSRIは主にセロトニン系に効果をあらわす薬ですので、副作用もセロトニンに関連した症状があらわれやすいといえます。セロトニンは消化管の運動などにも関わるため、SSRIでは吐き気・嘔吐、下痢、食欲不振などの消化器症状が特に服用開始から2〜3週間に多くあらわれる場合があります。それ以後は消失することが多いのですが、ある程度継続しても症状が治まらない場合は注意が必要です。またセロトニンは体内時計に関わることで脳などの覚醒を促す作用をもちます。抗うつ薬など精神神経系に作用する薬剤の多くは眠気の副作用があり、SSRIにも眠気(傾眠)の副作用はあります。しかし、脳などの覚醒に影響をあらわすことで、逆に不眠といった副作用も報告されています。

 

◆ SSRIは線維筋痛症やパニック障害などにも有効?

SSRIはうつ病に対する治療以外にも神経性疼痛PTSDなど色々な病気で使われている薬です。

セロトニンは痛みの制御などにも関わっていて、SSRIは線維筋痛症帯状疱疹後の神経性疼痛など、一般的な痛み止めでは効果が得られにくい疼痛などに改善効果をあらわす場合もあります。このように「うつ」以外でもその効果が期待されるSSRIですが、ここ数年でSSRIが特に注目を集めた効果がPTSD(外傷後ストレス障害)への有効性かもしれません。PTSDは地震などの災害、戦争、事故など死の恐怖にさらされるような出来事に遭遇した後に発症する精神疾患です。SSRIの中でも元々パロキセチン(主な商品名:パキシル®)などは海外でPTSDへの有効性が確認されていましたが、2011年の東日本大震災後のPTSDに対する治療薬の開発が急務となり厚生労働省から効能・効果として正式に承認を得る薬が登場し、臨床現場でより広く使われることになりました[2013年11月にパキシル®錠が、2015年3月にはジェイゾロフト®錠(OD錠含む)がPTSDに対する効能・効果の追加承認を取得]。

またSSRIはPTSD以外にもパニック障害強迫性障害などにもその効果が確認されています。

 

薬は有益な効果をあらわすこともあれば、逆に身体に不利益を及ぼすこともあります。SSRIにおいても頻度は極めて稀ですが、セロトニン症候群、肝機能障害などの重大な副作用があらわれる可能性や未成年への使用に際しては、若年成人(18歳未満)への使用に対するリスクなどを十分考慮する必要もあります。それでもSSRIは「うつ病」だけでなく、多くの疾患・症状に使用されている現状があり、これはSSRIの有効性を示す証とも言えるのではないでしょうか。

執筆者

中澤 巧

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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