子どもの予防接種でアナフィラキシーが発生、インフルエンザワクチンは安全なのか?
ワクチンによってまれにアレルギーやアナフィラキシーの症状が起こることがあります。アメリカでインフルエンザワクチンや三種混合ワクチンなどを接種したあとのアナフィラキシーの頻度を報告した、2003年の論文を紹介します。
◆アメリカでワクチン接種後のアナフィラキシーを調査
研究班は、アメリカの4か所の施設で予防接種を受けた0歳から17歳の人のデータを集計し、ワクチンが原因で起こった可能性があるアナフィラキシーの頻度を調べました。
使われたワクチンには次のものがありました。
- ジフテリア・破傷風・百日咳三種混合ワクチン(DTPワクチン)
- インフルエンザワクチン
- A型肝炎ワクチン
- B型肝炎ワクチン
インフルエンザ菌 b型ワクチン(Hibワクチン)- ポリオワクチン
- 麻疹・ムンプス・風疹ワクチン(MMRワクチン)
- 水痘ワクチン
- ほか
※インフルエンザ菌はインフルエンザの原因になる
◆760万件中5件
次の結果が得られました。
7,644,049件のワクチン接種ののち、ワクチン関連アナフィラキシーの可能性がある5症例が同定され、リスクは接種100万件あたり0.65件(95%信頼区間0.21-1.53)と見られた。死亡に至った事例はなかった。
合計でおよそ760万件のワクチン接種のうち、ワクチンが原因となった可能性があるアナフィラキシーの事例が5件見つかりました。死亡に至った例はありませんでした。
インフルエンザワクチンが接種されたおよそ20万件のうち、ワクチンが原因でアナフィラキシーが起こった事例は1件もありませんでした。
研究班は「患者および医療提供者はワクチン関連アナフィラキシーはまれな事象であることについて安心してよい。しかしながら、医療提供者は万一アナフィラキシーが起こった場合にはただちに医療処置が行えるよう準備しておくべきである」と結論しています。
ワクチンには病気を予防する効果がある反面、まれにアナフィラキシーなどの副反応を起こすこともあります。ワクチン接種が勧められるかどうかは、その両面のバランスをもとに判断されます。
この報告ではアナフィラキシーが起こった数が少ないため、偶然によって割合が増減している可能性がありますが、数十万件に1件程度という大まかな感覚としては参考にできるかもしれません。
執筆者
Risk of anaphylaxis after vaccination of children and adolescents.
Pediatrics. 2003 Oct
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。