◆脳に電気刺激を行いながら歩行練習をする群とプラセボ群に振り分け
経頭蓋直流電気刺激(tDCS)は、頭蓋骨の外に置いた電極から脳に電気刺激を与えることで治療をはかる手法です。陽極を置いた下の脳活動は促進され、陰極を置いた下の脳活動は抑制されると言われています。
今回の研究では、脳性麻痺児24名を対象に以下の通りに行いました。
実験群(12名の子ども)は、トレッドミル練習と1次運動野への陽極刺激を受けた。
対照群(12名の子ども)は、トレッドミル練習とtDCSの偽刺激を受けた。
トレーニングは、2週間、週5回のセッションで行われた。
頭に電気刺激を行いながらトレッドミルで歩く群(tDCS群)と偽刺激を行いながらトレッドミルで歩く群(対照群)の2群に分け、バランス能力への効果を検証しました。
◆tDCS群でバランス能力が改善、その効果は1ヶ月後まで持続
調査の結果、以下の結果を報告しました。
実験群は、対照群と比較して、プロトコル終了から1週間の時点、1ヶ月後の両方で、前後の動揺(開眼、閉眼でp<0.05)、内外側の動揺(閉眼でp<0.05)、小児バランススケールがより良好な結果であった。
tDCS群で、バランス能力が改善し、その効果は1ヶ月後まで続くという結果でした。
筆者らは、「脳性麻痺児において、1次運動野に陽極刺激を行いながら、トレッドミル上で歩行練習を行うことで、静止立位のバランスおよび機能的能力の改善を導く。」と述べています。
脳卒中へのtDCSの効果については、これまでさまざまな研究を取り上げてきました。今回紹介した脳性麻痺についてはあまりtDCSの研究が多くはありません。今後のさらなる報告が待たれます。
執筆者
Effect of transcranial direct-current stimulation combined with treadmill training on balance and functional performance in children with cerebral palsy: a double-blind randomized controlled trial.
PLoS One. 2014 Aug 29
[PMID: 25171216]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。