2015.07.30 | ニュース

アルコール性肝障害があると自己免疫疾患を発症しやすい?アジソン病、炎症性腸疾患などに関連

デンマークの患者2万5千人の統計から
from Clinical gastroenterology and hepatology : the official clinical practice journal of the American Gastroenterological Association
アルコール性肝障害があると自己免疫疾患を発症しやすい?アジソン病、炎症性腸疾患などに関連の写真
(C) Piotr Marcinski - Fotolia.com

過度の飲酒による肝障害は、危険な肝不全につながるほか、免疫機能にも影響すると考えられています。デンマークの全国統計を解析した研究で、アルコール性肝硬変がある人では、免疫の異常が関わるアジソン病などの発症が多かったことが報告されました。

◆アルコール性肝硬変の患者を集計

研究班は、デンマークの全国統計から、アルコール性肝硬変の患者のデータを取り出し、アルコール性肝硬変がない人と比較して、自己免疫疾患発症率を調べました。

自己免疫疾患とは、免疫の異常により自分自身の体が攻撃されてしまう病気のことで、最近の研究ではさまざまな病気に自己免疫が関わっていると考えられています。

 

◆アジソン病、炎症性腸疾患、セリアック病、貧血、乾癬に関連

統計解析から次の結果が得られました。

アルコール性肝硬変と診断された24,679人の患者のうち、532人に自己免疫性疾患が発症し、全体で調整発症率比が1.36(95%信頼区間1.24-1.50)に増加した。最も強い関連はアジソン病(調整発症率比2.47、95%信頼区間1.04-5.85)、炎症性腸疾患(調整発症率比1.56、95%信頼区間1.26-1.92)、セリアック病(調整発症率比5.12、95%信頼区間2.58-10.16)、致命的貧血(調整発症率比2.35、95%信頼区間1.50-3.68)、乾癬(調整発症率比4.06、95%信頼区間3.32-4.97)との間に見られた。

アルコール性肝硬変がある人では、アジソン病、炎症性腸疾患、セリアック病、致命的な貧血乾癬の発症率が高くなっていました

 

肝硬変はそれ自体が命に関わる病気ですが、ほかにも過度の飲酒は一部のがんと関連するなど、さまざまな面のリスクをともないます。健康管理の中で、飲酒を適度な範囲に抑えることは非常に重要です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Alcoholic Cirrhosis Increases Risk for Autoimmune Diseases: A Nationwide Registry-Based Cohort Study.

Clin Gastroenterol Hepatol. 2015 Jun 1 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26044312]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。