まんせいふくびくうえん(ちくのうしょう)
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
急性副鼻腔炎が治りきらずに慢性化したもの。一般的には蓄膿症と呼ばれることも多い
11人の医師がチェック 50回の改訂 最終更新: 2022.08.29

副鼻腔とは?

副鼻腔(ふくびくう)とは鼻に隣接する骨に囲まれた空間です。正常構造では鼻の中と小さな穴や管でつながって空気が通っています。慢性副鼻腔炎は副鼻腔の病気です。慢性副鼻腔炎の場所となる副鼻腔についてみていきましょう。 

私たちが一般的に「鼻の穴」と呼ぶ場所は医学用語では鼻腔(びくう)と言います。

副鼻腔は鼻腔の周りにある骨で囲まれた空間で、鼻腔と小さな穴や管とつながっています。

図:副鼻腔の解剖イラスト。前頭洞、蝶形骨洞、篩骨洞、上顎洞の位置を示す。

副鼻腔は下記のものがあります。

  • 上顎洞(じょうがくどう)

  • 前頭洞(ぜんとうどう)

  • 篩骨洞(しこつどう)

    • 前篩骨洞

    • 後篩骨洞

  • 蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)

いずれも左右にあります。

副鼻腔のうちどれか1か所にだけ炎症がある場合は、上顎洞炎や前頭洞炎、蝶形骨洞炎などとも呼ばれます。

篩骨洞は好酸球性副鼻腔炎では主に炎症が起こる場所になります。

炎症が起きた場所によって症状が若干変わります。

上顎洞炎では頰や目のあたりの痛みや、歯茎の痛みがでます。

前頭洞炎では額の痛みがでます。

蝶形骨洞炎では長引く頭痛がでることがあります。

副鼻腔は目や脳に近いため、急な炎症で目や脳の合併症がでることがあります。

目の合併症ででることのある症状として、目がぼやける、視力低下、ものが二重に見えるなどがあります。

脳の合併症では、意識がボーとする、重症の場合は意識がなくなるなどがあります。

慢性副鼻腔炎とは、副鼻腔の炎症が3ヶ月以上続いている状態です。

副鼻腔にそれぞれ単独で炎症がある場合は、上顎洞炎や前頭洞炎、蝶形骨洞炎などとも呼ばれます。

上顎洞は鼻の横にある副鼻腔です。

上顎洞におきた副鼻腔炎を上顎洞炎とよびます。上顎洞炎は副鼻腔炎の一種であり、急性副鼻腔炎と同じ症状がでることがあります。

急に発症した上顎洞炎は強い頰の痛みがでて歯痛と間違うことがあります。

上顎洞炎の一部は歯に原因があり歯性上顎洞炎と呼ばれます。歯性上顎洞炎はほかの副鼻腔炎と治療法が違います。上顎洞に炎症がある場合、歯性上顎洞炎を見分けることは治療のために大切です。歯性上顎洞炎の特徴のひとつが、片方の上顎洞にだけ症状を現すことです。