だんせいふにんしょう

男性不妊症

男性側に何らかの原因があり、妊娠が成立しない状態

病気に関連する診療科の病院を探す
7人の医師がチェック 103回の改訂 最終更新: 2017.10.13

男性不妊症の基礎知識

POINT男性不妊症とは

男性不妊症は不妊症の主な原因が男性にあるケースを指し、不妊症の約25%を占めます。男性不妊症の原因は精子が少ないことや射精が正常に行えないなどで精液検査や血液検査で原因を特定して適した治療を行います。不妊症の場合、女性側の原因については調べられることが多いですが、男性不妊症についても調べることが勧められます。男性不妊症について診察を希望される場合はまず泌尿器科を受診して相談してみることよいと思います。

男性不妊症について

  • 男性側に何らかの原因があり、妊娠が成立しない状態
    • 一般的に不妊症というと女性側の問題を指すことが多いが、WHO(世界保健機構)から不妊の原因の分類の割合が出ている
      ・男性のみに問題がある場合:24%
      ・女性のみに問題がある場合:41%
      ・男女ともに問題がある場合:24%
      ・原因が不明の場合:11%
  • 造精機能障害による場合と、精路通過障害による場合、性機能障害による場合がある
    • 造精機能障害とは、精巣で十分な精子を作り出せない状態
    • 精路通過障害とは、精子が、精巣から尿道まで輸送出来ない状態
    • 性機能障害とは、勃起不全ED)などで性行為を正常に行なえない状態
  • 造精機能障害を起こす主な原因
    • 原因不明(最も多い)
    • 染色体遺伝情報の伝達を担う、DNAが集合してできた物質。ヒトは22対の常染色体と1対の性染色体をもつ、遺伝子異常(クラインフェルター症候群など)
    • 精索静脈瘤:睾丸の上に流れる血管が異常に膨れてしまう
    • 停留精巣:陰のうの中に、睾丸が入ってない状態
    • 精巣がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある
    • 下垂体脳の底(鼻の奥)にある脳の一部。様々なホルモンを分泌する働きをもつ甲状腺のどぼとけのすぐ下にある、人体で最大の内分泌腺(ホルモンを出す臓器)。甲状腺ホルモンを分泌する疾患
    • 化学療法がんの治療の一種で、抗がん剤を使った治療の総称放射線療法主にがんに対して用いられる、放射線を用いた治療法の影響
    • 加齢
    • 喫煙
  • 精液検査により以下の4つにわけられる
    • 無精液症:精液が出ない
    • 無精子症:精液中に精子を認めない
    • 乏精子症:精液の中の精子の数が少ない
    • 精子無力症:精子の動きが悪い
    • 奇形精子症:正常な形の精子が極端に少ない
  • 精路通過障害を起こす主な原因
    • 先天性生まれつき、または生まれた時から起きていること。「後天性(後天的)」の対義語精管欠損症
    • 精巣上体炎発症症状や病気が発生する、または発生し始めること
    • 逆行性射精:精液が膀胱に流れ込む症状
    • 医原性
      鼠径ヘルニア手術後
      前立腺男性の尿道の奥の部分を取り囲むようにある臓器。前立腺液と呼ばれる液体を分泌したり、尿の排泄をコントロールしたりしている、精のう腺の手術後など
  • 不妊症の中の40〜50%が男性側にも問題があると報告されている

男性不妊症の症状

  • 男性側に原因があり、妊娠が成立しない
    • 通常の不妊症とは男女が1年間、妊娠の成立を目的として性行為を行っているのに妊娠が成立しない

男性不妊症の検査・診断

  • 精液検査:精液の分泌量、その中の精子の数、運動率、形態異常を有する率を調べる
  • 血液検査:ホルモン体内で作られて、血流にのって体の特定の部位を刺激する物質。内分泌物質とも呼ばれるの量を調べる
  • 確定診断に必要な検査
    • 超音波検査空気の細かな振動である超音波を使った画像検査。体の奥の血管や臓器を観察することができる:精管(精子の通り道)が詰まっていないかや精巣の位置、血管の位置を調べる
    • 染色体遺伝情報の伝達を担う、DNAが集合してできた物質。ヒトは22対の常染色体と1対の性染色体をもつ検査:染色体に異常がないか調べる
    • 精管造影造影剤と呼ばれる注射薬を使用して、そのままでは画像検査で写りにくいものが写るようにすること:精管が通り具合を調べる
  • 特殊検査:抗精子抗体白血球が作り出す、免疫の一部を担う物質。体内の病原体に付着して、他の免疫細胞の働きを助けたりする、精子受精機能について調べる

男性不妊症の治療法

  • 明らかな原因がある場合は原因を治療する
  • 無精子症の治療
    • 精路閉塞による場合:手術で精子が出て行けるようにする
      ・顕微鏡下精路再建術、射精管切開術
    • 精管欠損による場合:精子を手術で取り出して顕微受精を行う
      ・精巣内精子採取術、顕微鏡下精巣内精子採取術
  • 精索静脈瘤の治療:手術で静脈瘤に血が流れないようにする
    • 顕微鏡下精巣静脈低位結紮術止血などのために血管などを縛って固定する手術、精巣静脈高位結紮術
  • 逆行性射精の治療
    • 膀胱内精子回収
  • 乏精子症、精子無力症の治療
    • クロミフェン内服:男性ホルモン男性ホルモンの総称で、ステロイドホルモンの一種でもある。男性生殖器の発達や、体毛、筋肉量の増加などの作用をもつの分泌を増やし造精機能を助ける
    • 補中益気湯内服:造精機能を助ける
  • 治療効果が不十分な場合
    • 精子の動きに問題が無い場合:人工授精
    • 精子の動きが少ない場合:人工授精、体外受精、顕微授精
    • 精子の動きがとても少ない場合:体外受精、顕微授精
  • 通常の性生活を1年間送っても子どもができない場合は、女性だけでなく男性も不妊症の検査を行う必要がある

男性不妊症が含まれる病気


男性不妊症のタグ


男性不妊症に関わるからだの部位