かくおうだん
核黄疸
新生児に起こる黄疸(血液中のビリルビンが多いため、皮膚や目が黄色くなる)のうち、程度が強いため脳に影響が出てしまうもの
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最終更新: 2022.04.27
核黄疸の基礎知識
POINT 核黄疸とは
新生児に起こる黄疸(血液中のビリルビン濃度が上昇することによって、皮膚や白目が黄色くなること)で、その程度が強いために脳にも影響が及んだ状態です。核黄疸を起こす要因には、新生児仮死や、低体温、低血糖などがあります。核黄疸は発症する時期によって3つに分類(下記参照)され、それぞれで症状が異なります。視診(見た目の診察)や血液検査、画像検査(超音波検査や頭部MRI検査)によって詳しく調べられます。核黄疸の治療は難しいため、前段階で治療を行い、予防に努めます。具体的には、光線療法や交換輸血などです。核黄疸は新生児科や小児科で検査や治療が行われます。
核黄疸について
- 新生児に見られる
黄疸 (血液中のビリルビン が多いため、皮膚や目が黄色くなる)のうち、程度が強く脳に障害を起こしたもの- ビリルビン脳症と呼ばれることもある
- 乳児期以降や成人でも核黄疸になることはまれにあるが、ここでは新生児期の核黄疸について述べる
- 核黄疸の
危険因子 として、次のものがある - 日本ではほとんどの例で早期の治療が可能なため、核黄疸は激減している
核黄疸の症状
- 時期により分けられる
- 第1期(生後2-3日)
- 筋肉の緊張が弱くなる
- 眠りがちになる
- 哺乳力が弱くなる
- 第2期(生後数日から1週間)
- 筋肉の緊張が強くなる
- 後弓反張(背中を後ろに反らせるような姿勢になる)
- 発熱
- 甲高い鳴き声
- けいれん
- 第3期(生後1-2週間以降)
- 筋肉の緊張は再度弱くなる(一見良くなったように見える)
- 生後1年から1年半:後遺症としての
症状 - アテトーゼ(自分の意志に反して、ゆっくりねじるような運動がみられる)
- 上の方を凝視する
- 聴覚障害
知能障害
- 第1期(生後2-3日)
- いずれの症状も他の病気でもみられることがある
- 特に
低出生体重児 、超低出生体重児 などでは診断が難しく、第3期になって診断がつくこともある
- 特に
- 第1期までは後遺症を残さずに治る可能性が高いが、第2期以降は後遺症が残る可能性が高い
- 重症例では後遺症を残し、脳性麻痺となる
- 肺出血・
消化管出血 により死亡することもある
核黄疸の検査・診断
- 核黄疸だけでみられる
症状 や検査結果はないため、総合的な状態から診断がつく - 視診:手足の皮膚や白目が黄色くなっていることから疑われる
- 血液検査:
ビリルビン の濃度などを調べる - 以下のような検査で脳の出血や
萎縮 などの有無を調べる超音波検査 (大泉門 から超音波をあてて脳の状態を確認する)頭部MRI 検査- 聴性
脳幹 反応:脳の障害を早期に反映すると言われている
核黄疸の治療法
- 核黄疸を
発症 してしまうと治療が難しいため、その前段階での治療と予防が第一となる - 血液中の
ビリルビン を減らすために、光線療法、交換輸血などが行われる- 光線療法:光を当ててビリルビンを変化させ、害のない形にする
- 交換輸血:血液を交換し、有害なビリルビンを取り除く
- 後遺症が残った場合にはリハビリなど、各後遺症に対する治療が必要となる