2015.08.13 | ニュース

脂肪肝に効く薬はどれ?NASHの治療研究を検証

9件964人のネットワークメタアナリシス

from Hepatology (Baltimore, Md.)

脂肪肝に効く薬はどれ?NASHの治療研究を検証の写真

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、肝硬変に進行して重い症状や死亡につながりうる状態です。治療には生活習慣の改善のほか、いくつかの薬剤が使われます。これまでの研究を検証し、4種類の薬の効果を比較した結果が報告されました。

◆ネットワークメタアナリシスによる検証

研究班は、NASHの治療として、ビタミンE、チアゾリジンジオン、ペントキシフィリン、オベチコール酸という4種類の薬の効果を調べました。これらの薬には、肝臓の組織がダメージを受けることで起こる、線維化や脂肪変性といった組織の変化を抑える効果が期待されます。

検証のため、これらの効果を調べた研究論文を集め、複数の治療法を比較できるネットワークメタアナリシスという統計的手法を使って、それらの論文で示された結果のデータを統合しました。

 

◆ペントキシフィリン、オベチコール酸が線維化を改善

次の結果が得られました。

文献のシステマティックレビューを通じて、生検で確かめられたNASHがある患者計964人を対象とし、ビタミンE、チアゾリジンジオン、ペントキシフィリンまたはオベチコール酸を互いに、または偽薬と比較した9件のランダム化対照試験が同定された。

中等度の質のエビデンスによって、ペントキシフィリン(相対リスク0.26、95%信用区間0.05-1.00)、オベチコール酸(相対リスク0.81、95%信頼区間0.70-0.95)の使用が偽薬よりも線維化を改善することが支持された。

4種類の介入すべてが、中等度以上の質のエビデンスによって、偽薬よりも脂肪変性を改善すると見られた。

見つかった9件の試験から、患者964人についてのデータを統合して検証した結果、ペントキシフィリンとオベチコール酸は肝臓の線維化を改善し4種類の薬すべてが脂肪変性を改善すると見られました。

 

肝臓のダメージが進むと、肝臓移植以外の方法では機能を回復させることができない状態にまで悪化したり、肝細胞がんができることもあると考えられています。有効な治療を選ぶことが重要です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Comparative effectiveness of pharmacological interventions for non-alcoholic steatohepatitis: A systematic review and network meta-analysis.

Hepatology. 2015 Jul 18 [Epub ahead of print]

[PMID: 26189925]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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