「足を骨折したら病院でリハビリテーション」はどの程度有効か?

足の骨折に対する治療法としてリハビリテーションが行われますが、その効果は明らかになっていません。今回の研究では、リハビリテーションと個別のアドバイスの効果を比較し、その有効性を検証しました。
◆病院でのリハビリテーションとアドバイスによる自己管理ではどちらが有効か?
足の骨折により手術や固定を行うと、足の筋肉が落ちたり、足が動かしにくくなるといった
研究グループは、オーストラリアの診療所に足の骨折後患者214人を、通常のリハビリテーション(運動プログラムとアドバイス)を行う群とアドバイスのみを行う群の2群に分け、効果を検証しました。
運動プログラムは、足首のストレッチや筋力トレーニング、骨折した足に体重をかけたりバランスをとる練習が行われました。
アドバイスは、骨折した足の固定が外れた後の運動の方法や生活に復帰する際の注意点などついて、行われました。
◆病院でのリハビリテーションはアドバイスによる自己管理と大差なし
研究の結果、以下のことが示されました。
リハビリテーションは、アドバイスより活動制限(3ヵ月の平均効果0.4(95%信頼区間:-3.3から4.1))、
QOL (-0.01(95%信頼区間:-0.06から0.04))において効果的ではなかった。
病院で行うリハビリテーションは、運動のアドバイスを行い自己管理をしてもらった場合と比較して、浴室を歩く、階段をのぼるなど、日常生活をおくる際の足の使用や生活の質(QOL)に明らかな効果を認めなかったという結果でした。
「病院で行うリハビリテーション」と「アドバイスを元に自分で行うリハビリテーション」には効果に大きな差はないという研究結果でした。病院で行うリハビリテーションのなかには、自宅でも行えるものも多くあるため、このような結果になった可能性があります。また、適切なアドバイスにより、自宅で行うリハビリテーションでも効果が見られるという解釈もできるかもしれません。自宅で行う場合は安全性に配慮して行う必要があるため、専門家のアドバイスを聞き実施する必要があることに留意してください。
執筆者
Rehabilitation After Immobilization for Ankle Fracture: The EXACT Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2015 Oct
[PMID: 26441182]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。