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くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)

くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)の基礎知識

くも膜下出血とは?

  • 脳の周りの「くも膜下腔」という場所に出血が起きる病気
  • 英語のsubarachnoid hemorrhageを略してSAH(ザー)とも言う
  • くも膜下出血は脳の周りで起こる出血の一種
    • 脳は「軟膜」「くも膜」「硬膜」という3つの膜で包まれている
    • 軟膜とくも膜の間のスペースをくも膜下腔と呼ぶ
    • 狭い意味での脳出血は軟膜に包まれた脳自体の出血であり、くも膜下出血と区別して脳実質内出血とも言う
    • くも膜下出血、脳出血脳梗塞を合わせて脳卒中と言う
  • 主な原因
くも膜下出血(非外傷性くも膜下出血)の説明画像


症状

  • 主な症状
    • 突然の激しい頭痛(「突然バットで殴られたような痛み」などと表現される)
    • 吐き気、嘔吐
    • 意識がもうろうとする、意識を失う
  • 麻痺などの症状を起こすことは少ない
  • 比較的症状が軽い場合もある

検査・診断

  • 身体診察:髄膜刺激症候と呼ばれる症状を見る
    • 首が硬くなり前に倒せない(項部硬直)
    • 仰向けで片足を上げ、膝を伸ばすことができない(ケルニッヒ徴候)
    • 仰向けで首を曲げると足が勝手に曲がる(ブルジンスキー徴候)
  • 眼底検査
    • くも膜下出血では脳の周りの液体(髄液)の圧力が上がり、目の中を見ることで変化を見つけられることがある
    • 眼底鏡という道具を目に当てて、瞳の中を覗き込む
    • 眼球の中身(硝子体)は透明なので、後ろにある網膜などが見える
    • 網膜の中に、視神経がつながっている部分(視神経乳頭)が見える
    • くも膜下出血があると視神経乳頭がぼやけて見える(うっ血乳頭)
  • 髄液検査
    • 背中に針を刺して髄液を取り出す(腰椎穿刺
    • くも膜下腔は脳から背骨の中(脊柱管)につながっているので、背中から髄液を取り出せる
    • くも膜下出血があると髄液に血液が混ざる
    • 眼底検査でうっ血乳頭があるときは腰椎穿刺をしてはいけない
      ・頭の中から背中へ髄液が急に流れ出し、脳の一部が本来の位置から動いて隣り合う部分を圧迫することで、呼吸が止まる恐れがあるため(大後頭孔ヘルニア
      ・腰椎穿刺の前に眼底検査を行う
  • 画像検査:くも膜下出血の有無、程度などを調べる
    • 頭部CT検査:脳の隙間に血液がたまり、ヒトデ型またはペンタゴン(五角形)と呼ばれる特徴的な白い影が写る
      ・ペンタゴンがなくても脳の隙間の出血が見つかることがある
    • 造影CT:造影することで、動脈瘤の大きさや形が分かる
    • くも膜下出血を見つけるにはMRIよりCTが適している
  • 頭部血管造影検査カテーテル検査):動脈瘤の形などを更に詳しく調べる
    • 手術の前など、詳しい検査が必要な場合に行うことが多い
    • カテーテルという細い管を血管に入れ、X線透視で観察しながら、脳の血管にまで届かせる
    • カテーテルの先から造影剤を注入し、血管の形を造影する
    • カテーテル検査をして、そのままカテーテル治療を行うこともある

