腎がん(腎細胞がん)の治療でよくある質問や疑問について:病院や名医の探し方や、ガイドラインについて
このページでは腎がんの治療でよくある質問についてまとめています。治療中の人だけではなく、治療の前後でも役立つ情報があるので、目を通してみてください。
目次
1.腎がんにガイドラインはあるのか
2. 腎がんを治療する病院はどうやって探せばよいのか
腎がんの検査や治療は泌尿器科で行えます。 腎臓の病気を担当する診療科には腎臓内科がありますが、腎がんの治療を行うことはほとんどありません。ですので、腎がんの疑いがある人は泌尿器科を受診するようにしてください。また、泌尿器科医は多くはいないので、全ての病院に泌尿器科があるとは限りません。病院に行く前に、その病院に泌尿器科があるかを調べておいたほうがよいです。
また、腎がんの検査や治療は大きな病院で受けることをおすすめします。 中小規模の病院では専門的な検査や治療が行えないことがあるからです。 例えば、
3. 腎がんの名医はどこにいるのか
名医の定義は非常に難しいです。それは患者さん一人ひとりに名医の基準があるからです。例えば、手術技術に長けた医師を名医と考える人もいれば、巧みな対話ができる医師を名医と考える人もいます。価値観は一人ひとりで異なるので、全ての患者さんから見て名医である人はまずいないとも考えられます。名医を探すには、まず自分が医師に求める条件を明確にすると、一人ひとりにとっての名医に出会える可能性があがるでしょう。
4. セカンドオピニオンとは何なのか
セカンドオピニオンとは主治医以外の医師に意見を聞くことです。セカンドオピニオンはより広い視野を持って治療を選択するために有用な手段です。
一般的には主治医に
5. 腎がんの手術数は医療機関を選ぶ参考になるのか
がんの手術は患者さんにとって一生一代の大勝負です。 できるならば、最小限の負担で最大限の効果を得たいと誰もが思います。 ではどのようにして手術する病院を選べば良いのかとなると、悩んでしまう人も多いかもしれません。 結論から言うと、手術数は重要な指標の1つです。手術数は患者さんが比較的簡単に手にできる客観的な情報で、手術の質を推測する材料の1つになり得ます。手術件数が多いからといって手術がうまくいくとは言い切れない部分がありますが、手術件数が多い施設には高い経験値があるのは間違いないと考えられます。
6. 腎がんの薬物治療中の食事で気をつけることはあるか
腎がんの治療中に食べてはいけないものは基本的にはありません。しかし、次の2つの条件に当てはまる場合は少し注意が必要だと考えられています。
腎機能 が低下している場合- 分子標的薬で治療している場合
2つの場合について考えてみます。
腎機能が低下している場合
腎がんの手術には主に腎臓の一部を切り取る「腎部分切除」と腎臓を丸ごととる「根治的腎摘除術」があります。どちらの手術でも正常な腎臓が減ってしまうので、全体として腎臓の機能は低下します。
腎臓の機能が少し低下しても症状はありません。かなり機能が落ちた段階で初めて症状が現れてきます。また、腎機能が一度低下すると元には戻らないので、腎機能が身体に影響を与えるほど低下する前に予防策をとることが大切です。腎機能は大事なものです。腎機能が失われると最終的には
腎機能の低下を予防する上では次の注意点があります。
- 飲酒は適正な範囲にする
- 適度に水分をとる
- 塩分を制限する
■飲酒は適正な範囲にする
腎臓の機能が低下している人は飲酒量を適正な範囲にすることが望ましいとされています。具体的にはアルコールの量をエタノール換算で10から20gが適正だとされています。
【お酒ごとのエタノール10gの量】
お酒の種類(%) | 量 |
ビール(約5%) | 250ml(中瓶・ロング缶の半分) |
チュウハイ(約7%) | コップ1杯または350ml缶の半分 |
焼酎(約25%) | 50ml |
日本酒(約15%) | 0.5合 |
ウイスキー・ジンなど(約40%) | 30ml(シングル1杯) |
ワイン(約12%) | ワイングラス1杯弱 |
上の表を目安に飲酒量を調整してみてください。
腎臓の機能が低下してることを示唆する検査結果として
■適度に水分をとる
水分を適度に摂るようにしてください。
水分の摂取は腎臓の機能を維持するのに有効だと考えられています。水分はできることなら1日2L(リットル)以上とるのが望ましいと考えられています。
水分の摂取は軽度に低下した腎臓の機能を保つのに有効だと考えられていますが、かなり低下している場合には、水分の摂取によって心臓に負担がかかってしまうことがあります。
手術後は定期的に腎臓の機能を調べることになります。医師に自分の腎臓の機能とどのくらいの水分を摂取すればいいのかを確認してみてください。
■塩分を制限する
高血圧は腎臓の機能を低下させる要因であることが知られています。高血圧の原因の1つとして塩分の過剰な摂取があり、腎臓の機能が低下している人は注意が必要です。1日の塩分の摂取量は腎臓の機能にもよりますが、6g未満が望ましいとされています。とはいえ、食塩の量を精密にコントロールするのは自分だけの力では難しいかもしれません。その場合は、医師や管理栄養士に相談してみてください。それぞれの食品にどの程度の塩分が含まれているのかや塩分を効果的に減らす方法などを知ることができます。
参考: エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン 2013
分子標的薬で治療している場合
分子標的薬の副作用によって食欲がなくなることがあります。加えて副作用で口内炎が起こる薬もあり、口内炎によって食事がうまくできないこともあります。分子標的薬を内服中は口内炎の対策をすることと、食べやすいものを食べて体力をつけることが大切です。
■口内炎対策 予防・
分子標的薬により口内炎が高率に発生します。痛みがあると食は進まないものです。口内炎をできるかぎり予防することと、口内炎になっても痛みを最小限に抑えることが抗がん剤を続けるためにも必要です。まず、口腔内の清潔を保つことが予防になります。歯ブラシは通常の歯ブラシより柔らかい歯ブラシが向いています。口内炎が発生したときは、口に含むことによって痛みを和らげることができるうがい薬のようなものがあります。
食欲があっても口内炎の痛みのために満足に食事がとれずに栄養が低下することがあります。まずは口内炎対策をしっかりして条件を整えてみてください。
■食事の工夫
口内炎があるときは刺激が強いものが食べにくくなるので、次のようなものは避けてください。
- 極端に暑いものや冷たいものは避ける
- 塩分、刺激物は抑えめにする
また、食欲がわかないときには、好きなものなどを中心にメニューを組みたててみてください。もし好きなものが思い浮かばない場合には、次のようなものを試してみてください。
- 餅、おはぎなど、もち米を利用したもの
- 麺類
- プリン、ゼリー
- シャーベット
- 果物
吐き気・嘔吐があるときは、冷たいものやあっさりしたもので、なるべくさらっとした食感のものが食べやすいです。水分から始めてみたりする順番の工夫で食べられることもあります。色々な工夫で食欲が回復することがあります。食事は生活の上での基本です。苦痛にならない範囲で食事をしっかり摂取することが重要です。