やくぶつせいかんしょうがい
薬物性肝障害
服用した薬の副作用として肝臓が障害を受けるもの。軽いものであれば、薬の服用を中止することで自然に快復することが多い
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最終更新: 2020.07.22
薬物性肝障害の基礎知識
POINT 薬物性肝障害とは
薬剤によって肝機能にダメージが生じる状態を薬物性肝障害と言います。原因となる薬剤は、処方される薬だけでなく市販薬やサプリメントを含みます。たいていの場合は症状を自覚することは少ないですが、病状が進行すると倦怠感・発熱・吐き気・かゆみ・黄疸(皮膚や目が黄色くなる変化)が起こります。問診(どんな薬を飲んでいるか)や症状や身体診察に加えて、血液検査を用いて診断します。治療の基本は疑わしい薬を飲むのを全て中止することです。薬物性肝障害を起こす薬は漢方薬やサプリメントを含むため、問診で飲んでいる薬を聞かれた場合には漢方薬やサプリメントも漏らさず伝えて下さい。薬物性肝障害が心配な人や治療したい人は、消化器内科や総合内科を受診して下さい。
薬物性肝障害について
- 服用した薬の副作用として肝臓が障害を受けること
- 薬物は肝臓で
代謝 (解毒)され、胆道や腎臓から排泄されるため、途中で経由する肝臓で薬剤の副作用の影響を起こしやすい
- 薬物は肝臓で
- 軽いものであれば、薬の服用を中止することで自然に回復することが多い
- 障害を起こす仕組みは大きく2つに分けられる
- 中毒性:薬が肝臓を直接攻撃することで起こる
アレルギー 性:個々の体質によって起こしやすい薬剤があり、その薬剤が肝障害を起こす
- さまざまな薬剤が原因となる
抗菌薬 - テトラサイクリン系など
- 解熱薬、鎮痛薬
- アセトアミノフェンなど
- 中枢神経作用薬
抗がん剤 - シクロスポリンなど
- 漢方薬
- 健康食品(サプリメント) など
薬物性肝障害の症状
- 自覚
症状 はない場合が多く、自覚したとしても症状は軽いことが多い- 健診などの血液検査で肝臓の異常を初めて知ることことが多い
- 肝障害が進んだり、
アレルギー 反応が強いと起こりうる症状- 全身のだるさ
- 食欲不振
- 発熱
黄疸 発疹 - 吐き気・嘔吐
- かゆみ
薬物性肝障害の検査・診断
問診 :薬剤の使用歴- 血液検査:肝機能などの全身状態を調べる
リンパ球 刺激試験:免疫 反応を調べる
薬物性肝障害の治療法
- 原因薬剤の中止
- 安静にして低脂肪食をとる
- 軽症であれば上記の対応で改善することが多い
- まれではあるが重度の劇症肝炎の場合は肝臓移植などが必要になることもある
- 薬・サプリメント・自然食品を常用する際は、定期的な肝機能検査を行うことが必要な場合がある
薬物性肝障害に関連する治療薬
グリチルリチン製剤
- グリチルリチン酸の効果により、肝臓の働きを改善したり皮膚の炎症などを抑える薬
- グリチルリチン酸は生薬の甘草(カンゾウ)などに含まれる成分
- グリチルリチン酸は体内で様々な作用をあらわす
- グリチルリチン酸には、抗炎症作用、免疫調節作用、肝細胞増殖作用などがあるとされる