たんどうがん
胆道がん
胆道に発生する悪性腫瘍(胆管がん、胆のうがん、乳頭部がん)の総称
6人の医師がチェック 167回の改訂 最終更新: 2022.10.17

胆道がんの検査:CT検査、超音波検査、MRCP、ERCPなどの解説

胆道がんの検査の目的は胆道がんを診断することとその状態を把握することです。胆道がんの検査にはいくつか方法があり、それらを組み合わせて診断をします。それぞれの検査には特徴があります。

1. 胆道がんはどうやって診断する?何科にいけばいい?

胆道がんは診断とともにステージを決めることも大事になります。いくつかの検査を使ってステージなどを決めます。

胆道がんは消化器内科や内視鏡科で精密検査をすることが多いです。

2. 胆道がんの検査の目的は?

胆道がんの検査にはいくつかあり、目的は大きく2種類です。胆道がんの診断をする目的と、胆道がんと診断された後にステージを決める目的があります。同じ検査が違う目的で使われることもあります。

胆道がんの診断をするための検査

胆道がんは黄疸や右わき腹の痛みなどの症状をきっかけにして発見されることがあります。黄疸などの症状だけで胆道がんと診断することはできません。いくつかの検査を経て胆道がんと診断されます。

  • 超音波検査
  • 血液検査(腫瘍マーカー
  • CT検査
  • MRI検査
  • 上部消化管内視鏡検査
  • ERC
  • IDUS
  • EUS
  • PTC
  • POCS

ここであげた検査をすべて使う必要はありません。例えばCT検査で明らかに胆道がんと診断できる場合にはいくつかの検査は検討されないことがあります。検査は患者さんにとって負担になります。必要十分な検査を用いて診断することに医師は配慮しています。

胆道がんのステージを決めるための検査

胆道がんと診断されました。次にするべきことは胆道がんのステージを決めることです。ステージは適切な治療法を選択する上で大事です。胆道がんを診断した時点でステージを決めるのが難しい場合には検査が追加されます。

  • CT検査
  • MRI検査
  • EUS
  • IDUS
  • PET/CT検査
  • 審査腹腔鏡

ステージはがんの広がりや転移の有無で決まります。ステージを決めるためにはいくつかの検査を用います。

胆道がんのステージを決めるための検査の順序

3. 超音波検査

超音波検査(エコー検査)は超音波を利用した検査です。放射線を使用しません。超音波検査では腫瘍の状態や閉塞のために拡張した胆道をみることができます。

超音波検査では、お腹にプローブという機械を当てて体の中を観察します。超音波検査は繰り返して検査ができ、その場で画像が見えるので手術後にも使うことがあります。診療の様々な場面で登場します。超音波検査だけでは正確な診断は難しいのでCT検査やMRI検査なども使います。

胆道がんが疑われるときに最初に用いられる検査です。

4. CT検査

CT検査はレントゲンX線)を使った検査です。X線は放射線なので体に放射線被曝があります。胆道がんでは腫瘍や拡張した胆道を確認できることがあります。CT検査の中でも造影剤を使ったダイナミックCT検査という方法が大事です。ダイナミックCT検査は造影剤を体に注射してからタイミングを変えて何度か撮影をします。ダイナミックCT検査では腫瘍の特徴をつかむことができたり、胆道と血管の位置関係の把握などに役立ちます。

胆道がんと診断するのにもがんの広がりを調べるのにも有用な検査です。

造影剤は腎臓の機能が低下している場合などで使用できないことがあります。その場合には他の検査の結果などを組み合わせて診断します。

5. MRI検査(MRCP)

MRI検査は、磁気を利用する画像検査です。放射線を使うことはありません。MRI検査の中でも胆道の流れを映し出すMRCPが胆道がんの診断には有用です。胆道がんができて胆管の流れの妨げになると胆管が拡張するなどの特徴が確認できることがあります。胆道でのがんの状況なども把握できます。胆道がんの診断と周りへの広がりなどを確認することができます。

