薬物性肝障害の原因について
どの薬も薬物性肝障害の原因となりえます。また、健康食品やサプリメントが肝臓にダメージを与えることがあり、これも薬物性肝障害に含まれます。このページでは、原因となりやすい薬剤やかかりやすい体質などについて詳しく説明します。
1. すべての薬、健康食品、サプリメントが肝障害の原因になりうる

どの薬も肝障害を引き起こす可能性があります。多くの人に使われている薬も例外ではなく、解熱鎮痛剤、総合感冒薬、漢方薬、痛風薬、
また、健康食品やサプリメントといった「薬」という文字が入っていない商品であっても、肝障害を生じることがあり、これらも薬物性肝障害に含まれます。2010-2018年の薬物性肝障害の全国調査によると、原因物質の約9%が健康食品であったそうです。この中には、たとえば、ウコン、グルコサミンなどのよく耳にする健康食品も挙げられています。
2. 薬物性肝障害を引き起こしやすい体質
薬物性肝障害の
アレルギー体質
薬物性肝障害の多くがアレルギーに起因するものといわれています。とくに、じんま疹になりやすかったり、アトピー性皮膚炎があったりなどのアレルギー体質の人では、アレルギーによる薬物性肝障害を生じやすいです。
薬物代謝の違い
肝臓の働きの一つに有害な物質を分解する解毒作用があります。体内に入った薬物は肝臓でさまざまな化学的な処理を受けて分解され(薬物代謝)、排泄されやすい形になります。この薬物代謝のスピードには遺伝的な個人差があり、速度が遅い人では必要以上に薬物が肝臓に蓄積して肝臓がダメージを受けることがあります。
3. 薬の過剰な摂取:中毒性肝障害とは
薬によっては過量に使用すると、どんな人でも肝障害を発症します。このような肝障害を「中毒性肝障害」といいます。「中毒性肝障害」の原因として代表的な薬は、解熱鎮痛剤として使用されるアセトアミノフェン(主な商品名:カロナール®︎)です。とはいえ、アセトアミノフェンは、定められた用法・用量を守って使用すれば、安全性の高い優れた薬です。アセトアミノフェンに限ったことではありませんが、薬は用法・用量を守って使用することが重要です。
なお、アセトアミノフェンは市販の解熱鎮痛剤や風邪薬にもしばしば含まれていますし、医療機関でもアセトアミノフェンがよく処方されます。これを知らずに重複して飲んでしまうと内服量が多くなりがちです。受診する際には飲んでいる市販薬の内容を伝えるようにしてください。
【参考文献】
- 滝川一ら. 薬物性肝障害の診断と治療. 日内会誌. 2015;991-997.
- 厚生労働省. 重篤副作用疾患別対応マニュアル「薬物性肝障害」令和元年9月改
- European Association for the Study of the Liver. EASL Clinical Practice Guidelines: Drug-induced liver injury. Journal of Hepatology. 2019.