せいそうしゅよう
精巣腫瘍
精巣に生じる腫瘍の総称でそのほとんどが悪性腫瘍である
6人の医師がチェック 87回の改訂 最終更新: 2024.03.13

精巣腫瘍(精巣がん)の症状について

精巣腫瘍は陰嚢内にある精巣の腫れをきっかけにして見つかることがほとんどです。精巣腫瘍が見つかるときの症状を中心に、転移による症状や再発による症状についても合わせて説明します。

1. 精巣腫瘍の主な症状

精巣腫瘍のほとんどは陰嚢が大きくなってきたことから見つかります。痛みをともなうことは少なく、この症状は無痛性陰嚢腫大と呼ばれます。精巣腫瘍は短期間で大きくなることが多く、触ると硬いしこりを感じます。無痛性陰嚢腫大以外の症状が見られることは多くはありません。

なお、精巣腫瘍以外で陰嚢が大きくなる病気には、陰嚢水腫精巣炎精巣上体炎があります。陰嚢腫大の原因を調べるために診察や検査が行われます(精巣腫瘍の検査については「こちらのページ」を参考にしてください)。

2. 精巣腫瘍が転移した時に見られる症状

精巣腫瘍は進行が早く転移しやすいことが知られています。転移した腫瘍が大きくないうちは症状を現さない場合も多いのですが、大きくなると症状が現れやすくなります。精巣腫瘍が転移しやすいのは、後腹膜リンパ節(大動静脈周囲のリンパ節)や肺、肝臓ですが、転移した部位ごとに症状が異なります。

■後腹膜リンパ節転移による症状

後腹膜リンパ節はお腹の中にある太い血管(大動脈と大静脈)の周囲にあるリンパ節のことです。ここに転移した腫瘍がが大きくなると、周囲の神経や臓器を圧迫して、腰痛や背中の痛みが出ることがあります。

■肺転移による症状

リンパ節を除くと、肺は精巣腫瘍が最も転移をしやすい臓器です。肺に転移が起こると、咳や血痰(血液混じりの痰)などが現れることがあります。

■肝転移による症状

肝臓は肺に次いで、精巣腫瘍が転移しやすい臓器です。肝臓に転移すると、腹痛や、腹部膨満感、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などが現れることがあります。

3. 精巣腫瘍が再発したときの症状

精巣腫瘍を治療した後は再発に注意しなくてはいけません。再発をすみやかに見つけるために、定期的に血液検査(腫瘍マーカーの測定)や画像検査(CT検査やPET検査)が行われます。定期的な検査で無症状のうちに見つかることは少なくありません。

一方で、症状から再発が見つかることもあります。再発による症状は再発部位によって異なるので、「転移したときの症状」と同じく一様ではありません。例えば、肺に再発した場合は、咳や血痰(血液混じりの痰)などが現れますし、肝臓に再発した場合には、腹痛や腹部の張りなどの症状が現れます。

再発が心配な人に抑えておいて欲しいポイントは、治療後に何らかの症状が現れたとしても、その症状が必ずしも再発のサインではないことです。先に例で挙げた咳は風邪気管支炎でも見られる症状ですし、腹部の張りは便秘食中毒でも見られる症状です。治療後に身体の変調を感じるとどうしても再発と結びつけて考えがちですが、そうとも限らないことは知っておいてください。とはいえ、原因は詳しく調べなければ分からないものなので、心配なことがあればかかりつけのお医者さんに相談してみてください。