◆実際の治療の報告をまとめて評価
研究班は、論文データベースから、これまでに機能性食道障害に対して抗うつ薬治療を行い、効果を調べた研究を集め、それらの内容を詳しく調べました。
◆痛みを減らす効果あり
基準に合った論文は378件見つかりました。そのうち、報告されていた抗うつ薬治療の効果をまとめると以下のようになりました。
食道の痛み閾値は7%から37%上昇した。機能性胸痛を18%から67%減らした。逆流性食道炎のある患者に対して、胸やけを23%から61%減らした。
食道が傷ついていないにも関わらず痛みが出ることを減らし、逆流性食道炎がある場合には胸やけの症状を減らしたことが一部の論文で報告されていました。
研究班は抗うつ薬にある程度の効果があったことを認めつつ、「機能性食道障害に対する抗うつ薬の効果を調べるにはより多くの比較対照研究が必要である」としています。
抗うつ薬が意外なところで役に立ったという報告です。薬は狙った場所にだけ効くのではなく、副作用を起こすこともあれば、別の使い方ができることもある、というひとつの例と言えるでしょう。
執筆者
Effects of antidepressants in patients with functional esophageal disorders or gastroesophageal reflux disease: a systematic review.
Clin Gastroenterol Hepatol. 2015 Feb
[PMID: 24997325]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。