造影剤をつかうこともあります。

6. ERC:Endoscopic retrograde cholangiography(内視鏡的逆行性胆管造影)

胆管に造影剤を注入して胆道の形をレントゲンを利用して観察します。胆道の形はMRCPでも確認できますがERCには内視鏡を使う利点があります。ERCでは胆汁などを内視鏡を使って体の外に取り出すことができます。胆汁にがん細胞が交ざっているかを確認することができます。

ERCでは内視鏡的に直接胆管を造影します。MRCPでも胆道の形を確認することができるのでERCをする機会は減っています。ERCが必要な場合は、重い黄疸の症状が現れていて黄疸を軽減する治療が必要な場合などです。「胆道がんの症状は?皮膚が黄色くなる黄疸とは?」で解説しています。

7. PTC:Perctaneous transhepatic cholangiography(経皮経肝胆道造影)

PTCは肝臓越しに肝内胆管に直接針を刺してそこからチューブを挿入します。チューブから造影剤を注入して胆道の形を確認します。黄疸に対する治療でPTCと同様に肝内胆管にチューブを挿入することがあります。黄疸に対する治療はPTBDと呼ばれます。PTBDの方法については「胆道がんの症状は?皮膚が黄色くなる黄疸とは?」で解説しています。

8. POCS:Peroral cholangioscopy(経口胆道鏡)

POCSは胆道を内視鏡で直接観察する検査です。内視鏡の一種である胆道鏡を使用します。あまり多く用いられる検査ではありませんが直接胆道の腫瘍の状況を確認できることが利点です。病変の一部を取り出したりすることができます。とりだした病気の部分からがんが検出されれば胆道がんの診断は最も確実です。

病変の一部を取り出して顕微鏡でみる検査を病理検査といいます。病理検査については後述します。

9. 上部消化管内視鏡検査

胃カメラ」は上部消化管内視鏡検査の一つです。上部消化管内視鏡検査では十二指腸乳頭部を観察することができます。十二指腸乳頭部がんが疑われる場合には上部消化管内視鏡検査を行います。がんが疑われるものがあるときにはつまみ出して顕微鏡でみる病理検査を行います。

10. EUS:Endoscopic ultrasonography(超音波内視鏡)

EUSは内視鏡の先端に超音波検査のプローブを取りつけたものを使う検査です。

胆道は場所によっては観察しづらいことがあります。お腹の皮膚から超音波検査をしてもがんの部分がはっきりと見えない場合は多々あります。

EUSは、内視鏡を使って体の中から超音波検査を行います。お腹から見るより鮮明にがんの部分を観察することができます。

EUSは口から内視鏡を挿入して先端のプローブを操作します。EUSで用いる内視鏡は通常の内視鏡より太いので、挿入するときなどにやや違和感が強いかもしれません。

11. IDUS:Intraductal ultrasonography(管腔内超音波検査)

胆道の中に超音波装置を挿入して胆道の中からがんまたはがんを疑う部分を観察します。IDUSではがんの広がりや深さをより正確に判断することができます。

胆道がんが明らかで他の検査でがんの広がりや深さの把握が難しいときにはIDUSを用います。

12. PET/CT検査

PET(ペット)は画像検査です。放射線を使います。PET/CTはPETとCTを組み合わせた検査です。

PETは、がん細胞が通常の細胞に比べて糖分を活発に取り込むことを利用した検査です。

FDG(フルオロデオキシグルコース)という物質を使います。FDGは糖(グルコース)に似た物質です。FDGが取り込まれた場所では放射線が発生します。放射線を利用して画像を撮影することができます。

PETを撮影するときにはFDGを点滴で体の中に注入してから撮影します。がんはFDGの集積が高くなる(陽性)と考えられています。PETの弱点として、画像で陽性のものが必ずしもがんとは限りません。炎症などでも陽性になります。

