むずむずあししょうこうぐん
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)
じっとしているときの足の異常な感覚がわずらわしく感じられ、脚を動かさずにはいられなくなる病気
12人の医師がチェック 148回の改訂 最終更新: 2022.02.28

むずむず脚症候群の症状について:脚の不快感、睡眠障害など

むずむず脚症候群は脚に不快な感覚が生じる病気です。症状はじっとしている時に出やすく、脚を動かすことで改善するのが特徴です。また、夜間に症状が強く出る傾向にあるため不眠の原因にもなります。ここでは、むずむず脚症候群の症状について詳しく説明します。

1. むずむず脚症候群の症状の特徴

むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群:restless legs syndrome:RLS)では脚に不快感が生じ、脚を動かさずにいられない衝動にかられます。この異常な感覚は人によって異なり一つの言葉で表現するのは難しいのですが、次のような共通の特徴があります。

  • 寝ている時や座っている時など、静かにしている状態で起こりやすい
  • 歩く、動かすなどの脚の運動で症状が和らぐ
  • 日中より夕方・夜間に悪化する

むずむず脚症候群の症状はじっとしている時に起きたり、悪化したりします。動きを制限されるほど、またその時間が長くなるほど、症状は強くなります。例えば、美容室や映画館、飛行機などの乗り物内といった場面でも起こります。脚を伸ばすような軽い動作で症状は少し和らぎ、歩行などの大きい動作でより改善します。

症状には日内変動があることも特徴です。症状は夕方から夜間にかけて悪化し、朝に軽くなります。これは、神経の情報伝達を行うドパミンが夜間に働きにくくなることや、メラトニンが増えてドパミンの機能が抑制されることが関連すると考えられています(詳細は「むずむず脚症候群の原因」に書いてありますので読んでみてください)。

2. 脚(ふくらはぎ)の症状

むずむず脚症候群は主に膝から下の脚に異常な感覚を生じます。また、脚が勝手にピクピクと動く「周期性四肢運動」も多くの人にみられます。これらの症状について詳しくみていきます。

脚を動かさずにはいられない衝動・不快感:むずむず・イライラ・もやもやなど

異常な感覚は、皮膚の表面ではなく、手では触れない深い部分に生じます。症状の感じ方は人によって異なり、次のようにさまざまな言葉で表現されます。

  • 脚を動かさずにはいられない
  • 不快感・異常な感覚
    • むずむずする
    • イライラする
    • もやもやする
    • 虫が這うような感覚
    • 電気が流れているような(しびれる)感覚
    • 水が流れるような感覚
    • 引っ張られるような感覚
    • 引き裂かれるような感覚
    • 痛い
    • かゆい
    • ほてる
    • 冷える など

例えば、「膝から下がカーッと熱くなる」、「ふくらはぎの中がむずがゆい」、「じんじんほてる」などと表現されたりします。

症状を感じる時間帯は夕方から夜が多く、最も多いのは就寝時です。夜、眠ろうとしてベッドに入ると脚が気持ち悪くなり、動かさずにはいられなくなるというのが典型的なパターンです。症状を紛らわそうと膝を動かしたり、脚同士をこすりあわせたり、マッサージを試みたりします。症状が強い人では横になっていることができず、起き上がって歩き回ることもあります。むずむず脚症状群の人ではこのような行動を毎晩のように繰り返します。

周期性四肢運動:脚が勝手にピクピク動く

むずむず脚症候群では、自分で動かしているわけではないのに、勝手に脚がピクピクする症状が起こることがあります。具体的には、くるぶし(足関節)、膝関節、股関節などの関節が、0.5-10秒の短時間、5-90秒の間隔で動きます。この症状は周期性四肢運動(periodic limb movements:PLM)と呼ばれます。むずむず脚症候群以外の病気でも起こりますが、むずむず脚症候群の人では8割以上に起こります。

PLMが軽い時は自覚することはほとんどありませんが、強くなると寝ている時のピクつきで目が覚めたり、眠りが浅くなったりして、日中に眠気やだるさを感じます。人によっては入眠時に脚がピクピクと動くことが気になって不眠を引き起こします。

3. 脚(ふくらはぎ)以外の全身の症状

脚と同様の症状が、手、腕、肩、背中、腰などにも起こることがあります。

中には身体の右半分や左半分など、半身全体に不快感が生じる人もいます。症状を感じるのは、脚と同様に皮膚の表面ではなく深い部分です。これら脚以外の部分の症状は、脚の症状に伴って起こります。

4. 睡眠への影響

むずむず脚症候群の症状は就寝時に悪化することから、睡眠時間が不足しがちです。ベッドや布団に入ったものの、脚の不快感によって夜中まで眠れなくなる日が続くからです。昼間は夜に比べて症状が軽くなるため昼寝ができる人もいますが、日中でも寝ようとしてじっとすると症状が起きて眠れなくなる人もいます。

5. 子どものむずむず脚症候群の症状

子どもでもむずむず脚症候群になることがあります。大人では夜間の脚の症状が特徴的ですが、子どもでは日中の学校生活での症状が目立ちがちです。例えば、脚の不快感のために授業中じっとできず落ち着きがない、寝不足のため日中居眠りをする、授業に集中できない、などです。このような症状から、注意欠陥多動性症候群(Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder:ADHD)や学習障害を疑われることもあります。

こちらのページでも、子どものむずむず脚症候群の特徴について説明をしているので参考にしてみてください。

参考文献

日本神経治療学会治療指針作成委員会, 「標準的神経治療:Restless legs 症候群」, 2012