◆CTを撮った人2千人を追跡
研究班は、NAFLDを診断できる肝臓の超音波検査と、腹部CTの検査を受けた対象者2,017人をおよそ4年間追跡し、その後NAFLDの発症があったか、またNAFLDが軽減することがあったかを調べました。
◆内臓脂肪が多いと発症増加、皮下脂肪が多いと軽減増加
解析から次の結果が得られました。
NAFLDを新規発症した288人の症例を得た。うち159人の患者でフォローアップ期間にNAFLDの軽減があった。多変量解析で、内臓脂肪面積の増加はNAFLDの発症率の増加と関連した(内臓脂肪面積が最も大きい五分位群で最も小さい五分位群に対してハザード比2.23、95%信頼区間1.28-3.89、Ptrend=0.002、標準偏差分の変化に対してハザード比1.36、95%信頼区間1.16-1.59)。皮下脂肪面積の増加はNAFLDの軽減と有意に関連した(最も大きい五分位群で最も小さい五分位群に対してハザード比2.30、95%信頼区間1.28-4.12、Ptrend=0.002、標準偏差分の変化に対してハザード比1.36、95%信頼区間1.08-1.72)。
CTで見られた内臓脂肪の量が多かった人は、その後NAFLDを発症する率が高くなっていました。対して、CTで見られた皮下脂肪の量が多かった人は、NAFLDの軽減が見られる率が高くなっていました。
このような変化がなぜ起こったのかは、NAFLDが発症し進行するしくみと関係しているかもしれません。性別やホルモンの作用、栄養状態などとの関係について、より詳しい検討がなされれば、NAFLDのしくみの解明に結びつくかもしれません。
執筆者
Body Fat Distribution and Risk of Incident and Regressed Nonalcoholic Fatty Liver Disease.
Clin Gastroenterol Hepatol. 2015 Jul 27 [Epub ahead of print]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。