◆51人の非アルコール性脂肪性肝疾患をDHA摂取有る無しの2群に分け調査
著者らは非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)がある子供を対象として、以下の試験を行いました。NAFLDとはアルコールを原因とせずに脂肪肝が引き起こされる疾患で、遺伝的要素が強い病気です。
58人のランダム化した子供のうち、51人(25人がDHA摂取、26人が偽薬)が試験を完了した。
つまり6ヶ月間DHAを摂取した25人と偽薬を摂取した26人の比較を行いました。
◆DHAを摂取すると脂肪肝や内臓•皮下脂肪が減った
以下の調査結果が得られました。
6ヶ月時において、DHA摂取グループでは脂肪肝が53.4%減少したのに対し(95%信頼区間は33.4から73.4)、偽薬摂取グループでは22.6%の減少(95%信頼区間は6.2から39%)であった(2集団を比較した際のp=0.040)。同様にDHA摂取グループにおいて内臓脂肪と皮下脂肪はそれぞれ7.8%(95%信頼区間は0から18.3%)および14.2%(95%信頼区間は0から28.2%)の減少を示し、一方偽薬摂取グループは2.2%(95%信頼区間は0から8.1%)および1.7%(95%信頼区間は0から6.8%)の減少であった(2集団比較のp=0.01)。
つまりDHAを摂取したグループの方が脂肪肝や内蔵•皮下脂肪の量が減りました。
著者らは、「DHAの補充は肝臓と内臓脂肪を減らし、非アルコール性脂肪性肝疾患の子供における代謝異常を改善する」と述べています。
DHAがどんなしくみで脂肪肝や内臓脂肪・皮下脂肪に影響するのかは、まだ分かりません。また健康な子供や成人にも効果があるかどうかはここでは検討されていません。その役割について更に研究する必要がありそうです。
執筆者
A double-blind, placebo-controlled randomized trial to evaluate the efficacy of docosahexaenoic acid supplementation on hepatic fat and associated cardiovascular risk factors in overweight children with nonalcoholic fatty liver disease.
Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2015 Apr 25
[PMID: 26026214] http://www.nmcd-journal.com/article/S0939-4753(15)00103-9/abstract※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。