2017.11.29 | ニュース

緑茶エキスは18歳未満禁止、カナダ保健省が消費者に注意喚起

肝障害のリスクを考えて

緑茶エキスは18歳未満禁止、カナダ保健省が消費者に注意喚起の写真

緑茶は世界各国で飲まれ、健康に良い面も言われていますが、健康被害の可能性を疑う意見もあります。カナダ保健省が、緑茶抽出物の関連が疑われた肝障害の事例から、18歳未満には飲ませないなどの注意を呼びかけています。

緑茶抽出物で肝障害に?

カナダ保健省が、緑茶抽出物を含む製品のリスクについて調査した結果から、消費者、医療従事者、製造業者に対して注意喚起を行いました。

カナダでは以前から、緑茶抽出物を含む製品には肝障害のリスクについての表示が求められていましたが、カナダ保健省は表示の強化を製造業者に求めています。特に子供・未成年者が消費する目的の製品に対しては、緑茶抽出物を使わないようにするか、18歳以上の成人用と表示することを求めています。

 

5日間飲んで入院に?

医療従事者に向けた情報では、「緑茶はいかなる形でも、抽出物であっても、消費者の大多数にとって安全であると考えられている」と第一に前提したうえで、2006年から2016年にかけてカナダで11人について緑茶抽出物との関連が疑われた肝障害が報告されていること、中でも2016年に公表された例として、生来健康な17歳女性が緑茶抽出物(ほかビターオレンジ、カフェイン、ビタミンB3・B6・B12、ビタミンC、ビタミンE、葉酸)を含む製品を5日間飲んだあとに肝障害をあらわし入院したことを挙げています。

 

カナダ保健省は消費者に対して下記の注意を促しています。

  • 子供が緑茶抽出物製品を飲まないように保護者が注意すること。
  • 肝障害のある人は緑茶抽出物を含む自然健康製品を使用する前に医療従事者に相談すること。
  • 健康製品の成分表示を読み、注意事項に従うこと。複数の製品を似た目的のため同時に使用することで過剰摂取のリスクが上がることに注意すること。
  • 製品に緑茶抽出物が含まれているかどうかを表示で確認すること。
  • 緑茶抽出物を含む製品は食事とともに摂取すること。
  • 皮膚や目が黄色くなる(黄疸)、尿の色が濃くなる、発汗、吐き気、嘔吐、腹痛、異常な疲労感、食欲減退を感じたら、製品の使用をやめて医療従事者に相談すること。
  • 緑茶抽出物やその他の健康製品による副作用や健康被害を感じたらカナダ保健省に報告すること。

 

緑茶は肝臓に悪いのか?

カナダ保健省による、緑茶抽出物を含む製品についての注意喚起を紹介しました。

仮にカナダ保健省の立場に従うとしても、成人でもともと肝障害を指摘されていない人は注意の対象外です。子供や肝障害のある人でも、緑茶抽出物ではない普通の緑茶を飲むことについては言及されていません。また仮に報告された11人で緑茶抽出物が原因になっていたとしても、カナダ全国で年間1人程度の割合と考えれば、非常にまれなことと言えるでしょう。

緑茶はカフェインを含むため、多量摂取でカフェインの作用が強く出る可能性は考えられます。また一般に、日常的な食品に含まれる成分でも、量や飲んだときの状況によってまれな害が現れることが絶対にないとは言えません。

身近なもののわずかなリスクについてはいろいろな考えかたがあり、どれが正しいと言い切れない場面もよくあります。怖がりすぎて生活を損なうことなく、万一の事態が起こったときには適切にふるまえるバランス感覚が大切なのではないでしょうか。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Health Canada takes steps to help Canadians avoid rare risk of liver injury from use of green tea extract health products.

Recalls and safety alerts. 2017 Nov 14.

http://healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2017/65114a-eng.php

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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