かんせつりうまち
関節リウマチ
免疫の異常により関節の腫れや痛みが起こる病気
14人の医師がチェック 153回の改訂 最終更新: 2024.06.07

関節リウマチの人が妊娠する場合のポイント

関節リウマチになっても妊娠することはできます。ただし、妊娠にあたってはいくつかの注意点があります。注意点をお母さん側の視点と赤ちゃん側の視点から挙げていきます。 

妊娠にあたりお母さん側の視点から注意が必要な点は、関節リウマチの症状が悪くなる可能性があることです。
約半数の方では妊娠に伴い関節リウマチの症状が良くなるとも言われていますが、一部は逆に症状が悪くなります。
またあとで述べるように、妊娠中は赤ちゃんへ薬が移行するリスクがあるため、使用できる薬が限られてしまうという点にも注意が必要です。そのため、妊娠を希望したらまず関節リウマチの治療をして、症状が落ち着いた状態で妊娠することが望ましいと言えます。

関節リウマチと診断された人で妊娠を希望される場合には、必ず主治医に思いを伝えるようにして下さい。

赤ちゃん側の視点で注意が必要な点は2点あります。

  1. 関節リウマチの治療薬の影響
  2. 自己抗体が赤ちゃんに移行することによる影響

薬の効果と副作用は、医学研究として実際の患者さんに使用してもらうことで確認されています。しかし、妊婦や赤ちゃんを対象にした研究を実施するのは難しいため、妊娠していない成人に対して安全性を検証された薬でも、妊娠中については必ずしも同等の証拠があるとは言えません。妊娠中にどの薬なら比較的安心して使えるかは専門的な判断になります。
少数の研究や動物実験などの結果から、関節リウマチの治療薬の妊娠時の注意点として以下のことが分かっています。

■非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs
一般的な痛み止めの薬です。例としてロキソプロフェンナトリウム(商品名ロキソニン®など)やジクロフェナクナトリウム(商品名ボルタレン®など)が該当します。関節リウマチの痛み止めとしても使用されます。
妊娠後期(28週以降)に飲むことで、赤ちゃんの動脈管と呼ばれる血管を閉じてしまう副作用があります。そのため妊娠後期には非ステロイド性抗炎症薬を飲めません。

ステロイド薬
炎症を抑える作用のある薬です。さまざまな病気に対して効果があり、目的に応じて外用薬(塗り薬など)や注射薬としても使われますが、関節リウマチの治療としては飲み薬をよく使います。
たくさんの量を飲むことで赤ちゃんの先天異常を引き起こす可能性が報告されています。しかし、関節リウマチで使用する量はそこまで多くないので、リスクはわずかと考えられています。実際に妊娠中にも使用されることはあり、関節リウマチの症状を抑えて無事に出産するための役に立っています。

■メトトレキサート
メトトレキサートを内服している期間に妊娠することで流産や先天異常が多くなると報告されています。そのため妊娠3ヶ月以上前からメトトレキサートを中止することが勧められています。
妊娠を希望していて、メトトレキサートを処方された場合は主治医の先生に相談してみてください。また男性にも同様の注意があります。男性がメトトレキサートを飲んでいる場合も妊娠の3ヶ月以上前から中止することが勧められています。

■生物学的製剤
生物学的製剤は抗体をもとにして作られた薬です。一般に抗体はお母さんの体から赤ちゃんに移行します。そのため妊娠中に生物学的製剤を使用することで赤ちゃんの発達に影響を与える可能性が理論的に否定できず、使用が勧められない場合が多いです。
ただし、生物学的製剤の中でもエタネルセプト(商品名エンブレル®)やセルトリズマブペゴル(商品名シムジア®)は薬の構造上、赤ちゃんに移行しにくいと考えられており、妊娠中も使用される場合があります。

妊娠と薬の関係に関しては国立成育医療研究センターが個別の相談を受け付けています。

こうした専門の窓口以外でも、心配な点があれば医師や薬剤師に相談してください。なお、処方された薬を自己判断で急にやめたり量を変えて飲んだりすることは危険です。関節リウマチの治療中に妊娠したい・したかもしれないと思ったら、まずは主治医に相談してください。

関節リウマチは免疫細胞の異常が原因の病気です。様々な異常な抗体が作られます。中でも人間の体を攻撃する抗体を自己抗体と呼びます。自己抗体のひとつである抗SS-A抗体は、赤ちゃんに移行することで、1%程度の頻度で赤ちゃんの不整脈を誘発することが分かっています。