まんせいふくびくうえん(ちくのうしょう)
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
急性副鼻腔炎が治りきらずに慢性化したもの。一般的には蓄膿症と呼ばれることも多い
11人の医師がチェック 88回の改訂 最終更新: 2026.04.07

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の薬はどんな薬?

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の治療では、症状や病型に合わせて薬を組み合わせて使います。治療が数週間から数か月に及ぶこともあるため、効果だけでなく、注意点もあわせて理解しておくと安心です。ここでは、慢性副鼻腔炎の治療に用いられる主な薬について説明します。

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の治療では、症状や病型に合わせて薬を組み合わせて使います。治療が数週間から数か月に及ぶこともあるため、効果だけでなく、注意点もあわせて理解しておくと安心です。ここでは、慢性副鼻腔炎の治療に用いられる主な薬について説明します。

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に対する市販薬として、漢方薬をベースにした内服薬がいくつか販売されています。代表例は次のとおりです。

  • チクナイン®錠
  • ベルエムピ®L錠
  • ホノミビスキン®
  • エンピーズ®
  • フジビトール®

これらは「慢性副鼻腔炎を根本的に治す」というより、鼻づまり・鼻汁・後鼻漏などの症状を和らげる目的で使われることが多い薬です。

また、慢性副鼻腔炎の背景には「歯が原因」「真菌(カビ)」「好酸球性」など、治療方針が大きく変わるタイプもあります。市販薬で様子を見る場合でも、症状が長引いたり、悪化したり、顔面痛、発熱が強いなどがあれば、耳鼻咽喉科を受診してください。

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に対して、漢方薬が用いられることがあります。漢方薬は「細菌を直接たたく」というより、鼻づまり・鼻汁・後鼻漏などの症状を和らげる目的で使われることが多いです。

  • 葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
  • 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
  • 辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)

体質(証)や症状の出方に合わせて選びます。

体質(証)による考え方

漢方では、体力が比較的しっかりしているタイプを実証、体力が乏しく疲れやすいタイプを虚証として、処方選択の参考にします。

  • 葛根湯加川芎辛夷、辛夷清肺湯:体力がある(実証寄り)人に向いていることが多い
  • 荊芥連翹湯:体力が落ちやすい(虚証寄り)人に向いていることが多い

体力の有無を客観的に判断することは難しいので、患者さんの状態からお医者さんが判断します。

症状の出方による考え方

慢性副鼻腔炎でよく使われる漢方薬を症状に注目して説明します。

■葛根湯加川芎辛夷

比較的体力があり、鼻づまり・鼻水・後鼻漏が長引くタイプで用いられることが多いです。頭痛、頭が重い感じ、首〜背中のこわばりなどを伴う場合に選択されることもあります。

■辛夷清肺湯

体力が中等度以上で、色のついたねばっこい鼻汁や後鼻漏が目立つ場合に選ばれることがあります。鼻症状の緩和(鼻づまり、鼻汁、後鼻漏など)を目的に使われます。

■荊芥連翹湯

体力が中等度前後で、体質的に炎症を繰り返しやすいタイプに用いられることが多いです。鼻以外にも、のどや耳などの症状を繰り返しやすい人で選択されることがあります。

漢方薬の注意点

漢方薬は体質との相性が影響しやすく、効果の出方には個人差があります。また、慢性副鼻腔炎の背景には、歯性上顎洞炎、真菌症、好酸球性副鼻腔炎など、治療方針が大きく変わる病型もあります。症状が長引く場合や、顔面痛・発熱などが強い場合は、耳鼻咽喉科で病型を含めて評価を受けることが大切です。

慢性副鼻腔炎の治療において、抗菌薬抗生物質)の必要性はよくある疑問です。結論から言うと、慢性副鼻腔炎では“いつも抗菌薬が必要”というわけではありません。
ただし、状態によっては抗菌薬が重要になる場面もあります。ここでは、抗菌薬が使われる代表的な2つの場面を整理します。

慢性副鼻腔炎の経過中にかぜなどをきっかけに症状が急に悪化することがあります。これを慢性副鼻腔炎の急性増悪と呼びます。急性増悪では、次のような変化が目立ちます。

  • 鼻汁が黄色くなる、ねばっこくなる、量が増える
  • 顔面痛(頬・額)や歯痛が強くなる
  • 発熱を伴う
  • 症状が数日〜1週間以上しつこく続く

このように細菌感染の関与が強く疑われる場合には、抗菌薬が検討されます。使われる薬は重症度や年齢で変わりますが、ペニシリン系抗菌薬や、ニューキノロン系抗菌薬、テトラサイクリン系抗菌薬などが選ばれることが多いです。
なお、抗菌薬には下痢などの副作用があり、耐性菌の問題もあるため、「必要性が高い場面で、必要な期間だけ使う」ことが重要です。他人の薬や、以前の薬を自己判断で飲むのは避けてください。

慢性副鼻腔炎は、発症のきっかけとしてウイルス感染や細菌感染が関与することがありますが、長引く段階では、感染を退治することだけでは改善しない炎症や排出障害が前面に出てきます。このため、慢性副鼻腔炎に対しては、細菌を倒す目的で抗菌薬を漫然と続ける治療は基本的に行いません。
一方で、日本で比較的よく行われる治療として、マクロライド系抗菌薬を少量で一定期間内服する方法があります。これがマクロライド少量長期投与です。特定のマクロライド系抗菌薬を常用量の半分を8週間から12週間程度内服します。この治療の主な目的は、一般的な感染症治療のように「細菌を退治する」ことではなく、次のような効果を期待して行われます。

  • 炎症を抑える
  • 分泌物を減らす
  • 分泌物を運ぶ線毛運動を助ける

ただし、効果には個人差があり、有効という報告と無効という報告が両方あるため、症状や病型を踏まえて適応を判断します。また、下痢などの副作用や耐性菌の問題もあるので、行う際には漫然と延長せず、一定期間で効果判定を行うことが大切です。