えいちあいぶいかんせんしょう
HIV感染症
HIVウイルスに感染している状態。AIDSが発症していない状態も含む
5人の医師がチェック
40回の改訂
最終更新: 2024.11.26
HIV感染症の基礎知識
POINT HIV感染症とは
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した状態のことを指します。感染してから数年から数十年で免疫機能(特に細胞性免疫)が低下しエイズを発症します。主に性行為や輸血などで感染がうつりますが、特に肛門性交を行う男性同性愛者の間で流行が目立ちます。感染してすぐに出てくる症状は風邪のようなものが多く、発熱・咽頭炎・リンパ節腫脹・皮疹・筋肉痛などになります。そのためインフルエンザなどのかぜ症候群と間違うことも多いです。 血液検査を行って診断します。治療には抗HIV薬を用います。感染症の背景から考えると、同性間性交を行う人・頻繁に肛門性交を行う人・不特定多数と性行為を行う人は特に注意が必要になります。HIV感染症が心配な人や治療したい人は、感染症内科を受診して下さい。
HIV感染症について
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した状態
- 病気の経過
- 主な原因
- 性行為による感染:粘膜や傷口からの感染
- 血液感染:注射の回し打ち(麻薬や覚せい剤など)や輸血、臓器移植など
- 母子感染:分娩時に起こる母から子への感染
- 治療
- ARTと呼ばれる複数の薬をあわせた治療法が行われる
- 薬剤の効きにくいウイルス(耐性ウイルス)が存在することがあるので、治療前に薬剤耐性検査を行う
- 副作用が出ることも多いので、治療開始前にあらかじめどんな事が起こりうるか確認しておくことが大切である
- 実勢
- 日本では約2万人以上が感染していると考えられている
- 毎年1000人前後の新規感染者の報告がある
HIV感染症の症状
- HIV感染初期の症状
- AIDSが発症するまでの数年から10年くらいは無症状のことが多い
- エイズ発症期は感染や合併した悪性腫瘍による症状がでる
- エイズになると日和見感染(通常の免疫力があればかからないはずの感染症にかかること)を起こす
- カンジダ感染症
- ニューモシスチス肺炎
- クリプトコッカス髄膜炎
- 非定型抗酸菌感染
- 結核
- サイトメガロウイルス感染 など
- 悪性腫瘍:悪性腫瘍が起こりやすくなる
- エイズになると日和見感染(通常の免疫力があればかからないはずの感染症にかかること)を起こす
- その他に、認知症症状(HIV脳症)や、腎障害などが生じる
HIV感染症の検査・診断
- 血液検査:HIVへの感染が疑われる場合は抗体検査でHIVに感染しているかどうかを調べる
- 感染が分かった後は、治療の経過や免疫の状態を調べるために定期的に検査を行う
- HIV RNA量
- CD4陽性Tリンパ球数
- HIV RNA量を一定値以下に保ち、CD4陽性Tリンパ球数を一定値以上に保つことで病状を抑えることができる
- 性的パートナーへのHIV感染を防ぐためにHIV RNA量を200コピー/mL未満にすることが大切である
- 感染が分かった後は、治療の経過や免疫の状態を調べるために定期的に検査を行う
- その他合併している感染症や悪性腫瘍に対して必要に応じて検査を行う
HIV感染症の治療法
- 基本的な治療方針
- HIVを完全になくすためにはとても長い期間(50-90年ほど)の治療が必要だが、ウイルスの増殖を抑える抗HIV療法を行うことで、HIV感染からエイズの発症までの期間を遅くすることができる
- HIV感染が判明した場合にはまずは検査で状況を把握することが大切
- CD4陽性Tリンパ球数
- ウイルス量(HIV RNA量)
- 合併症の有無 など
- どの程度病状が進行してから治療開始するかは諸説あったが、近年は早期から治療を開始することが重要と考えられている
- 主な治療
- 抗HIV薬の多剤併用療法が行われる
- 核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)
- 非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)
- プロテアーゼ阻害薬(PI)
- インテグラーゼ阻害薬(INSTI)
- 侵入阻害薬
- 治療は全国各地にあるエイズ治療拠点病院を中心に行われている
- 近年では合剤(一錠中に複数の薬効成分を含むもの)が登場し、飲みやすさが簡便になってきている
- 飲み忘れると治療効果が格段に下がってしまうので、毎日欠かさずに飲み続けることが必要になる
- 治療を受けたHIV感染症患者の平均余命は非感染者とほぼ同等と考えられている
- 抗HIV薬の多剤併用療法が行われる
- 副作用
- 次のような副作用が起こりやすい
- 下痢
- 吐き気
- 食欲低下
- 頭痛
- 不眠
- めまい
- 血圧上昇
- 皮疹
- 血球減少
- 肝機能異常
- 脂質異常
- ビリルビン高値
- 次のような副作用が起こりやすい
- 予防
- 性行為中にコンドームを適切に使用し、また体液の接触を回避することによって感染を予防できる
HIV感染症に関連する治療薬
CCR5阻害薬(抗HIV薬)
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の宿主細胞への侵入を阻害することで感染拡大を阻止する薬
- HIVはリンパ球などに感染し、免疫系を徐々に破壊することでHIV感染症を引き起こす
- HIVの宿主細胞への感染には、まず細胞内に侵入することが必要であり、その時に使用するケモカイン受容体というものがある
- 本剤はケモカイン受容体の一つであるCCR5とHIVの結合を阻害することにより、HIVの細胞内への侵入を阻害する
- 本剤はHIVの中でも細胞内侵入の際にCCR5を使用するCCR5指向性HIVの感染症へ使用する
インテグラーゼ阻害薬・非核酸系逆転写酵素阻害薬配合剤(抗HIV薬)
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の宿主細胞への感染を阻害し、ウイルスの増殖を抑える作用をあらわす薬
- HIVはリンパ球などに感染し、免疫系を徐々に破壊することでHIV感染症を引き起こす
- HIVが宿主細胞への感染を成立させるには逆転写酵素やインテグラーゼなどの酵素の働きが必要となる
- 本剤はインテグラーゼ阻害薬と逆転写酵素阻害薬の配合製剤で、HIVの宿主細胞への感染を不成立にする作用をあらわす
インテグラーゼ阻害薬(抗HIV薬)
- インテグラーゼという酵素を阻害し、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の体内での感染拡大を抑える薬
- HIVはリンパ球などに感染し、免疫系を徐々に破壊することでHIV感染症を引き起こす
- HIVは宿主細胞に自身の遺伝子を組み込むことで感染を成立させ、この組み込み反応にはインテグラーゼという酵素が必要となる
- 本剤はインテグラーゼ阻害作用をあらわしHIVの宿主細胞への感染を不成立にする作用をあらわす
- 本剤は他の抗HIV薬と併用し多剤併用療法(ART)に用いる
この記事は役に立ちましたか?
MEDLEY運営チームに、記事に対しての
感想コメントを送ることができます
HIV感染症のタグ
HIV感染症に関わるからだの部位






