◆足首の骨折とは
足首は脚の中でも骨折が多い場所のひとつです。足首の関節は足関節と呼ばれ、脛骨(膝から足首の親指側の骨)、腓骨(小指側の骨)などから構成されています。特に多いものとしてくるぶしのあたりの部分の骨折(果部骨折)があります。より広い範囲が折れたり、靭帯の損傷が加わったりする場合もあります。
足首をひねること、つまり内返し(足の裏が内側に向くようにひねる)や外返し(足の裏が外側に向くようにひねる)で足首を骨折することがあります。
◆足首の骨折の症状
足首を骨折すると、強い痛みが生じ、多くの場合、歩くことは困難です。足首が変形したり、腫れたりします。折れた場所の皮膚が破れてしまう場合(開放骨折)もあります。開放骨折などの重症の骨折では緊急手術が必要です。ほかに折れた骨が周りの神経や血管に影響を及ぼすことも考えられます。
痛みがあるにもかかわらず、我慢して歩くと、骨折した部分の転移(ズレ)が大きくなる恐れもあります。見た目の腫れが大きくなくても、骨が折れていないとは限りません。
足首の骨折であるという診断には、受傷までの流れや視診(足首の腫れや変形)、触診(痛みの部位、強さ、押した時に痛みが強くなるか、何もしないでも痛いか、など)を参考にします。
レントゲン検査(X線写真撮影)も行います。折れている可能性があると思われた場所がよく映るような向きで撮影します。レントゲン検査ではっきりしない場合などではCT検査を使うこともあります。
また骨折した時の状況によっては、腰椎圧迫骨折など、足首以外の場所にもけががないかを調べる必要があります。
◆足首の骨折の保存療法と手術
次に、足首を骨折した場合の治療について解説します。
初期治療として関節を固定したり脚を高く上げて置いたりする方法があります。手術をする場合も、手術なしの治療(保存療法)を行う場合もあり、骨折の状態などを見て適した治療法が検討されます。
軽症の骨折で、骨折による骨のズレがなく、関節の状態が良好に保たれている場合などに、保存療法が検討されます。
保存療法は、ギプスで固定する方法、シーネで固定する方法などがあります。保存療法を始めてからは繰り返しレントゲン検査を行うなどして、骨がうまくくっつかない、ずれてくっついてしまうなどがないか確認します。様子を見て手術に切り替える場合もあります。
手術には骨折の型や部位によっていくつもの方法があります。たとえば、スクリュー、プレートなどの人工物を使って折れた骨を固定する手術があります。
ほかに体の外に固定器具を取りつけて固定する創外固定などの方法もあります。
◆足首の骨折の手術後の治療
手術の後、多くはギプスやシーネで固定します。ギプスやシーネをつける原則として、5本の指は動かせるようにつけること、特に親指の付け根にギプスやシーネが掛からないことに気をつけます。この理由としては、手術後の合併症として知られる「深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群とも呼ばれています)」にならないようにという狙いがあります。深部静脈血栓症とは、手術後に足を動かすことが減ることなどにより、脚の血流が悪くなり、血栓ができることです。深部静脈血栓症は特に重症の場合は命に関わるため、手術後には予防策が検討されます。
手術後すぐには体重をかけられるわけではありません。骨が手術で固定されていても、体重をかけることで固定した部分がズレたりすることも考えられます。
骨折の治癒状態によっても異なりますが、体重をかけられるようになるのは早くても1か月程度、遅い場合は2か月程度またはそれ以上になることもあります。この過程でリハビリを行います。
足に体重をかけられるようになる前から、弱った筋肉の力を取り戻すための運動や、関節の動きを良くするまたは悪くしないように動かす練習を行います(リハビリは、骨折の状態やその日ごとの状態によっても、開始する時期や内容は変わります)。足に体重をかけなくても歩けるように装具療法を行うこともあります。免荷装具と呼ばれるもので、膝やスネのあたりで体重を受けることで足への負担を減らす装具をつけます。
また、足首を再び捻らないように、足首を固定する頑丈なサポーターのようなものを付けて、リハビリを行うこともあります。
治療期間は様々ですが、受傷から通院終了まで数か月程度はかかります。なかには、足首の曲がりにくさや、歩きづらさなどが残る人もいます。
適切な治療法を医師と相談して決めることはもちろん、体重をかけてはいけない時期は守ったうえで、筋力を取り戻す運動や関節を動かす練習を続けることも大切です。
注:この記事は2016年2月24日に公開しましたが、2018年2月20日に編集部(大脇)が更新しました。
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※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。