ロボットトレーニングが脳卒中患者の手先の機能を改善した
脳卒中後のリハビリテーションの一つにロボットを用いたトレーニングがあります。現在、肩や肘などの大きな動きを回復させる治療として注目を集めていますが、手先の細かい動きに対しても効果を検証する研究が行われました。
◆ランダム化比較試験により手指トレーニングの効果を検証
研究グループは、手指に対するロボットトレーニングの効果を検証することを目的とした試験を行いました。
対象は、脳卒中後(半年から2年)の患者19名とし、ロボットトレーニングを行うグループと通常のトレーニングを行うグループにランダムに分け、その後の手の運動機能を調べました。
◆手指に対するロボットトレーニング効果に持続性あり
トレーニング後には、双方のグループで治療に対する効果がみられました。しかしながら、次のように、トレーニングから半年後も効果が持続されたのは、ロボットトレーニングのグループのみでした。
ロボットトレーニングを行ったグループのみがARATとFMAの肩と肘のサブスコアにおいて訓練後6か月にわたり統計学的に
有意 な改善を維持した。
研究グループは、「この研究は、手指のリハビリテーションに対するロボット-アシスト手指トレーニングの潜在的な効果と、より広い人に対し脳卒中後の早期リハビリテーションを促進させる可能性を示し、またそのことによって拘束誘導運動療法を補うために利用されうる」と述べています。
肘や肩だけでなく、手指に対するロボットトレーニングも、今後検証が進み、効果が確かめられれば、治療に取り込まれていくかもしれません。
執筆者
Efficacy of robot-assisted fingers training in chronic stroke survivors: a pilot randomized-controlled trial.
J Neuroeng Rehabil. 2015 Apr 25
[PMID: 25906983]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。