あくせいりんぱしゅ
悪性リンパ腫
リンパ球から出来た悪性腫瘍(がん)のことで、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別される
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最終更新: 2024.08.11
悪性リンパ腫の基礎知識
POINT 悪性リンパ腫とは
リンパ球は血液中を流れる白血球の一種であり、免疫に関わる細胞です。リンパ球に由来する悪性腫瘍(がん)のことを悪性リンパ腫と呼びます。悪性リンパ腫にも様々なタイプがありますが、大きく分けてホジキンリンパ腫(8−10%)と非ホジキンリンパ腫(90%強)があります。悪性リンパ腫の症状には、痛みを伴わないリンパ節の腫れ、発熱、体重減少、寝汗などがあります。診断は腫れているリンパ節などを採取して、顕微鏡で腫瘍細胞を確認することにより行われるのが一般的です。病状を評価するために、CT検査やPET検査などの画像検査、採血検査、骨髄検査なども行われます。治療は悪性リンパ腫のタイプによって大きく異なり、様子見のみを行うケースもあれば、抗がん剤や放射線治療を行うこともあります。悪性リンパ腫の種類によっては、完治を期待できる場合もあります。悪性リンパ腫が心配な方や治療したい方は血液内科を受診してください。
悪性リンパ腫について
- 悪性リンパ腫(
リンパ球 に由来するがん )の一種 - 日本では毎年30,000人ほどが悪性リンパ腫を
発症 している- 全体としてみると、やや男性に多い病気である
- 非ホジキンリンパ腫は
悪性度 から以下の3つに大きく分類される- ゆっくり進むタイプ
- 速く進むタイプ
- びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(非常に多い)
- 末梢性T細胞性リンパ腫
- マントル細胞リンパ腫 など
- すぐに治療を要するタイプ
- バーキットリンパ腫
- リンパ芽球性リンパ腫 など
悪性リンパ腫の症状
リンパ節 の腫れ- 痛みは出ないことが多い
- B症状(発熱、体重減少、寝汗を合わせて専門的にB症状と呼ぶ)
- 発熱(38℃以上)
- 体重減少
- 寝汗(医学的には盗汗:とうかん、と呼ぶことが多い)
脾臓 が腫れることもある
悪性リンパ腫の検査・診断
リンパ節 生検 、病理検査- 腫れているリンパ節を針で刺して採取する、あるいは手術するなどして採取する
- 採取したリンパ節を顕微鏡で確認する
染色体 検査を行う
- 血液検査
- 全身の状態をチェックして治療方針決定に役立てる
- 血液中の
白血球 やリンパ球 の異常がないか調べる
- 画像検査:
腫瘍 の大きさや位置などを調べる、治療効果を判定するCT 検査MRI 検査PET検査
骨髄 検査:骨髄にがん 細胞がないかを調べる- 腰骨や胸の骨から骨髄を採取して顕微鏡で確認する
- 行われない場合もある
悪性リンパ腫の治療法
- 治療は、悪性リンパ腫のタイプと進行度による(詳細はそれぞれの疾患情報を参照)
- 悪性リンパ腫のタイプと病気によって治療の経過は異なるので、どのようなタイプの病気であるのかをしっかりと理解することが重要
造血幹細胞移植 を行う場合もある
悪性リンパ腫に関連する治療薬
抗がん性抗生物質(アントラサイクリン系)
- 細胞の増殖に必要なDNAやRNAの合成を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす薬
- がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
- 細胞の増殖には遺伝情報をもつDNAやRNAの合成が必要となる
- 本剤は細胞内のDNAに結合するなどしてDNAやRNAの合成を阻害するなどして抗腫瘍効果をあらわす
- 本剤は土壌などに含まれるカビなどの微生物由来の薬剤であり抗がん性抗生物質などと呼ばれる
その他の抗がん性抗生物質
- 細胞の増殖に必要なDNAの合成を阻害するなどにより抗腫瘍効果をあらわす薬
- がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
- 細胞の増殖には遺伝情報をもつDNAやRNAの合成が必要となる
- 本剤はDNAに作用しDNAの複製を阻害するなどして抗腫瘍効果をあらわす
- 本剤は土壌などに含まれるカビなどの微生物由来の薬剤であり抗がん性抗生物質と呼ばれる
微小管阻害薬(ビンカアルカロイド系)
- 細胞分裂に重要な役割を果たす微小管に作用し、分裂を途中で停止させ抗腫瘍効果をあらわす薬
- がん細胞は無秩序に増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
- 細胞増殖は細胞の分裂によりおこり、細胞分裂に重要な役割を果たす微小管という物質がある
- 本剤は微小管の構成タンパクに作用し、細胞周期を分裂の途中で停止させる作用をあらわす