PET/CT検査はリンパ節転移遠隔転移を調べたり、再発が疑われる場所の診断をするのに向いていると考えられています。

13. 病理検査

病理検査は病変の一部などを直接顕微鏡で観察してがんがあるかどうかを判断します。直接体の一部をみるのでがんがあると判断された場合にはその信頼性はかなり高いです。胆道がんでの病理検査は主に2つの方法があります。

1つはERC(内視鏡的胆道造影)などで胆管の造影などをするときには胆汁を体の外に取り出すことができます。胆汁の中にもがんの細胞が含まれていることがあり、悪性と判断することができます。

もう1つは体の外から皮膚を貫いて病変に針を刺して組織を取り出す方法です。

病理検査は胆道がんを診断するには絶対必要な検査ではありません。病理検査はいずれの方法を選んだとしても体への負担がつきものです。このために画像所見で胆道がんと明らかな場合には病理検査をせずに診断することも多いです。

14. 腫瘍マーカー

胆道がんの腫瘍マーカーにはCA19-9とCEAがあります。一方で肝細胞がんの腫瘍マーカーはAFP、AFPL3分画、PIVKA-IIの3つです。がんの性質が異なるためにそれぞれで腫瘍マーカーが異なります。ここでは胆道がんの腫瘍マーカーであるCA19-9、CEAについて解説します。

CA19−9

基準値:37IU/ml以下

CA19-9は胆道がんの腫瘍マーカーとして知られています。CA19-9は膵臓がん胃がん肺がんなどでも上昇することがあります。CA19-9はがん細胞からしか出されない物質ではありません。がん以外の病気でも上昇します。がん以外の病気では膵炎、慢性胃炎、腎嚢胞(じんのうほう)などの良性の病気でもCA19-9が上昇することが知られています。

CEA

基準値:5.0ng/ml以下

CEAは胆道がんの腫瘍マーカーとしても使われます。他のがんでは大腸がん胃がん肺がんなどでもCEAが上昇することがあります。CEAはがん細胞からしか出されない物質ではありません。がん以外の病気でも上昇します。がん以外の病気では肝炎、肺炎糖尿病などの良性の病気でもCEAが上昇することが知られています。喫煙するだけでもCEAが上昇します。

腫瘍マーカーが上がる=「がん」なのか?

胆道に腫瘍があると言われて腫瘍マーカーが高いと医師から説明を受けるとそれだけで「自分はがんなのか?」と強い疑いを持ってしまうと思います。例えその後の検査で「がん」ではなかったと言われても不安は残ると思います。

しかし「がん」ではないこともあります。

腫瘍マーカーは絶対ではありません。「がん」がないのに腫瘍マーカーが上昇することもあります。これを偽陽性(ぎようせい)といいます。逆に腫瘍マーカーが上昇していなくて「がん」が潜んでいることもあります。これを偽陰性(ぎいんせい)といいます。

腫瘍マーカーは数値で目にするために他の検査より直感的に理解しやすく、その分だけ記憶にもよく残るものです。腫瘍マーカーは絶対的な数値ではないことも憶えておいてください。

15. 審査腹腔鏡

審査腹腔鏡(しんさふくくうきょう)はお腹の中(腹腔内)にがんの転移や肝臓に転移があるかを判断するための検査です。必ずする検査ではありません。

審査腹腔鏡の目的は?

CT検査などの画像検査だけでは転移があるかを判断するのが難しいときがあります。審査腹腔鏡では、腹膜播種の有無がよりはっきりと診断できます。

腹膜播種や肝臓に転移がある場合は手術で胆道を切除しても根治は難しい状況です。腹膜播種がある場合は全身にまだ見えない小さながんの転移があると考え、抗がん剤治療で全身をカバーするほうが理にかなっています。

審査腹腔鏡の方法は?

審査腹腔鏡は、手術室で全身麻酔のもと行います。

審査腹腔鏡で転移が認められなかったときは、後日に仕切り直して手術を行う場合と、その場で開腹手術に移行して手術をする場合があります。

審査腹腔鏡はお腹に5mmから2cm程度の大きさの穴を開けて、そこから内視鏡を挿入してお腹の中を観察します。