のうせいまひ

脳性麻痺

受精から生後4週間までに起きる何らかの脳の障害により、主に運動神経が麻痺(運動麻痺)する病気

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13人の医師がチェック 121回の改訂 最終更新: 2017.04.26

脳性麻痺の基礎知識

脳性麻痺について

  • 受精から生後4週間までに起きる何らかの脳の障害により、運動や姿勢に異常をきたす病気
  • 主な原因
    • 先天性生まれつき、または生まれた時から起きていること。「後天性(後天的)」の対義語(出生前の原因)
      ・妊娠中の感染症何らかの病原体が引き起こす病気。細菌、ウイルス、真菌などが原因となることが多い。人から人へ直接うつらないものも含めた総称風疹、サイトメガロウィルス様々な病気の原因となる病原体の一つ。細菌とは別物であり、抗菌薬は無効であるトキソプラズマ原虫と呼ばれる微生物の一種。家畜の肉やネコの糞、土の中などに存在しているなど
      ・胎盤の働きが悪い場合
      染色体遺伝情報の伝達を担う、DNAが集合してできた物質。ヒトは22対の常染色体と1対の性染色体をもつ異常
    • 後天性生まれてから起こること。「先天性(先天的)」の対義語(出生時、出生後の原因)
      ・新生児仮死などによる低酸素虚血体の一部に十分な血液が流れなくなってしまうこと。血管が詰まったり、あるいは血管を流れる血液が少なくなると起こる。虚血が進むと梗塞が起こる性脳症(低酸素にさらされることにより起こる脳障害)
      ・重症黄疸ビリルビンという物質が体内に溜まることで、皮膚や白眼などが黄色くなった状態。肝臓の異常で起こることが多いが、新生児に生じるものは異常ではない核黄疸
      ・頭蓋内出血
      ・脳の外傷
      ・感染症
    • その他原因不明な場合もある
  • 1000人あたり約2人の頻度で発症症状や病気が発生する、または発生し始めることする
    • 1970年代に一度減少したが、その後再度上昇傾向にある:裏を返せば医療の進歩により、重症な赤ちゃんが救命できるようになったということ
    • 低出生体重児2500g未満で生まれた新生児のこと。早産が原因の場合と、正期産であっても発達不良のために起こる場合があるほど頻度は高い
  • 分類
    • 運動麻痺神経の障害により、手足などに十分な力が入らない、感覚が鈍くなるなど、身体機能の一部が損なわれることの特徴により、主に以下に分類
      ・痙直型:手足がかたくなり、動かしづらい
      ・アテトーゼ型:体幹や手足が意図とは無関係に動く(不随意運動自身の意思とは関係なく、手足などが勝手に動いてしまうこと。脳や神経の異常で起こる
      ・混合型:手足の硬さと、不随意運動を併せた症状

脳性麻痺の症状

  • 症状は一人一人大きく異なる
  • 症状は「進行」することはないが、発達とともに症状が変化したり長期的なリハビリにより改善することはある
    • 手足のつっぱり
    • 不随意運動自身の意思とは関係なく、手足などが勝手に動いてしまうこと。脳や神経の異常で起こる(アテトーゼ)
    • 手足などの麻痺神経の障害により、手足などに十分な力が入らない、感覚が鈍くなるなど、身体機能の一部が損なわれること
    • 呼吸障害
    • 咀嚼障害(うまく噛めない)
    • 嚥下障害(うまく飲み込めない)
  • 脳性麻痺以外にも、様々な脳の障害を合併ある病気や治療によって、他の病気や病態が引き起こされることしやすい
    • 感覚障害
    • 言語障害
    • 聴覚障害
    • 視覚障害:斜視眼振意識をしていないのに、目が一定方向に細かく動いてしまう状態。脳神経や内耳の異常が原因で生じるなど
    • 発達障害:精神遅滞全般的な知的機能が平均よりも低く、環境に適応することが困難な状態学習障害広汎性発達障害注意欠陥多動性障害など
    • てんかん

脳性麻痺の検査・診断

  • 症状や経過から診断するものであり、検査はあくまでも参考
    • 他の病気が隠れていないか、どのような治療が必要か等を調べるために検査は必要
  • 頭部CTX線(放射線)を用いて頭の中の状態を調べる検査。脳出血や水頭症の確認などに使われることが多い頭部MRI磁力(電磁波)を用いて、頭の中の状態を調べる検査。脳梗塞の診断などに用いられることが多い:脳に構造上の変化がないか調べる
  • 血液検査:黄疸ビリルビンという物質が体内に溜まることで、皮膚や白眼などが黄色くなった状態。肝臓の異常で起こることが多いが、新生児に生じるものは異常ではないの有無などを調べる
  • 脳波検査脳が発している微弱な電流を検知して、脳の状態を調べる検査。一般的な手法では、頭部に21本の電極を貼って計測するてんかん合併ある病気や治療によって、他の病気や病態が引き起こされることなどを疑う場合に行う
  • 運動機能検査:運動機能が発達のどの段階にいるかを調べる

脳性麻痺の治療法

  • 脳性麻痺そのものを完治させる方法はない
  • 運動障害の症状を改善させるもしくは補うことによって生活しやすくする:症状により必要なものは大きく異なってくる
    • リハビリテーション
      ・必要に応じて理学療法体の障害に対して、動かしたり、電気や熱で刺激したりすることを通じて行う治療。理学療法士はPT(Physical Therapist)と呼ばれる(PT)、作業療法(OT)、言語療法(ST)を組み合わせる
      ・正確には「リ」ハビリテーションではなく、一から動作を獲得していく必要がある
      ・幼いほど順応しやすいため、できるだけ早めに開始する
    • 薬物療法
      ・筋肉のつっぱりを和らげる薬を飲む
    • 呼吸を手助けする人工呼吸器を使用する
    • 車いすや装具を使う
    • 鼻に細い管を入れて栄養を入れる・胃瘻内視鏡を使って腹部に小さな穴を作り、胃の中まで管を通して、食物や水分、医薬品を注入するための経路を作る処置をつくる   
    • 神経ブロック神経の根本に局所麻酔を注射することで、そこより先の神経を麻痺させて、痛みを取り除く処置
      ・フェノール、ボツリヌストキシン(ボトックス)を使う
       ・ボトックスは筋肉のつっぱりに有用
       ・異常に緊張している筋肉にボトックスなどを注射し、症状を軽減する
       ・ただし効果は注射を打った部位のみに効果があり、一時的なもの
      不随意運動自身の意思とは関係なく、手足などが勝手に動いてしまうこと。脳や神経の異常で起こるなどを抑える
  • 長期的な経過
    • 脳性麻痺が続くと生じる合併症ある病気や治療によって引き起こされる、別の病気や病態のことがある(二次障害)
      ・動かしづらい状態が続くことにより、関節が固まる
      ・首の筋肉が衰えることによる頚椎症・頚髄症(首が悪くなる病気)
  • 就学や社会参加を考慮して、環境を整えることが重要(周囲の理解が非常に大事)

脳性麻痺のタグ

からだ

脳性麻痺に関わるからだの部位