きのうせいでぃすぺぷしあ
機能性ディスペプシア
胃もたれや胃のキリキリした痛みのような症状があるのにもかかわらず、内視鏡検査などの詳細な検査を行っても異常が見られない病気
6人の医師がチェック 98回の改訂 最終更新: 2020.05.15

機能性ディスペプシアの症状について

機能性ディスペプシアとは、検査をしてもはっきりとした異常が見当たらないのに「みぞおちが痛む」「食後に胃がもたれる」といった症状が続く状態です。命に関わる病気ではありませんが、つらい症状で生活に支障をきたす人が少なくありません。このページでは機能性ディスペプシアの症状について詳しく説明します。

1. 機能性ディスペプシアの主な症状:「食後の胃もたれ」や「みぞおちの痛み」など

機能性ディスペプシアは、症状によって2つのタイプに分けられます。食後の胃もたれが主な症状となる「食後愁訴(しゅうそ)症候群」と、みぞおちの痛みが主な症状となる「心窩部痛症候群」です。どちらのタイプなのかで適した薬が変わってきますので、問診の時に症状を詳しく伝えるのが大切です。

食後愁訴(しゅうそ)症候群

「食後に胃がもたれる」、「少量の食事でお腹がはる」といった症状を生じるタイプです。それぞれの症状を週3回以上の頻度で感じると、食後愁訴症候群と診断されます。食後愁訴症候群の人は、消化のスピードが遅かったり早すぎたりすることが症状の原因になっている可能性があります。

心窩部痛症候群

心窩部痛症候群の主な症状は「みぞおちの痛み」と「みぞおちの焼けるような感じ」です。食後愁訴症候群と違って、食後でなくても起こることがあります。これらの症状が週1回以上で生じると心窩部痛症候群と診断されます。

2. 合併しやすい病気の症状について

機能性ディスペプシアの人は胃食道逆流症(GERD)や過敏性腸症候群(IBS)を合併しやすいことが知られています。機能性ディスペプシアの人で呑酸(口の中が酸っぱくなる)があれば胃食道逆流症を、下痢、便秘などの症状があれば過敏性腸症候群を起こしている可能性があります。

胃食道逆流症(GERD:ガード)の症状

胃の中のものが食道に上がってきてさまざまな症状が現れる病気です。「逆流性食道炎」と呼ばれることもありますが、これは正確には、GERDのうち内視鏡検査で食道にただれや潰瘍などの異常が見つかるものを指します。

GERDでは胸焼けや呑酸(口の中が酸っぱくなる感じ)などの症状を感じます。咳や耳の痛みを生じる人もいます。

◎機能性ディスペプシアと何が違うのか

機能性ディスペプシアとGERDの胸焼け症状は似ているので、症状のみから両者を見分けることは困難です。しかし、GERDであれば上部内視鏡検査胃カメラ)や24時間食道pHモニタリングなどの検査によって、胃から食道への内容物の逆流があることがわかります。

過敏性腸症候群(IBS)の主症状:便秘、下痢、腹痛

過敏性腸症候群(IBS)とは、お腹の痛みや不快感があり下痢や便秘を繰り返すのに、検査ではっきりとした異常が見当たらない状態のことです。IBSは命に関わる病気ではありませんが、つらい症状によって生活が制限されてしまうことがあります。IBSの症状は生活習慣の是正や内服薬によって軽減できますので、お医者さんに相談してください。

参考文献

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