のうせいまひ
脳性麻痺
受精から生後4週間までに起きた何らかの脳の障害により、主に運動神経が麻痺(運動麻痺)する病気
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最終更新: 2022.02.20
脳性麻痺の基礎知識
POINT 脳性麻痺とは
受精から生後4週間までの間に脳になんらかの障害が起こって、手や足に麻痺が起こることです。妊娠中の原因として、先天異常を起こすものの感染(風疹やサイトメガロウイルス、トキソプラズマ)や染色体異常などがあります。出生後の主な原因は新生児仮死などによる低酸素脳症や頭蓋内出血(頭の中の出血)、脳の外傷(脳に傷がつくこと)などです。一人ひとりで症状が異なりますが、進行することは多くはありません。運動麻痺以外にも感覚障害や言語障害、聴覚障害などをともなうこともあります。脳性麻痺が疑われる子どもには頭部CT検査やMRI検査、脳波検査などが行われます。完治は難しいと考えられていますが、リハビリテーションによって症状が改善することがあります。脳性麻痺は小児科や新生児科で診療が行われます。
脳性麻痺について
- 受精から生後4週間までに起きる何らかの脳の障害により、運動や姿勢に異常をきたす病気
- 主な原因
- 1000人あたり約2人の頻度で
発症 する- 1970年代に一度減少したが、その後再度上昇傾向にある:裏を返せば医療の進歩により、重症な赤ちゃんが救命できるようになったということ
低出生体重児 ほど頻度は高い
- 分類
- 運動
麻痺 の特徴により、主に以下に分類- 痙直型:手足がかたくなり、動かしづらい
- アテトーゼ型:体幹や手足が意図とは無関係に動く(
不随意運動 ) - 混合型:手足の硬さと、不随意運動を併せた
症状
- 運動
脳性麻痺の症状
脳性麻痺の検査・診断
症状 や経過から診断するものであり、検査はあくまでも参考- 他の病気が隠れていないか、どのような治療が必要か等を調べるために検査は必要
頭部CT 、頭部MRI :脳に構造上の変化がないか調べる- 血液検査:
黄疸 の有無などを調べる 脳波検査 :てんかんの合併 などを疑う場合に行う- 運動機能検査:運動機能が発達のどの段階にいるかを調べる
脳性麻痺の治療法
- 脳性麻痺そのものを完治させる方法はない
- 運動障害の
症状 を改善させるもしくは補うことによって生活しやすくする:症状により必要なものは大きく異なってくる- リハビリテーション
- 必要に応じて
理学療法 (PT)、作業療法(OT)、言語療法(ST)を組み合わせる - 正確には「リ」ハビリテーションではなく、一から動作を獲得していく必要がある
- 幼いほど順応しやすいため、できるだけ早めに開始する
- 必要に応じて
- 薬物療法
- 筋肉のつっぱりを和らげる薬を飲む
- 呼吸を手助けする人工呼吸器を使用する
- 車いすや装具を使う
- 鼻に細い管を入れて栄養を入れる・
胃瘻 をつくる 神経ブロック - フェノール、ボツリヌストキシン(ボトックス)を使う
- ボトックスは筋肉のつっぱりに有用
- 異常に緊張している筋肉にボトックスなどを注射し、症状を軽減する
- ただし効果は注射を打った部位のみに効果があり、一時的なもの
不随意運動 などを抑える
- リハビリテーション
- 長期的な経過
- 脳性麻痺が続くと生じる
合併症 がある(二次障害)- 動かしづらい状態が続くことにより、関節が固まる
- 首の筋肉が衰えることによる頚椎症・頚髄症(首が悪くなる病気)
- 脳性麻痺が続くと生じる
- 就学や社会参加を考慮して、環境を整えることが重要(周囲の理解が非常に大事)