しぼうかん
脂肪肝
肝臓に脂肪が多く蓄積されている状態。放置すると肝炎・肝硬変・肝細胞がんなどの原因となる
7人の医師がチェック 155回の改訂 最終更新: 2026.02.05

脂肪肝の原因について:アルコール・肥満・糖尿病・脂質異常症などとの関係

アルコールや肥満が脂肪肝の主な原因として知られており、その他にも薬の副作用や手術の後遺症も脂肪肝の原因になることがあります。ここでは脂肪肝の原因について説明します。

1. アルコール

アルコールの摂取は脂肪肝の原因になることが知られています。

アルコールは身体の中に入ると肝臓で運ばれて分解され、最終的には水と二酸化炭素になって身体の外に出ていきます。詳細は複雑なため省きますが、アルコールの摂取量が多くなると、アルコールの分解が追いつかなくなり中性脂肪が増加し、肝臓に脂肪が溜まり脂肪肝になります。

一般的に、1日あたり男性で30g以上、女性で20g以上のアルコール摂取を行った場合には、アルコール性脂肪肝が起こる可能性が高くなると考えられています。しかし、アルコールを分解する力は個人差が大きいので、アルコールの摂取量が脂肪肝を起こすと考えられている量を下回っていても、脂肪肝になることがあります。アルコールを飲むことが習慣化していて、肝臓への影響が心配な人は健診などを利用して肝臓の状態を調べてもらって下さい。

アルコールを1日の楽しみと考えている人も多いと思いますが、アルコールの摂り過ぎは脂肪肝だけではなくさまざまな病気(食道がん咽頭がんなど)の原因にもなります。このため、必要に応じて休肝日を設けたり、量を少なくしたりする工夫がアルコールと上手に付き合うために大切です。

2. 肥満

肥満は脂肪肝の原因になります。

肥満の人は内臓や皮下に脂肪が溜まります。肝臓も内臓の1つなので、肥満になると脂肪が溜まります。

また、身体に脂肪が過剰にあると、血液中の遊離脂肪酸が増加することも知られています。血液中の遊離脂肪酸が多くなると、肝臓ではそれを中性脂肪に変換して溜めこむようになるため脂肪肝になります。

ここからは肥満について説明します。

肥満BMI(Body Mass Index)という数値を用います。BMIは以下の計算式で求められます。

  • BMI=体重[kg]÷身長[m]÷身長[m]

日本人の場合にはBMIが25を超えると肥満とされます。

BMIを使って自分に適した体重を求めることが出来ます。具体的に言うと、BMI20-25(

最適値の目安は22)が適正な体重と考えられています。以下のような計算式によって身長から適正な体重が求められます。具体的には身長が170cmの人の適正な体重は次のように計算できます。

  • 22(BMI)×1.7m(身長)×1.7m(身長)=63.58kg

自分の適正体重を計算するには、上の式の「身長」を自分の身長に置き換えてみてください。適正体重がはっきりとすれば、そこを目標にすることができます。

BMIとは別に肥満を評価する方法として腹囲(臍の高さで測定するためウエストと異なる)があります。男性では腹囲が85cmを超えると、女性では90cmを超えると肥満と診断されます。腹囲は内臓脂肪を反映するとされています。

体重を落とすのは忍耐がいります。減量はつらいものですが、体重や腹囲を上手く利用して減量を達成している楽しみを噛み締められるようになればしめたものです。

3. 糖尿病

インスリンという血糖値を下げるホルモンがあります。インスリンが不足したり働きが悪くなったりすることで高血糖になるのが糖尿病です。糖尿病には1型と2型がありますが、脂肪肝と関連があるのは主に2型糖尿病です。

2型糖尿病は生活習慣病の1つで、肥満や運動不足、食事が発症に関係しています。糖尿病が脂肪肝の原因になる場合もあれば、この2つの病気が同時に存在しているだけの場合もありますが、いずれも生活習慣を改善することで回復が期待できます。

具体的には、食事の節制と適度な運動を頑張ると糖尿病も脂肪肝も良くすることができます。

糖尿病についてさらに詳しい情報を知りたい人は「糖尿病の詳細情報ページ」も参考にしてください。

4. 脂質異常症

脂質異常症はかつては高脂血症と呼ばれていた病気で、生活習慣病の1つです。脂質異常症は身体の中の脂質のバランスが乱れる状態のことで動脈硬化を引き起こすことが知られています。血液検査で次のような状態であれば脂質異常症と診断されます。(以下の血液検査の結果が複数認められることもあります。)

  • LDLコレステロールが高値:140mg/dL以上
  • 中性脂肪が高値:150mg/dL以上
  • HDLコレステロールが低値:40mg/dL未満

この中でも、特に脂肪肝と関係あるのは、中性脂肪が多いタイプの脂質異常症です。肝臓は血液中の中性脂肪が多いと、中性脂肪を肝細胞の中に溜めこもうとするので、脂肪肝の状態になります。

脂質異常症の治療には食事療法や運動療法、薬物療法などがあり、治療することで脂肪肝の状態も良くなると考えられています。

脂質異常症についてさらに詳しい情報を知りたい人は「脂質異常症の基礎情報ページ」も参考にして下さい。

5. 薬の副作用

持病の治療のために飲んでいる薬が、脂肪肝の原因になることがあります。脂肪肝の原因になる薬は主に以下のものが知られています。

  • 不整脈薬:脈のリズムを一定にする薬
    • アミオダロン(アンカロン®など)
  • 抗がん剤
    • タモキシフェン(ノルバデックス®など)
  • 抗リウマチ薬
    • メトトレキサート(リウマトレックス®など)
  • ホルモン剤
    • エストロゲン
  • ステロイド薬
    • プレドニゾロン(プレドニン®など)
    • デキサメタゾン(デカドロン®など)
  • 降圧薬
    • カルシウム拮抗薬(アムロジン®など) 
  • てんかん
    • バルプロ酸(デパケン®など)
    • カルバマゼピン(テグレトール®など)

これらの薬が脂肪肝の原因となっている場合には、薬を一度中止したり他の薬に変更したりするなどの調整が必要になります。このため、脂肪肝の疑いがあり原因を調べているときには、内服している薬の内容について詳しく医療者に伝えるようにしてください。薬をたくさん飲んでいる人は漏れなく伝えるために診察の際、お薬手帳を持参すると上手に伝えることができます。

また、お医者さんもこれらの薬を使っているときには肝臓への負担を頭に入れて診療をしています。定期的に行われる血液検査の目的の1つは、薬による副作用の有無の確認です。上で説明した薬を飲んでいて、血液検査の結果で気になる点がある場合にはお医者さんに相談してみて下さい。

6. 手術の後遺症

胃や腸、膵臓の手術後の後遺症として、脂肪肝が起きることがあります。胃や腸、膵臓には食べ物を消化・吸収したり、効率よく身体に取り込むために消化液やホルモンを分泌する働きがあります。手術後に脂肪肝が起きるメカニズムはまだ解明されてはいませんが、胃や腸、膵臓が本来持つ機能が低下することが複雑に絡みあって脂肪肝が起こると考えられています。

手術による影響を調べることを目的として、手術後には定期的に血液検査が行われます。検査の結果から手術後に脂肪肝になっていることがわかれれば、食事療法や運動療法などを中心とした治療が行われます。