2016.03.04 | ニュース

妊娠中にビタミンD、ビタミンE、亜鉛を摂ると子供の健康に良いことがある?

文献調査による検証

from Allergy

妊娠中にビタミンD、ビタミンE、亜鉛を摂ると子供の健康に良いことがある?の写真

赤ちゃんがお腹の中にいる間は、母親が食事から得た栄養が胎盤を通じて与えられます。妊娠中にビタミンD、ビタミンE、亜鉛を摂ることで、子供の喘息などのリスクが下がるか調べられました。

◆妊娠中に特定の栄養素を摂ることで喘息、喘鳴、アトピー性の病気リスクが下がる?

今回の調査はデータベースから文献を集める方法で行われました。妊娠期間中の食事記録を使って、子供の喘息、喘鳴、湿疹などアトピー性の病気と、妊娠中の食事に関連が見られたかを報告した文献が集められました。これらのデータが統計解析されました。

喘鳴は喘息の症状のひとつです。しかし、喘鳴は他の病気でも見られることがあり、喘鳴だけで喘息と診断することは出来ません。

 

◆ビタミンD、ビタミンE、亜鉛が多いと喘鳴が少ない

次の結果が得られました。

メタ分析によると妊娠中のビタミンD[オッズ比= 0.58、 95% 信頼区間 = 0.38-0.88]、ビタミンE(OR = 0.6, 95% CI = 0.46-0.78)、そして、亜鉛(オッズ比=0.62、 95% 信頼区間=0.40-0.97)が高いことは小児期の喘鳴のオッズが低いことと関連していた。しかし、これらや他の栄養素が喘息自体やその他のアトピー性の状態と一貫して関連が見られることはなかった。

妊娠中にビタミンD、ビタミンE、亜鉛の摂取量が多かったとき、子供に喘鳴の発生が少ないという関連が見られたが、喘息の診断とは関連がなかったことが報告されました。

研究班は「現在のエビデンスは妊娠中にビタミンD、ビタミンE、亜鉛のそれぞれを摂ることが子供の喘鳴に防御的な効果があることは示唆するが、喘息、また、他のアトピー性の状態に効果があるとは結論できない」と述べています。

 

妊娠中にビタミンD、ビタミンE、亜鉛を摂ることで子供の喘息やアトピー性の病気を予防するとは言いにくい結果でした。しかし、これらは人体にとって常に必要な栄養素であり、体調が崩れやすい妊娠中に気を付けておくことは無駄ではありません。妊娠中の栄養管理を考えるうえで、このような結果も参考にしつつ、摂りすぎには注意し、全体の栄養バランスが良い食事を心がけることが大切です。

執筆者

宮本 望都喜

参考文献

Maternal nutrition during pregnancy and risk of asthma, wheeze, and atopic diseases during childhood: a systematic review and meta-analysis.

Allergy. 2015 Dec.

[PMID: 26296633]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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