治療

  • くも膜下出血は非常に重篤な病気なので、入院治療が必要
  • 急性期の治療
    • 出血によって脳が圧迫され、命の危険がある場合は開頭手術で血腫を取り除き、圧を下げる
    • 急性期は水頭症や、脳血管攣縮(れんしゅく)と言って血腫による刺激で脳の血管が細くなって脳梗塞が起こることがあり、非常に重篤な状態になりうる
    • 肺炎電解質異常てんかんなど様々な合併症が起こる可能性が高く、それらに対する予防と早期発見、早期治療が行われる
    • 中等症以上の重症度であれば、集中治療室で治療することが多い
  • 脳動脈瘤の再破裂を防ぐ治療
    • 発症してすぐに行われることもあれば、2週間以上経って落ち着いてから行われることもあり、個々の状況に応じた治療が選択される
  • 再破裂を防ぐための主な治療
    • 脳動脈瘤クリッピング術(開頭手術)
      脳動脈瘤は血管にできたこぶの形をしているので、その根本をクリップ(洗濯バサミのような形の金属)で挟む
    • コイル塞栓術(カテーテル治療
      ・太ももの付け根の血管からカテーテルという細いワイヤーを動脈瘤まで進め、動脈瘤の中に細くて柔らかい金属のコイルを詰める
      ・詰められたコイルによって脳動脈瘤の中の血流がなくなり、破裂しなくなる

くも膜下出血に関連する治療薬

ADP阻害薬(抗血小板薬)

  • 血小板の活性化に基づく血小板凝集を抑え、血栓の形成を抑え血管をつまらせないようにする薬
    • 血小板が凝集すると血液が固まりやすくなり血栓ができやすくなる
    • 体内にADPという血小板凝集を促進させる物質がある
    • 本剤は血小板でのADPの作用を抑えることで、抗血栓作用をあらわす
ADP阻害薬(抗血小板薬)についてもっと詳しく≫

くも膜下出血の経過と病院探しのポイント

この病気かなと感じている方

くも膜下出血は脳卒中の一種です。突然の頭痛や意識障害(会話ができなくなるなど)で発症することで知られています。

くも膜下出血は、脳神経外科、脳外科が専門の診療科ですが、病院や症状によっては神経内科で診療を行う場合もあります。もし心当たりがあれば、脳神経外科(脳外科)のある総合病院を受診することをお勧めします。脳卒中センターを設けている病院は専門性が高く高度な医療を提供していることが多かったり、ICU (intensive care unit), HCU (high care unit), SCU (stroke care unit) などと呼ばれるような集中治療室がある病院だと手術後の経過をよりしっかりと追うことができたりといった違いはありますが、実際のところは救急車で搬送される場合も多いです。救急隊は、近さや病院の専門性を考慮した上で、適切な病院を判断し案内してくれますので、安心して対応を任せてください。


この病気でお困りの方

くも膜下出血の診断はCTで行います。国内の総合病院であればほとんどのところにCTの設備がありますので、診断のために特別な病院を選択しなければならない、ということはありません。

くも膜下出血の根本治療としては、カテーテル治療脳動脈瘤クリッピング手術があります。この両者は、くも膜下出血の原因となった動脈瘤の場所や、動脈瘤の形によって使い分けられます。病院によって、カテーテル治療とクリッピング手術のうち、相対的に得意な(手術数が多い)治療法を選択する場合が多いです。どちらが絶対的に良いということはありませんので、医師と相談しながら、その病院が得意とする方の治療で行うことが良い結果につながりやすいでしょう。しかし、もしどちらかの治療しか行っていないというようなことであると、ややバランスが偏った医療機関である可能性があります。

くも膜下出血で後遺症が残ってしまった場合、長期間のリハビリテーションが必要となります。後遺症が大きく一人で日常生活を行うことができないような場合には、急性期病院から回復期病院(リハビリ病院、療養型病院)に転院して、リハビリを行うことになります。急性期病院にも一般的にリハビリの施設はついていますが、回復期病院の方がリハビリに専念しやすい環境が整っています。

一緒にリハビリを行うことになるのは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といったスタッフです。患者さん一人あたりのスタッフ数や、リハビリ設備(リハビリ室や器具)の充実度といったところは病院を探す上で参考になります。リハビリの回数が1日1回なのか、それとも午前と午後で2回あるのか。1日に受けられるリハビリの総時間や、土日はどうかといった点も、回復期の病院を探す上でのポイントとなります。





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