精索静脈瘤 - 基礎知識(症状・原因・治療など) | MEDLEY(メドレー)
せいさくじょうみゃくりゅう
精索静脈瘤
精巣の静脈に静脈瘤(血管の拡張)が生じ、男性不妊症の要因となる疾患
8人の医師がチェック 72回の改訂 最終更新: 2021.02.10

精索静脈瘤の基礎知識

POINT 精索静脈瘤とは

精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)は精巣静脈にうっ滞が生じ、その下流の静脈が拡張することを指します。左側に起こりやすい特徴があります。男性不妊症の原因の一つとしても知られており、陰嚢部から鼠径にかけての鈍い痛みや違和感を認めたり、陰嚢にこぶが現れることがあります。不妊症治療の一環として行われ、そうでなくても自覚症状が強い場合には治療が検討されます。思い当たる節がある人は泌尿器科で相談してみてください。

精索静脈瘤について

  • 精巣の静脈に静脈瘤(血管の拡張)が生じ、男性不妊症の原因となる疾患
  • 発生のメカニズム
    • 静脈の血液が逆流あるいはうっ滞することで静脈瘤が出来る
    • うっ滞の原因となるのは、精巣静脈が大きな静脈(左では腎静脈、右では下大静脈)と合流するときの角度
  • 男性不妊との関係
    • 血液の逆流による精巣の温度が上昇することや血流が悪くなることによって生じる酸化ストレスが原因で精子の機能が弱まるとされている
  • 頻度・年齢
    • 成人男性の15%から20%に見つかる
    • 男性不妊症患者のうち30%から40%で精索静脈瘤が見つかる
    • 思春期以降に多いが、子どもにも生じ得る
  • その他の病気の特徴、知識
    • 左側に生じる事が多い(80-90%)
    • 左の精巣静脈には逆流防止の役割を果たす弁が存在しないことが多い

精索静脈瘤の症状

  • 典型的な症状
    • 陰のうや鼠径部の痛みや不快感
      • 長時間の立位や腹圧がかかったときに症状が強くなる
    • 陰嚢に塊(かたまり)のようなものを感じる
      • 塊(精索静脈瘤)は表面から触ることができる

精索静脈瘤の検査・診断

  • 触診
    • 静脈瘤の部分を触れる
  • 陰のうの超音波検査
    • 陰嚢内にある拡張した血管があるかを確認する
  • 精索静脈瘤の分類
    • 3段階で分けて分類する方法が一般的
      • グレード1:立位腹圧負荷(立っておなかに力を入れる)で触り確認できる
      • グレード2:立位(立った状態)で触れることができ確認できる
      • グレード3:見た目で確認できる

精索静脈瘤の治療法

  • 治療は症状が日常生活に支障をきたしている場合や男性不妊症がある場合に行われる
  • 主な治療法:ほとんどの場合は手術が行われる
    • 手術:静脈瘤の原因となる血管を縛る。顕微鏡や腹腔鏡を使って手術することもある。手術法のメリットやデメリットについては下記の「病院の選び方」で説明しているので、参考にしてください。
    • 高位結紮術:腹部を切開する
    • 低位結紮術:鼠径部を切開する
    • 経皮的静脈塞栓術:原因となっている血管にコイルなどを詰めて血液が流れなくなるようにする
  • 不妊症に対する治療として行った場合の効果
    • 約半数の人で精子の濃度と運動率が改善する

精索静脈瘤の経過と病院探しのポイント

精索静脈瘤が心配な方

精索静脈瘤は、陰嚢内の痛みや不快感などの原因になる病気です。症状がある場合には、泌尿器科を受診すると検査や治療を受けることができます。
また精索静脈瘤は男性不妊の原因としても知られています。不妊症の検査結果で精子の動きや数が少ないという指摘から精索静脈瘤が発見されることもあり、治療すると精子の動きの改善や精子の数の増加などが期待できます。症状もしくは不妊症でお悩みで精索静脈瘤を調べる診察を受けたい場合は泌尿器科を受診してください。

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精索静脈瘤でお困りの方

【医療機関の選び方】
治療(手術)は泌尿器科で行われます。しかしながら、手術はどの医療機関でも行えるものではないので、手術が可能かどうかを受診前に問い合わせておくと、要領よく医療機関を絞り込めます。また、男性不妊症の解決を目指して治療を検討される人は、男性不妊症の専門的な知識を有する泌尿器科医に診てもらうことをお勧めします。男性不妊症の専門医は日本生殖医学会のウェブサイトで検索できるので、利用してみてください。

【手術法の選び方】
手術の方法には低位結紮術と高位結紮術の2つがあります。

■低位結紮術
後述する高位結紮術に比べて低結紮術は広く行われており、特定の医療機関でしか受けられない治療ではありません。ですので、医療機関探しは比較的容易だと考えられます。また、鼠径部(足の付け根付近)を切る手術なので、お腹を切る手術に比べて、体の負担は小さいです。メリットがある低位結紮術ですが、動脈やリンパ管を傷つけてしまい精巣萎縮・陰嚢水腫といった術後のトラブルや、再発が多いことが知らており、この点についてはデメリットだと考えられています。
そこで、近年よく行われているのが、顕微鏡を取り入れた手術法(顕微鏡下低位結紮術)です。顕微鏡で観察しながら手術することによって、リンパ管や動脈といっ大事な構造物を、しっかりと温存することが可能となり、合併症・再発率のリスクを大きく下げることができます。しかしこの方法にも課題があります。それは顕微鏡を使った手術は非常に難しいので、行える医師が限られてしまうということです。順番待ちをしなければならない可能性が高く、その場合は治療までの時間が長くなってしまいます。なお、実施可能な施設の見つけ方ですが、かかりつけ医からの紹介やインターネットを利用してみるとよいでしょう。

■高位結紮術
鼠径部を切って行う低位結紮術に対して、高位結紮術はお腹を切る必要があります。このため、傷の痛みが強く体への負担が大きいと考えられています。メリットとしては低位結紮術(顕微鏡下手術を除く)に比べると、再発率が低いとされる点が挙げられます。また、合併症についても精巣萎縮や陰嚢水腫といったものについては低位結紮術(顕微鏡下手術を除く)より起こりにくいと考えられていますが、お腹の中の臓器の損傷にまつわる合併症がある点には注意が必要です。
高位結紮術のデメリットとして体の負担を挙げましたが、この点については腹腔鏡手術という方法で行うことによって負担の軽減が可能です。腹腔鏡手術とはお腹にいくつか小さな穴をあけて行う手術法のことで、傷の痛みが軽くなることがわかっています。
なお、低位結紮術の顕微鏡手術と同様に腹腔鏡手術も行える施設は限られているので、どの医療機関でも行えるわけではありません。このため、高位結紮術を希望する場合は医療機関を探す手間がかかることになります。

【まとめ】
治療は泌尿器科で行えます。さらに男性不妊症専門の泌尿器科医であれば最適だと言えます。
手術法の選び方として主流である2つの術式の特徴と、それぞれの手術で取り入れられている目新しい方法(低位結紮術の顕微鏡手術と高位結紮術の腹腔鏡手術)について説明しました。どの方法にもメリットとデメリットがあります。自分の考えをよくまとめて、お医者さんに相談すると納得できる選択に近づけると考えられます。

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