医師たちがつくる病気事典メドレー

大腸がん

大腸がんの基礎知識

大腸がんとは?

  • 大腸の粘膜にがんができて、周囲の正常な細胞を壊しながら広がっていく病気
  • 大腸がんを大きく分けると、結腸がんと直腸がんとになる
  • 明らかな原因は分かっていない
    • 大腸がんは欧米人に多いこと、日本人の大腸がんの患者数が昔より増えていることから、欧米風の肉類中心の食事や脂肪の多い食事が関係しているのではないかという考えもある
  • 大腸がんの出来方は2パターン
    • 腸ポリープが悪性に変わる
    • 粘膜からがんが直接発生する
  • がんによる死亡の原因として、女性では第1位、男性では肺がん胃がんについで3位
  • 傾向として、50代以降から発病する人が増える
大腸がんの説明画像


症状

  • 大腸のどの部分にがんができているかによって症状の出方が変わるので、必ずこれが出るという症状はない
  • 代表的な症状(多くは便に関連した症状)
    • 血便(血の混じった便)
    • 下血(黒い便が出てくる)
    • 下痢と便秘の繰り返し
    • 便が細い
    • 便が残っている感じ(残便感)がする
    • お腹が張る(腹部膨満感)
    • 腹痛
    • 原因不明の体重減少(食事をしていても減っていく)
    • 貧血(動くと息が切れる)
  • 大腸がんができると血便が出ることが多い
    • しかし血便を起こす病気は他にもたくさんあるので、追加での検査が必要
  • がんの初期では症状がでないことがほとんどなので、健診の大腸カメラ下部消化管内視鏡検査)で初期のがんがみつかることも多い

検査・診断

  • 便検査
    • 大腸がんを見つけるために最も簡便な検査
    • 便に血液がまじっていないか調べる
    • わずかな血便は目で見ても血液が混じっているかわからないので、検査することで早期に見つけることが可能
  • 血液検査:全身の状態や腫瘍マーカーなどを調べる
    • 大腸がんの腫瘍マーカーは、CEA、CA19-9、p53抗体など
  • 診断に必要な検査:大腸の中にがんの疑いのある腫瘍がないかなど調べる
    • 大腸カメラ下部消化管内視鏡検査
      消化管の中を目視できるので最も正確に診断できる
      ・あやしい病変を見つけたら、細胞を採取して顕微鏡で詳しく調べることができる
      ・ポリープであれば観察時に切除して治療することもできる
    • 下部消化管造影検査
  • 組織診:大腸カメラの際に、がんの疑いのある腫瘍を切り取り、がん細胞の有無や悪性度を詳しく調べる
  • 画像検査:がんの大きさや広がりなどを詳しく調べる
    • 腹部超音波検査
    • 腹部CT検査
    • MRI検査
  • 様々な検査を行い、がんの深さやリンパ節や他の臓器への転移があるかどうかを調べて、がんの進行具合(ステージ)を判断する

治療

  • 治療の原則は、「がんをできる限り取り除く」こと
  • 主な治療
    • 取り除く方法としては二つ
      内視鏡を使って取り除く
      ・手術で取り除く
    • 内視鏡を使う方が、体への負担が少ないが、初期のがんに限られる(初期というのは、がんが大腸の壁の浅いところにあったり、サイズが小さいもの、臓器にもリンパ節にも転移のないもの)
    • 内視鏡による治療が難しい場合、手術をしてがんを取り除く
    • 肛門に近い部分にがんがある場合は、人工肛門を作る必要がある場合がある
    • 転移がある場合は手術を行うことは少なく化学療法が行われることが多いが、肝臓や肺への転移で、転移の個数が少ない場合や経過で個数が増えてこない場合は、手術で取り除くことも効果がある
    • 大腸がんのために大腸がつまってしまった場合には緊急手術を行うこともある
    • 転移があっても、大腸がんが大きくつまる可能性がある場合は大腸の手術を行う(根治する目的でなく、症状を緩和する目的の手術)
    • 化学療法による治療は、手術後に再発を抑えることを目的とする場合や転移をしていて手術で取りきれないような場合に行われる
    • 転移をしている場合、化学療法による治療でがんを完全に治すことは困難であるため、あくまでがんの進行を遅らせたり、一時的に小さくしたりする効果を期待して行われる。ただし、化学療法がよく効いて手術で切除ができるようになる場合もある。
  • 予後
    • 5年生存率は早期で見つかれば95%以上であるが、進行がんではこの数字は下がる

大腸がんに関連する治療薬

白金製剤(プラチナ製剤)

  • 細胞増殖に必要なDNAに結合することでDNA複製阻害やがん細胞の自滅を誘導し抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞の増殖には遺伝情報をもつDNAの複製が必要となる
    • 本剤はがん細胞のDNAと結合し、DNAの複製とがん細胞の自滅を誘導することで抗腫瘍効果をあらわす
  • 本剤は薬剤の構造中に白金(プラチナ:Pt)を含むため白金製剤と呼ばれる
白金製剤(プラチナ製剤)についてもっと詳しく≫

NK1受容体拮抗薬

  • がん薬による嘔吐中枢への刺激を阻害し、悪心(吐き気)・嘔吐を抑える薬
    • 抗がん薬投与による悪心・嘔吐は延髄に嘔吐中枢に刺激が伝わりおこる
    • 脳のCTZや中枢神経に多く存在するNK1(ニューロキニン1)受容体が作用を受け嘔吐中枢に刺激が伝わる
    • 本剤はNK1受容体を阻害することで嘔吐中枢への刺激を抑える
  • 原則として、5-HT3受容体拮抗薬と併用して使用する
NK1受容体拮抗薬についてもっと詳しく≫

