脳性麻痺の子どもを治療、ロボットセラピーで手がよく動くように

脳性麻痺は、受精から生後4週間までに起きる何らかの脳の障害により、主に運動神経が麻痺する病気です。研究グループは、脳性麻痺が起こった子どもを対象に、ロボットを使ったトレーニングによる腕の機能への効果を調べました。
◆16人の脳性麻痺児を対象にロボットセラピーの効果を検証
脳性麻痺児に対する治療として、ロボットセラピーが研究されつつあります。今回、16人の脳性麻痺児をロボットセラピーを行うグループと通常治療を行うグループに分け、腕の機能改善の効果について調べました。条件を以下に示しています。
16人の脳性麻痺児をランダムに2群にわけた。8人の児が、週5回の通常治療セッションを8週以上行った(対照群)。8人の児が、週に3回の通常治療セッションと週2回のロボットセラピーを8週以上完遂した(ロボット群)。両群に対し、各セッションは45分とした。
◆ロボットセラピーは、腕の機能をより改善する
結果は以下の通りです。
評価変数の中で、動きの滑らかさ(P < .01)とBox and Block testによって測定された手先の器用さ(P = .04)は、対照群に比べ、ロボット群で統計学的に
有意 な改善がみられた。
ロボットセラピーが、脳性麻痺児の腕の動きをより改善するという結果でした。
研究グループは、「このシングルブラインドランダム化比較試験は、ロボットセラピーが脳性麻痺児に効果があるという最初のエビデンスである」と述べています。
今回の研究では、8週にわたる治療の効果が示されました。長期的な運動機能への効果についても、更なる報告が期待されます。
執筆者
Upper limb robot-assisted therapy in cerebral palsy: a single-blind randomized controlled trial.
Neurorehabil Neural Repair. 2015 Feb
[PMID: 25015650]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。