しぼうかん
脂肪肝
肝臓に脂肪が多く蓄積されている状態。放置すると肝炎・肝硬変・肝細胞がんなどの原因となる
7人の医師がチェック 153回の改訂 最終更新: 2025.06.27

脂肪肝とはどんな病気なのか:症状・原因・検査・治療など

脂肪肝では肝臓に脂肪が溜まっています。脂肪肝は主にアルコールや肥満が原因で起こり、食事療法や運動療法を中心に治療します。脂肪肝を無治療にしていると肝炎や肝硬変に進行することがあるので、注意が必要です。

1. 脂肪肝とはどんな状態か?

脂肪肝とは肝臓に脂肪が溜まった状態のことです。脂肪肝が起きている肝臓の一部を取り出して顕微鏡でみると肝臓の細胞(肝細胞)に脂肪が溜まった状態がみられます。

脂肪肝の人はどれくらいいるのか?

健診を受けた人のうち、20-30%の人が脂肪肝であるという報告があります。脂肪肝は珍しい病気ではなく身近な病気の1つです。

脂肪肝が原因で起きる病気は?

脂肪肝が進行すると、肝臓に炎症が起こる状態(肝炎)になります。肝臓で炎症が起きると、肝細胞は破壊され、破壊された肝細胞は再生されます。肝炎の名前は原因によって異なり、アルコールが原因の場合はアルコール性肝炎、アルコール以外が原因の場合は非アルコール性脂肪肝炎NASH(ナッシュ))といいます。

肝炎がさらに進行すると肝硬変という状態になります。炎症による肝細胞の破壊が長期間に及ぶとその再生が追いつかなくなり、炎症を起こした部分が線維質に置き換えられます(線維化)。線維化が肝臓の広い範囲で起きた状態が肝硬変です。線維化を起こした部分は肝臓としての機能がなくなるので、肝硬変が進行すると肝臓の機能が大幅に低下して、様々な症状を引き起こします(肝硬変の症状については「肝硬変の症状」を参考にして下さい)。

また、肝硬変の状態になると、肝臓がんが発生しやすくなることが知られています。肝硬変と言われた人はどんなに症状がなくても通院を欠かさないようにして下さい。通院中の定期検査では、肝硬変の状態だけでなく肝臓がんが出現していないかも確認しています。

2. 脂肪肝の症状

脂肪肝の自覚症状はほとんどありません。健診や他の病気の検査などをきっかけにしてたまたま見つかることが多いです。症状がないからといって脂肪肝を無治療のままにしておくと良くありません、脂肪肝は肝硬変から肝臓がんに進行することがあるので、お医者さんの指示に従って治療(食事療法や運動療法)するようにして下さい。

3. 脂肪肝の原因

脂肪肝の主な原因は以下のものになります。

脂肪肝の主な原因はアルコールや肥満です。次の段落からはアルコールに注目して、アルコール性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝の2つについて説明します。

アルコール性脂肪肝

アルコールによる脂肪肝のことをアルコール性脂肪肝と言います。アルコールは身体の中に入ると肝臓で代謝(分解)されて、最終的には水と二酸化炭素に形を変えて身体の外に出ていきます。一方で、大量のアルコールを摂取するとアルコールを分解しきれなくなり中性脂肪が増えます。増えた中性脂肪の一部は肝臓に溜まり脂肪肝を起こします。

非アルコール性脂肪肝(NAFL)

アルコールは脂肪肝の原因として知られていましたが、近年アルコールと関係ない脂肪肝が見つかることが増えてきました。アルコールと関係がない脂肪肝は、非アルコール性脂肪肝といい、英語名のnonalcoholic fatty liver の頭文字をとってNAFL(ナッフル)と呼ばれます。

NAFLの発症には以下のものが関係していると考えられています。

この中でもNAFLの発症に関係が強いのは肥満です。NAFLが進行すると、肝臓に炎症が起きて肝炎の状態になります。NAFLが炎症を起こしたものをNASH(ナッシュ)といいます。

もっと詳しく知りたい人は「脂肪肝の原因」で詳しく説明しているので参考にして下さい。

4. 脂肪肝の検査

脂肪肝が疑われるときには診察や検査を用いて肝臓の状態が調べられます。行われる検査は以下のものがあります。

  • 問診
  • 身体診察
  • 血液検査
  • 画像検査
    • 腹部超音波検査
    • 腹部CT検査
    • 腹部MRI検査
  • 生検

脂肪肝と診断するために、全ての検査を行わなければならない訳ではありません。診察や検査を受けていく上で脂肪肝と診断されれば、治療が始まります。

脂肪肝の検査についてさらに詳しく知りたい人は「脂肪肝の検査」も参考にして下さい。

5. 脂肪肝の治療

脂肪肝の原因はアルコールの摂取や食事から摂取するエネルギーのバランスが悪いこと、肥満などです。このため、治療は以下のものが中心になります。

  • 節酒・禁酒
  • 食事療法
  • 運動療法

脂肪肝の治療は基本的に日常生活を変えることなので、手術や薬による治療に比べると、一見簡単そうに思えるかも知れません。しかし、食事療法も運動療法も正しい病気の理解と継続する努力が必要であるため簡単ではありません。治療を行っていく上での不安や疑問があれば、遠慮なくお医者さんに尋ねて下さい。そのほうが治療の効果が出やすいです。

脂肪肝の治療については「脂肪肝の治療」や「脂肪肝の人が日常生活で気を付けるべきことや知っておくべきこと」で詳しく解説しているので参考にして下さい。

6. 脂肪肝が進行して起きる病気

脂肪肝は基本的には節酒・禁酒や食事療法、運動療法などで治る病気です。しかし、中には進行して肝炎・肝硬変になることもあります。

肝炎では肝臓における炎症によって肝細胞が障害を受けます。肝臓は再生能力がある臓器なので障害を受けても再生しますが、長期間に渡って炎症が続くと、再生能力が追いつかなくなります。障害を受けた肝細胞が再生できずに線維化(繊維質に置き換わる変化)が起きます。線維化が起きた部分は肝臓としての機能を失うので、線維化が広範囲に起きる肝硬変の状態になると、肝臓がうまく働かなくなります。

肝硬変になるとさまざまな症状が現れます。肝硬変の症状について知りたい人は「肝硬変とはどんな病気か?」や「肝硬変の症状」を参考にして下さい。

また、肝硬変になると肝臓がんが発生しやすくなります。肝臓がんが発生するとその後の余命が強く影響を受けます。肝臓がんについては「肝臓がんの詳細情報ページ」で詳しく解説しているので参考にして下さい。

このように、脂肪肝は肝炎や肝硬変肝臓がんに進行してしまうことがあるので、脂肪肝の段階で治療をすることが大切です。脂肪肝と言われた人はお医者さんの話を聞いて、日常生活を見直してみて下さい。

参考文献
・福井次矢, 黒川 清/日本語版監修, ハリソン内科学 第5版, MEDSi, 2017
・矢﨑 義雄/編, 朝倉内科学, 朝倉書店, 2017
・日本消化器病学会, NAFLD/NASH診療ガイドライン, 南江堂, 2014