ほんたいせいけっしょうばんけっしょう
本態性血小板血症
血液中の血小板が、異常に増えてしまう病気
8人の医師がチェック 30回の改訂 最終更新: 2017.12.08

本態性血小板血症の基礎知識

POINT 本態性血小板血症とは

血小板は血液中に含まれる細胞であり、止血において重要な役割を果たします。本態性血小板血症では、本来ほどよい数に調節されているべき血小板数が無秩序に増えてしまうことにより、心筋梗塞や脳梗塞をはじめとした血栓症が起こりやすくなります。 症状としては発熱、体重減少、怠さ、全身の痒み、骨痛、などが起こることがあります。血栓症を起こしてしまった場合には、血栓症が起きた部位に応じた症状が出ます。診断は採血検査、骨髄検査、遺伝子検査などを用いて行います。治療は血栓症の危険性が高くなければ経過観察のみとすることもありますが、血栓症の危険が高ければ血が固まりにくくなる薬や血小板を減らす薬を内服します。 本態性血小板血症が心配な方や治療したい方は血液内科を受診してください。

本態性血小板血症について

  • 血小板は血液中に含まれる細胞であり、止血において重要な役割を果たす
    • 骨髄などの血液を作る臓器において、血小板が無秩序に増殖する病気
    • 骨髄検査を行うと、血小板の元になる巨核球という細胞が増加している
    • 骨髄増殖性腫瘍に分類される
  • 基本的には生命予後が良好な病気
    • 治療における最大の目標は心筋梗塞脳梗塞などの血栓症を起こさないようにすること
  • 50-60歳代に多い病気だが、30歳代の女性に見られるケースもしばしばある(妊娠が問題となる)

本態性血小板血症の症状

  • 軽症の場合は無症状のこともある
  • よく見られる症状
    • 発熱
    • 体重減少
    • 全身の痒み
    • 怠さ
    • 骨痛
  • 血栓症が起きてしまった際の症状(代表例)
    • 心筋梗塞
      • 胸の痛みや圧迫感
      • 冷や汗
      • 吐き気 など
    • 脳梗塞
      • 片方の手足の動かしにくさ(麻痺
      • 片方の手足のしびれ(感覚障害)
      • しゃべりにくくなる(構音障害
      • めまい、ふらつき など
  • 妊娠する場合には妊娠早期に流産するケースなどが見られやすい
    • 妊娠を予定している場合には治療内容の相談が必要

本態性血小板血症の検査・診断

  • 血液検査
    • 血小板数が著しく増えていることを確認する
    • 白血球数も増加していることが多い
    • 赤血球数は正常であることが多い
  • 骨髄検査(骨髄穿刺、骨髄生検
    • 腰骨や胸の骨から骨髄を採取し、顕微鏡で確認する
    • 血小板の元となる巨核球が増加していることを確認する
    • 白血病、真性多血症原発性骨髄線維症など、血小板が増える他の病気と区別する
  • 遺伝子検査
    • JAK2, MPL, CALRなどの遺伝子変異が8割以上の患者さんで検出される
    • 約半数の患者さんでJAK2変異が検出される
    • 慢性骨髄性白血病でみられるBCR-ABL1融合遺伝子が検出されないことを確認する
  • 画像検査
    • CT検査やMRI検査で、全身に他の病気がないか調べる
    • 肝臓や脾臓が腫れている様子が高頻度で見られる

本態性血小板血症の治療法

  • 基本的には生命予後が良好な病気なので、治療における最大の目標は心筋梗塞脳梗塞などの血栓症を起こさないようにすること
    • 血栓症を起こしにくいと予想される場合には経過観察のみを行う場合もある
    • 血栓症を起こしやすいと予想される人の特徴として以下が挙げられる
  • 抗血小板薬
    • アスピリン(バイアスピリン®など)の内服などで血液をサラサラにする
    • 血栓症を起こしやすいと予想される人や、JAK2変異陽性の人は抗血小板薬を使うことが多い
  • 細胞減少療法
    • 血栓症を起こしやすいと予想される人は、抗血小板薬に加えて細胞減少療法(血小板を減らす治療)を行う
      • ヒドロキシウレア(ハイドレア®)内服
      • アナグレリド(アグリリン®)内服
      • インターフェロンアルファ注射 など
    • 明確な基準はないが、血小板数40-50万/μL以下程度を目標とすることが多い
      • 血小板数が多ければ多いほど血栓症を起こしやすい、というわけではない
  • 想定される疾患の経過

本態性血小板血症のタグ

診療科
からだ