低カリウム血症の基礎知識
POINT 低カリウム血症とは
カリウムは体内に含まれる電解質(ミネラル)であり、心臓をはじめとした全身の筋肉が働く際に重要な役割を果たします。正常では血液中のカリウム濃度は4.0mEq/L前後に維持されていますが、血液中カリウム濃度が3.0mEq/L以下ほどに下がってくると、脱力感、筋力低下、怠さなどの症状が出てくる人もいます。また、さらに血液中カリウム濃度が低下すると手足が麻痺する、手足が痺れるなどの症状が出現したり、不整脈などが起きる可能性があります。低カリウム血症の診断は血液検査で行います。また、低カリウム血症の原因を調べるために尿検査や画像検査などが必要となる人もいます。低カリウム血症の治療は、低カリウム血症を起こした原因によって異なりますが、基本的な対応としてはカリウム製剤を内服したり点滴する、カリウムを多く含む食事を摂るようにする、などがあります。低カリウム血症が心配な人や治療したい人は内科を受診してください。多くの場合、一般内科で対応可能ですが、内分泌内科や腎臓内科が特に専門としていることが多いです。
低カリウム血症について
低カリウム血症の症状
低カリウム血症の検査・診断
低カリウム血症の治療法
- 薬が原因の場合は原因薬剤を中止したり減量する
- 大抵はカリウムを多く含む食品を食べるか、カリウムのサプリメントの服用で回復することが多い
- カリウムを多く含む食品の例として、海藻、いも類、豆類、野菜、果物などがある
- 煮たり茹でたりするとカリウムは水中に溶け出す
- カリウム製剤を飲んだり、カリウムを上昇させる利尿薬などを使用する
- 効果がない場合や危険なほどカリウム濃度が低い場合は、致死的な不整脈(心室細動など)が起こらないようにすることが最も重要
- カリウムを点滴で補充するが、高カリウム血症も危険であるため慎重なコントロールが必要
- 低マグネシウム血症を
合併 している場合はカリウムの補充だけでは治療できないので、マグネシウムの値も一緒にに治療することが大切
低カリウム血症に関連する治療薬
カリウム製剤
- 体内にカリウムを補充しカリウムが不足することでおこる脱力感や吐き気などの症状を改善する薬
- 低カリウム血症は血液中のカリウム濃度が低下した状態で筋肉症状、消化器症状などがあらわれる
- カリウムは筋肉や神経などの働きに関わる
- 本剤はカリウムを含む製剤であり体内にカリウムを補充する
- 利尿薬などの薬剤を使用中に起こりうるカリウム不足に対して使用される場合もある
低カリウム血症の経過と病院探しのポイント
低カリウム血症が心配な方
低カリウム血症では、だるさや手足のけいれんといった症状が出現します。しかし、他にも似た症状の病気は沢山あり、症状だけから自己診断するのは難しい病気です。低カリウム血症の診断そのものは、内科全般で行えます。血液検査が行える医療機関であればどこでも対応が可能です。
低カリウム血症は、血液検査の結果で診断します。カリウムの濃度は通常3.5-5.0mEq/l程度ですが、3.0mEq/lや2.5mEq/lを下回って、だるさやけいれんなどの症状がある場合に低カリウム血症と診断します。ご高齢の方では、これらより低い値であっても特に症状がないことも多いです。
低カリウム血症でお困りの方
低カリウム血症の治療では、カリウムの摂取によって体内にカリウムを補うことになります。症状が軽く自宅で過ごせる程度の低カリウム血症であれば、バナナなどカリウムを多く含むものを摂取するだけでも十分な治療になります。強い症状があって入院が必要な時には、点滴でカリウムの補給を行います。
それと同時に、低カリウム血症の原因となった何らかの病気(嘔吐、下痢、内服薬の副作用など)が隠れていることも多いですので、そちらの治療、対応も同時に行う必要があります。