まるふぁんしょうこうぐん
マルファン症候群
高身長・長い指などが特徴の遺伝性の病気。心臓や目の異常を伴うことが多く心臓の異常はときに致命的になる
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最終更新: 2017.12.06
マルファン症候群の基礎知識
POINT マルファン症候群とは
親から子供に伝わる病気です。いろいろな症状が出ますが、何の症状が出るか、どのくらい重い症状が出るかは、人それぞれです。ほとんどの人は背が高くてやせており、指が長くて関節が曲がりやすいなどの特徴があります。命にかかわる影響としては心臓から出る大きな血管の内側の壁が破れてしまうことですが、適切な治療を行えば、健康で長生きすることもできます。眼でも多彩な症状が現れます。一番は眼の中のレンズがずれてピントが合わなくなってしまうこと(水晶体脱臼)です。そのほかにも、眼の形が胎児のうちにうまくできておらず、そのことで視力が発達していなかったり、緑内障になったりする人もいます。マルファン症候群と診断されたら眼科も受診してください。必要であれば手術などの治療を行います。遺伝カウンセリングの利用も検討してください。
マルファン症候群について
- 高身長・長い指などが特徴の遺伝性の病気
- 心臓の異常や目の異常が起こりやすい
- フィブリリンというタンパク質を作る機能が先天的に低下している
- フィブリリンは全身の色々な組織を形づくるのに必要であり、フィブリリンに異常が起こると、さまざまな体の構造に異常が起こる
常染色体優性遺伝 する- 患者の子どもは50%の確率でマルファン症候群になる
- 突然変異によって遺伝によらずマルファン症候群の子どもが生まれることもある
- マルファン症候群の患者の25%は家族にマルファン症候群患者がいない
- マルファン症候群の患者数は出生5000人あたり1人程度
マルファン症候群の症状
マルファン症候群の検査・診断
- 心臓の検査:
大動脈 や心臓に異常がないかを調べる心臓超音波検査 :心臓の動きや働きを調べる胸部CT :心臓の大きさや中の異常を調べる
- 遺伝子検査:遺伝子の異常を調べる
- ホモシスチン尿症と
所見 が似ることがあるが、マルファン症候群では尿中ホモシスチンが検出されない
マルファン症候群の治療法
- 根本的な治療はなく、主に症状を緩和するための
対症療法 を行う 大動脈 への負担を減らす- β遮断薬やカルシウム拮抗薬(ともに降圧薬)の使用
- 必要に応じて大動脈弁閉鎖不全症に対して手術を行う
- 抜歯など侵襲的手技を行うときには心内膜炎予防のため
抗菌薬 を投与する - 1年ごとに血管・骨格・眼の検査をすることが重要
- 平均寿命は60歳程度と言われている