◆高脂肪食を与えたマウスの比較
研究班は、マウスに高脂肪食を与えて、体重の増加と、体にたまった脂肪の量を調べる実験を行いました。マウスは高脂肪食を与えられるグループと、同じ高脂肪食にキサントフモールを加えて与えられるグループに分けて比較されました。
◆キサントフモールを与えたマウスの脂肪が少ない
実験から次の結果が得られました。
食事誘発肥満マウスで、食物中のXNは肝臓でSREBP-1標的遺伝子の発現を抑制し、同時に肝臓でのSREBP-1の成熟形態の減少が起こり、また肥満と脂肪肝の発症が抑制された。
高脂肪食を与えたマウスでは日とともに体重が増加しましたが、高脂肪食にキサントフモールを加えて与えたマウスでは体重増加が少なくなっていました。また、キサントフモールを加えなかったマウスに比べて、肝臓などの脂肪の量が少なくなっていました。キサントフモールを与えたマウスの体内では、脂質代謝に関わる遺伝子の働きを調節している物質の「成熟型SREBP-1」が少なくなっていました。
研究班は、これらの結果から、キサントフモールが「メタボリックシンドロームを改善するための栄養補助食品または治療薬となりうる」ことが示唆されたと述べています。
マウスの実験で得られた結果が人間に当てはまるかどうかは確かではありません。キサントフモールが含まれているビールを飲んで肥満を防ごうと考えるのはまだまだ早そうです。とはいえ、マウスの体重増加と脂肪量増加が抑えられたという結果は目を引きます。
執筆者
Xanthohumol improves diet-induced obesity and fatty liver by suppressing sterol regulatory element-binding protein (SREBP) activation.
J Biol Chem. 2015 Jul 3 [Epub ahead of print]
[PMID: 26140926]
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