すいみんしょうがい
睡眠障害
睡眠に何らかの問題がある状態。寝付くことができない、途中で目が覚める、熟眠感がない、など様々なパターンがある
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最終更新: 2024.10.23
睡眠障害の基礎知識
POINT 睡眠障害とは
睡眠に何らかの問題があり日常生活に支障をきたした状態です。「寝付けない」、「睡眠の途中で目が覚める」、「熟睡した感じがしない」などさまざまな症状が現れます。問診などを用いて症状や原因について調べ、睡眠習慣の改善や睡眠薬を用いた治療を行います。睡眠障害でお困りな人は精神科や心療内科、内科などを受診して原因について調べてもらってください。
睡眠障害について
睡眠障害の症状
- 睡眠障害はさまざまな状態の総称であり、それぞれの状態で出やすい症状は大きく違う
- 自覚できる症状の例
- 不眠
- 寝つきが悪い
- 途中で目が覚めてしまう
- 熟睡できていない感覚がある
- 日中の過剰な眠気
- 睡眠、覚醒リズムの異常:適切な時刻に就寝、起床できない
- 不眠
- 自覚できない症状の例
- いびき、無呼吸
- 睡眠時に数十秒間呼吸が止まる
- 無呼吸が起こると酸欠状態になるので、心臓を中心に多くの臓器が知らず知らずのうちにダメージを受けてしまう
- 睡眠中の異常行動
- 寝ぼけたような行動
- 睡眠中に動いたり叫んだりする
- いびき、無呼吸
睡眠障害の検査・診断
問診 :精神疾患や身体疾患、服用薬が原因になっていないか調べる- 眠りに関する症状がある病気の例
- 就寝時の異常感覚:レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)
- 睡眠、覚醒リズムの問題:概日リズム睡眠障害
- 睡眠日誌で睡眠、覚醒リズムを調べる
- いびき、無呼吸:睡眠時無呼吸症候群
- 体重、飲酒、服用薬を調べる
- 睡眠中の異常行動:睡眠時随伴症
- 異常行動が夢と関連しているかどうか、起こして覚醒するかどうかを調べる
- 睡眠中の異常運動:周期性四肢運動障害
- 就床時の異常感覚がないかどうかを調べる
- 過眠の診断
- 睡眠不足やほかの病気(睡眠の質が低下するもの)が原因になっていないかを調べる
- 夜十分眠っていても日中眠い場合に過眠症を疑う
睡眠障害の治療法
- 睡眠衛生指導
- 午前中に自然光を浴びるようにする
- 寝酒はかえって睡眠の質を低下させるため避ける
- 就寝4時間前からはカフェインの摂取を避ける
- 必要に応じて、睡眠薬が使用される
- 覚醒系(覚醒状態を維持する機能)を抑える
オレキシン 受容体拮抗薬(ベルソムラ®、デエビゴ®、クービビック®)がある - 睡眠薬と似たような作用を期待して、
抗不安薬 、抗うつ薬、抗精神病薬 などを使用することがある - 睡眠リズムを取り戻す目的でメラトニン受容体アゴニストの内服剤(ラメルテオン)、メラトニン(メラトベル®)も用いられる
- 睡眠薬を飲んでも眠れない際は自己判断で増量することは控え、医師に相談する
- 覚醒系(覚醒状態を維持する機能)を抑える
- 不眠症以外の疾患に対する治療
- 睡眠時無呼吸症候群
- 重症度によって治療法が異なる
- 持続陽圧呼吸療法(CPAP療法)や口腔内装置
- 首の脂肪を減らすためのダイエット
- アルコールや睡眠薬は、症状を悪化させる
- レストレスレッグス症候群、周期性四肢運動障害
- 過眠症
- 規則的な生活を心がける
- 昼寝や仮眠を日常生活に取り入れる
- 眠気に対する中枢神経刺激薬の使用
- 睡眠時随伴症
- 睡眠中の寝ぼけ行動が起きても危険なことが起こらないような睡眠環境を整える
- 睡眠薬のほか、抗うつ薬やクロナゼパムなどを使用することもある
- 概日リズム睡眠障害
- 体内時計のリズムに合わせるために、朝たっぷり光を浴びるようにする
- 休日でも同じ時刻に起床して、光を浴びる
- 睡眠薬やサプリメントを使用する場合は、専門医の指導を仰ぐ
- 睡眠時無呼吸症候群
睡眠障害に関連する治療薬
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬(非BZD系睡眠薬)
- 脳の活動を抑えることで眠りやすくし、睡眠障害などを改善する薬
- 脳内のベンゾジアゼピン受容体(BZD受容体)は、催眠・鎮静、抗不安などに関わる
- BZD受容体が刺激されると、脳の興奮が抑えられ眠気などがあらわれる
- 本剤はBZD受容体を刺激することで催眠作用などをあらわす
- ベンゾジアゼピン系睡眠薬に比べ、筋弛緩(筋肉の緊張が緩み力が入りづらくなる)作用が少ない
- 一般的に、ふらつきや転倒などへのリスクが少ないとされる
- 『非ベンゾジアゼピン』系睡眠薬の言葉の意味
- 薬剤成分が「ベンゾジアゼピン骨格」という構造を持たない睡眠薬という意味
- 「ベンゾジアゼピン骨格」を持つベンゾジアゼピン系睡眠薬との区別のためであり、薬の薬理作用の違いを示すものではない
ベンゾジアゼピン系抗不安薬
- 脳の興奮などを抑えることで不安、緊張、不眠などを改善する薬
- 脳内のベンゾジアゼピン(BZD)受容体などが抗不安、催眠・鎮静などに関与する
- BZD受容体が刺激を受けると脳の興奮が抑えられ抗不安作用などがあらわれる
- 本剤はBZD受容体に結合しこの受容体を刺激する作用をあらわす
- 筋肉の緊張を緩和する筋弛緩作用により腰痛症や緊張型頭痛などに使用する薬剤もある
バルビツール酸系睡眠薬
- 脳の覚醒を抑え、眠りやすくしたり、不安や緊張を鎮めたりする薬
- 睡眠障害は脳が過度に覚醒している状態などによってもおこる
- 脳の大脳皮質や脳幹というものが脳の覚醒に関わっている
- 本剤は大脳皮質や脳幹に作用して脳の覚醒を抑えることで、眠気や鎮静作用をあらわす
- 作用持続時間により主に以下に分類される(作用時間の短い順に記載)
- 短時間作用型
- 中間作用型
- 長時間作用型
- 薬剤によっては麻酔薬を効きやすくする目的で麻酔前に使われるものもある