[医師監修・作成]精巣腫瘍(精巣がん)の検査について | MEDLEY(メドレー)
せいそうしゅよう
精巣腫瘍
精巣に生じる腫瘍の総称でそのほとんどが悪性腫瘍である
6人の医師がチェック 78回の改訂 最終更新: 2022.02.09

精巣腫瘍(精巣がん)の検査について

精巣腫瘍は陰嚢が大きくなってきたことから見つかるケースがほとんどです。身体診察で痛みのない精巣のしこりが確認されると精巣腫瘍が強く疑われ、超音波検査や血液検査といった検査が追加されます。診察や検査の結果から精巣腫瘍と診断されたら、手術で精巣を取り除き、腫瘍の広がりを画像検査で調べます。

1. 問診

問診の主な目的はお医者さんが患者さんの「身体の状況」や「背景」を把握することです。主に対話形式で、患者さんはお医者さんに困っている症状や身体の変化について伝え、お医者さんからは症状や背景(持病や服用している薬など)について詳しく質問されます。

【精巣腫瘍が疑われる人への質問の例】

  • 症状について
    • どんな症状を自覚するのか
    • 症状はいつからあるのか
    • 症状が軽くなったり重くなったりすることはあるのか
  • 持病や過去にかかった病気について
  • 内服薬について

精巣腫瘍のほとんどは陰嚢腫大(陰嚢が大きくなること)をきっかけに見つかります。陰嚢が大きくなる病気には「陰嚢水腫(陰嚢の中に水が溜まる病気)」や「精巣炎」「精巣上体炎」などがありますが、陰嚢腫大の原因が精巣腫瘍の場合は、「痛みがない」「しこりがある」「急速に大きくなる」といった特徴があります。(精巣腫瘍の症状については「こちらのページ」を参考)

2. 身体診察

お医者さんが患者さんの身体の状態を直接くまなく調べることを身体診察と言います。身体診察にはいくつか方法があり、「バイタルサイン(血圧・脈拍数・呼吸数・体温・意識レベル)の測定」や、「触診(身体を触って痛みの有無や硬さなどを調べること)」「聴診(聴診器を使って身体の中の音を聞くこと)」などがあります。

陰嚢腫大(陰嚢が大きくなること)の症状がある人にはお医者さんが直接触れて、陰嚢の中身の状態を詳しく調べます。痛みがなく陰嚢の中にしこりがあるといった特徴がみられる人には、精巣腫瘍がより疑わしくなるので、それに合わせた検査が行われます。

3. 血液検査:腫瘍マーカーなど

血液検査では「臓器機能」や、「栄養状態」「腫瘍マーカーの異常」を調べることができます。

臓器機能や栄養状態

手術や抗がん剤といった治療は身体に負担がかかります。そのため、治療を受けられる状態かどうかを事前に調べる必要があります。例えば、シスプラチンという抗がん剤治療は腎臓に負担がかかるので、腎臓の機能が低下している人には薬の量が調節されます。また、栄養状態が悪化している人には治療を急ぐより、栄養状態を整えることを優先することがあります。

腫瘍マーカーの異常の有無

精巣腫瘍にはAFP、βHCG、LDHといった腫瘍マーカーがあります。リスク分類(IGCC分類)に腫瘍マーカーの値を当てはめることで、病気の経過を見通しやすくなります。また、精巣腫瘍は「セミノーマ」と「非セミノーマ」の2つのタイプに分けることができますが、両者で異常がみられやすいマーカーが異なるので、腫瘍タイプの予想に役立てることもできます。

■AFP(アルファフェトプロテイン)

非セミノーマの人の50%から70%で上昇がみられます。一方で、セミノーマではAFPが上昇することはありません。

■βHCG(ベータエイチシージー)

非セミノーマの人の40%から60%程度で上昇がみられます。セミノーマでも30%の人で上昇がみられます。

■LDH

LDHは病気の勢いを反映しやすいと考えられています。AFPやβHCGに比べて短い時間で結果がわかるので、治療の効果を簡便に推定するのに適しています。

4. 画像検査

精巣腫瘍が疑われる人には画像検査で精巣の状態や腫瘍の広がりが詳しく調べられます。画像検査には超音波検査や、CT検査、MRI検査、PET検査があり、それぞれ特徴があります。

超音波検査(エコー検査)

エコー検査はプローブという超音波が出る機械を身体に当てて、超音波の反射の程度を利用して体内の断面を画像化する検査です。観察したい部位にジェルを塗ってプローブを当てて検査が行われます。精巣腫瘍は陰嚢の膨らみで見つかることがほとんどですが、超音波検査を行うとこの膨らみが精巣の腫れによるものなのか、陰嚢内に溜まった水分によるものなのかを見分けることができます。

CT検査

CT検査は放射線を利用して身体の断面を画像化する検査です。CT検査では超音波検査よりも広い範囲を短時間でで詳しく調べられるので、「腫瘍の広がり」や「転移の有無」を素早く確認することができます。

また、より詳しく身体の状態を知るために、造影剤という薬を注射してCT検査が行われることがあります(造影CT検査)。CT検査で得られる画像はモノクロですが、造影剤を使うとこの白黒のコントラストが明瞭になるので、腫瘍や転移の広がりがわかりやすくなります。なお、「腎機能が低下している人」や「一部の糖尿病治療薬(メトホルミンなど)を内服中の人」「持病に喘息がある人」「造影剤にアレルギーがある人」には造影剤を使うことができません。当てはまる人はお医者さんに伝えてください。CT検査の詳しい説明は「こちらのコラム」も参考にしてください。

MRI検査

MRI検査は、磁気を利用して身体の断面を画像化する検査です。CT検査と似てはいますが、放射線を利用しないので被ばくの心配がありません。MRI検査は精巣腫瘍が疑われる人の全てに行われるわけではなく、精巣腫瘍かどうかの判断がつきづらい人に行われることが多いです。超音波検査やCT検査の結果で十分判断できる人には行われないこともあります。

また、CT検査と同様により詳しく調べる必要がある場合は、造影剤を注射してMRI検査が行われます。MRI検査で使う造影剤はCT検査で使われるものとは異なりますが、CT検査と同様に「腎臓の機能が低下している人」「造影剤にアレルギーがある人」には使うことができません。当てはまる人はお医者さんに伝えてください。MRI検査の詳しい説明は「こちらのコラム」も参考にしてください。

PET検査(PET/CT検査)

PET検査は腫瘍細胞が通常の細胞よりも糖分を活発に取り込むことを利用した検査です。糖に放射性物質の目印をつけたFDG(フルオロデオキシグルコース)という物質を注射して画像検査が行われます。注射で体内に入ったFDGはしばらくすると、腫瘍細胞によく取り込まれます。放射線を捉える方法で画像を撮影すると、FDGが集まっている部分が可視化されて腫瘍細胞を見つけることができます。PET検査は精巣腫瘍の中でもセミノーマの発見に有効と考えられています。また、腫瘍を見つけるだけではなく治療の効果判定にも用いられます。

5. 病理検査

病理検査は病気が疑われる部分を切り出して顕微鏡で詳しく調べる検査です。精巣腫瘍が疑われる人では摘出した腫瘍を特殊な薬品で着色して、腫瘍の種類や悪性度などが調べられます。精巣腫瘍では腫瘍の種類が治療法に大きく関わってくるので、病理検査の結果が特に重要になります。