2015.07.11 | ニュース

男性ホルモンの働きを抑える薬の副作用、「酢酸シプロテロン」による薬剤性肝障害の報告

22人のケースシリーズ

from Liver international : official journal of the International Association for the Study of the Liver

男性ホルモンの働きを抑える薬の副作用、「酢酸シプロテロン」による薬剤性肝障害の報告の写真

男性ホルモンの働きを抑える酢酸シプロテロンという薬は、前立腺がんなどに効果があるとされていますが、副作用として薬物性肝障害を起こす場合があります。アルゼンチンなどの研究班が、酢酸シプロテロンによる肝障害の例として、22人の患者の情報をまとめました。

◆薬剤性肝障害の患者22人

研究班は、酢酸シプロテロンによる薬物性肝障害と見られた、54歳から83歳の患者22人の情報をまとめました。

 

◆半年後に3人が死亡

対象者に次のような特徴がありました。

1993年から2013年に、22人の患者が診療を受けた。潜伏期間感染症において、病原体に感染してから症状が発症するまでの期間は163±97日だった。ほとんどの患者は症状があり、肝細胞障害(91%)と黄疸ビリルビンという物質が体内に溜まることで、皮膚や白眼などが黄色くなった状態。肝臓の異常で起こることが多いが、新生児に生じるものは異常ではないが見られた。

重症度は1例で軽症(4%)、7例が中等度(32%)、11例が重症(50%)、3例は死に至った(14%)。

19人の患者は酢酸シプロテロン中止後に回復した。ただしそのうち3人はステロイド薬副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられている治療を必要とした(うち2人は抗核抗体自分の細胞にある細胞核を異物として認識してしまう場合に作られる免疫タンパク質(抗体)のこと。SLEなどの膠原病の患者で抗体が上昇することが多いタイターの上昇が見られた)。

22人のうち多くは酢酸シプロテロンを使ってから160日前後に肝障害を発症症状や病気が発生する、または発生し始めることしていました。黄疸などの症状と、ALT、ビリルビン黄疸の原因となる黄色い色素。赤血球の中のヘモグロビンから生じ、肝臓で処理された後に尿や便から排出されるといった血液検査値に極端な異常が多く見られました。22人のうち3人は肝障害のため死亡しました。ほかの19人は酢酸シプロテロンの使用を中止して治療を受けた結果、回復しました。

 

酢酸シプロテロンは現在(2015年7月)、日本では保険診療としては使われていませんが、にきびなどに対する効果を期待して個人輸入により使われている場合もあるようです。

薬を使うには、効果と同時に副作用についても考え、副作用のリスクを期待できる効果が上回ると見込んだときにだけ使うという考え方が基本です。適切に判断できるようにするため、保険診療で使われる薬には、承認までに副作用について調べることと、見つかった副作用を表示することの厳しいルールが課せられています。個人輸入される薬には、日本のルールでカバーされない場合もあり、副作用の情報を知ることは、保険診療で使われる薬以上に重要です。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Cyproterone acetate induces a wide spectrum of acute liver damage including corticosteroid-responsive hepatitis: report of 22 cases.

Liver Int. 2015 Jun 22 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26104271]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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