5-HT3受容体拮抗薬

  • がん薬による嘔吐中枢への刺激を阻害し、悪心(吐き気)・嘔吐を抑える薬
    • 抗がん薬投与による悪心・嘔吐は延髄にある嘔吐中枢に刺激が伝わりおこる
    • 脳のCTZや消化管には5-HT3受容体という伝達物質のセロトニンの作用により嘔吐中枢へ刺激を伝えるものがある
    • 本剤は5-HT3受容体拮抗作用により、嘔吐中枢への刺激を阻害する
5-HT3受容体拮抗薬についてもっと詳しく≫

代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)

  • DNAの構成成分に類似した化学構造をもち、細胞増殖に必要なDNA合成を阻害して抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序に増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞増殖に必要なDNAの成分にピリミジン塩基と呼ばれる物質がある
    • 本剤はピリミジン塩基と同じ様な構造をもち、DNA合成の過程でピリミジン塩基の代わりに取り込まれることなどにより抗腫瘍効果をあらわす
  • フルオロウラシルやシタラビンを元にして造られ体内で代謝を受けてこれらの薬剤へ変換される製剤(プロドラッグ製剤)がある
代謝拮抗薬(ピリミジン拮抗薬)についてもっと詳しく≫

分子標的薬(セツキシマブ〔抗ヒトEGFRモノクロナール抗体〕)

  • がん細胞の増殖に関わる上皮成長因子受容体に結合することでこの受容体の働きを抑え、がん細胞の増殖抑制作用などをあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞増殖のシグナル伝達で必要な上皮成長因子受容体(EGFR)というものがある
    • 本剤はがん細胞表面に存在するEGFRに結合することでこの受容体の働きを阻害し細胞増殖のシグナル伝達を遮断する
  • 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
分子標的薬(セツキシマブ〔抗ヒトEGFRモノクロナール抗体〕)についてもっと詳しく≫

分子標的薬(ベバシズマブ〔抗VEGFヒト化モノクロナール抗体〕)

  • がん細胞の増殖に必要なVEGFという物質の働きを阻害し血管新生を抑えることで抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • がん細胞の増殖には、がんに栄養を送る血管の新生が必要となり血管内皮増殖因子(VEGF)という物質が血管内皮の増殖や血管新生に関与する
    • 本剤はVEGFに結合しVEGFの働きを阻害することで腫瘍組織の血管新生を抑制する作用をあらわす
  • 本剤は他の抗がん薬の効果を高める作用もあらわす
  • 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
分子標的薬(ベバシズマブ〔抗VEGFヒト化モノクロナール抗体〕)についてもっと詳しく≫

分子標的薬(パニツムマブ〔ヒト型抗EGFRモノクロナール抗体〕)

  • がん細胞の増殖に関わる上皮成長因子受容体に結合することでこの受容体の働きを抑え、がん細胞の増殖抑制作用などをあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞増殖のシグナル伝達で必要な上皮成長因子受容体(EGFR)というものがある
    • 本剤はがん細胞表面に存在するEGFRに結合することでこの受容体の働きを阻害し細胞増殖のシグナル伝達を遮断する
  • 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
分子標的薬(パニツムマブ〔ヒト型抗EGFRモノクロナール抗体〕)についてもっと詳しく≫

分子標的薬(ラムシルマブ〔ヒト型抗VEGFR-2モノクロナール抗体〕)

  • がん細胞の増殖に必要なVEGFという物質の受容体への結合を阻害し腫瘍血管新生を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • がん細胞の増殖には、がんに栄養を送る血管の新生が必要となり血管内皮増殖因子(VEGF)という物質が血管内皮の増殖や血管新生に関与する
    • 本剤は血管内皮細胞増殖因子の受容体(VEGFR-2)へのVEGFの結合を阻害し腫瘍組織の血管新生を阻害する
  • 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
分子標的薬(ラムシルマブ〔ヒト型抗VEGFR-2モノクロナール抗体〕)についてもっと詳しく≫

レボホリナートカルシウム

  • がん薬であるフルオロウラシルのDNA合成阻害作用を増強し、抗腫瘍効果を高める薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 消化器がんなどで使用されるフルオロウラシルはチミジル酸合成酵素(TS)という酵素と結合することでTSを阻害しDNA合成を阻害することで、抗腫瘍効果をあらわす
    • 本剤は体内でフルオロウラシルの代謝活性物質と一緒にTSと強固な複合体を形成し、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強する
レボホリナートカルシウムについてもっと詳しく≫

ホリナートカルシウム(抗腫瘍効果の増強として)

  • がん薬であるテガフール(体内でフルオロウラシルに変換される)・ウラシル配合剤の抗腫瘍効果を高める薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 抗がん薬のフルオロウラシル(5-FU)はチミジル酸合成酵素(TS)という酵素と結合することでTSを阻害しDNA合成を阻害し抗腫瘍効果をあらわす
    • 本剤は体内でフルオロウラシルの代謝活性物質及びTSと強固な複合体を形成し、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強する
  • ホリナートカルシウム製剤の中には、葉酸代謝拮抗剤(メトトレキサート など)の毒性軽減へ使用するものもある
ホリナートカルシウム(抗腫瘍効果の増強として)についてもっと詳しく≫




version 7.4(β)
本サービスにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。本サービス上の情報や利用に関して発生した損害等に関して、弊社は一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
©Medley, Inc. All Rights Reserved.