くろいつふぇるとやこぶびょう(プリオン病)
クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオン病)
脳に異常なプリオンタンパク質が溜まり、脳の機能が急激に低下する病気。数ヶ月以内に寝たきりに至ることが多い
10人の医師がチェック 90回の改訂 最終更新: 2022.02.21

クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオン病)の基礎知識

POINT クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオン病)とは

脳に異常なタンパク質が溜まって、脳の機能が急激に低下する病気です。症状が急激に進むので、発病後数ヶ月以内に寝たきりになることもあります。プリオン蛋白の遺伝子の変異がある場合もありますが、ない場合もあります。クロイツフェルト・ヤコブ病が疑われる人には脳波検査や頭部MRI検査、髄液検査などが行われます。現在のところ有効な治療がないので、治療の目的は症状を和らげることになります。具体的にはリハビリテーションやけいれん発作を抑える薬を服用します。クロイツフェルト・ヤコブ病の診療は神経内科を中心に行われます。

クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオン病)について

  • 脳に異常なタンパク質が溜まり、脳の機能が急激に低下する病気
    • 異常な構造を取るようになったプリオン蛋白が蓄積することで、脳神経細胞の機能が障害される
    • 急速に症状が進み、多くは発症後数ヶ月以内に寝たきりとなる
  • 病気の分類
    • 孤発性:家族歴がなく、プリオン蛋白遺伝子の変異もない
    • 遺伝性:プリオン蛋白遺伝子に変異がある
    • 獲得性:他のプリオン病からの感染によるもの
  • 年間100万人あたり1人の割合で発病する
    • 平成25年度末の難病登録者数は487名
    • 毎年100~200名の発病が確認されている
    • 男性よりも女性に多い
    • 全体の3/4は孤発性
    • 発症年齢は50~70歳代が多い
  • 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病は、牛海綿状脳症 (BSE) との関連性が指摘されている
    • BSEに感染した牛の特定部位を摂取することで、感染する可能性は否定できていない

クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオン病)の症状

  • 分類ごとの特徴的な症状
    • 孤発性
      • 急速に進行する認知症症状
      • ミオクローヌス(筋肉の不随意的な収縮)
    • 遺伝性
      • 記銘力障害、失語、失行などの高次脳機能障害
      • 小脳失調や視覚障害
      • ミオクローヌスはまれ
      • 2年〜数年に渡って比較的ゆっくりと進行する
    • 獲得性
      • 精神症状(抑鬱、焦燥、不安、自閉、無関心、不眠、強迫観念、錯乱、興奮、異常な情動、性格変化、異常行動、記憶障害など)

クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオン病)の検査・診断

  • 主な検査
    • 脳波検査:同期性周期性放電と呼ばれる特徴的な波形が出る場合がある
    • MRI検査:大脳皮質の病状の進行に伴って、広汎なDWI高信号、ADCマップ低信号を呈する。T2強調像やFLAIR画像では基底核に異常信号を呈することがある。末期には白質にも異常信号を呈する。
    • 髄液検査
      • タウ蛋白の量が増えているかどうかを確かめる
      • 特殊なタンパク質(14-3-3タンパク質)が出現しているかを確かめる
    • 遺伝が原因として疑われる際は遺伝子検査を行う
  • 除外診断が必要となる類似疾患

クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオン病)の治療法

  • 現時点での効果的な治療法はなく、対症療法が中心となる
    • 栄養補給
    • てんかん薬、抗けいれん薬
    • 関節の拘縮予防のリハビリテーション
    • 褥そうの予防   など
  • 他者への感染を防ぐため、献血は行えない

クロイツフェルト・ヤコブ病(プリオン病)のタグ

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