薬物性肝障害の知っておくとよいこと
薬物性肝障害とは、薬・健康食品・サプリメントなどによって肝臓がダメージを受けた状態です。薬物性肝障害となるのはまれなことではありますが、薬を服用する人であれば誰しもかかる可能性はあります。薬物性肝障害について心配な人や、診断を受けた人が知っておくとよいことについて説明をします。
目次
1. どのような薬が薬物性肝障害の原因となるのか

どの薬も薬物性肝障害の原因となると報告されています。多くの人に使われている解熱鎮痛薬、総合感冒薬、痛風薬、
2. どれくらい前に飲んだ薬が肝障害の原因になりうるか
薬物性肝障害と診断された人のほとんどが、服用を始めてから3ヶ月以内に
3. 予防や早期発見のためにできることはあるか
肝障害では進行するまで症状が現れないことが多いです。そのため医療機関では、お医者さんができるだけ肝臓に負担のかからない薬を選んだり、早期発見のための血液検査を計画したりといった対処をしてくれます。個々人でできることとして、薬を飲み始めて
一方、市販薬を使うときには自分で管理をする必要があります。薬を漫然と使わない、薬を長期間使用するときや何らかの症状が現れたときには医療機関に相談する、といった対策が重要です。
また、同様に、健康食品やサプリメントも漫然と使わないことが大切です。本当に必要かどうか一度立ち止まって考えたり、判断に悩む場合には医療従事者に相談してみたりするのもよいです。
4. 何科に相談したらよいのか
薬物性肝障害を含む肝臓の病気を専門とする診療科は消化器内科や肝臓内科です。一般内科でもみることができるので、かかりつけの所がある人はそこを受診しても良いです。
ただし、原因として疑われる薬が処方薬であれば、その薬を処方したお医者さんへの相談をお勧めします。なぜならば、処方している理由がよくわかっているお医者さんのほうが、薬を中止して良いかや、他の薬に切替えられるかなどを判断しやすいからです。
5. 再発を防ぐ方法があるのか
一度肝障害をきたした薬は、使用しないことが重要です。いつなんどき突然の怪我や病気で受診することになるかわからないので、肝障害を引き起こしたことがある薬の名前を、常に明示できるようにしておく必要があります。紙に書いていつも使うカバンに入れておいたり、スマートフォンのメモ帳や薬手帳アプリに入力しておいたりするとよいです。
6. 医薬品副作用被害救済制度は利用できるか
医薬品副作用被害救済制度とは、医薬品を使用して重い副作用が生じてしまった人に、医療費が給付される制度です。給付が受けられる条件をおおまかにいうと、①入院が必要になったとき、②障害が残ったとき、③死亡したときです。薬物性肝障害を生じた人が、これらのいずれかの項目に該当すれば、この制度の対象となる可能性があります。
ただし、薬の用法・用量を守らなかったり、未承認の薬剤を使用したりした人には適用されません。
7. 薬物性肝障害の人はお酒は飲んでよいのか
お酒を飲む習慣のある人は、薬物性肝障害になりやすく悪くなりがちです。このため、薬物性肝障害となった人は、少なくとも完治するまではお酒はやめておく必要があります。完治した後に飲酒してよいかどうかは病状によって異なるので、お医者さんに相談してください。
【参考文献】
- 滝川一ら. 薬物性肝障害の診断と治療. 日内会誌. 2015;991-997.
- 厚生労働省. 重篤副作用疾患別対応マニュアル「薬物性肝障害」令和元年9月改
- European Association for the Study of the Liver. EASL Clinical Practice Guidelines: Drug-induced liver injury. Journal of Hepatology. 2019.